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兎人族の正体

「ねぇ、光輝、私の事覚えてる?」


覆面の兎人族が光輝に話しかける。


「まずは顔を見ないと何とも言えないな。」


「それもそうね。だったらこの後少し時間ある?近況も聞きたいし小鳥の止まり木って言う喫茶店で話しない?」


「そうだな。妹と待ち合わせしてるから、3時間後なら構わない。」


「えぇ、それでいいわ。じゃまた後でね。」


「あぁ。」


兎人族と別れ実技試験が終了してから陽葵の元へと向かった。事情を説明し陽葵にはシルフィーの宿で待っていて貰うことにしてシャワーを浴びてから小鳥の止まり木に向かうことにした。


「光輝、こっちよ!」


兎人族が手を振って光輝を自分の席へと誘う。


「まずは飲み物でも頼みましょ。」


メニューを渡され俺はキャラメルカプチーノ、兎人族はフローズンキャロットシャングリラを注文した。


「俺に兎人族の知り合いは2人いるけどミルか?それともミューなのか?」


「どっちだと思う?」


「そうだな。顔を見たら分かるかも知れないけど声だけじゃ何とも言えないな。」


「お待たせ致しました。キャラメルカプチーノとフローズンキャロットシャングリラです。」


「ありがとう。」


兎人族がウエイトレスに軽く会釈をする。


「そうね・・・別に顔を隠しているわけじゃないんだけど理由があるの。」


「それは聞いてもいいのか?」


「えぇ。実はこの覆面を外すと魔力が暴走してコントロールが出来なくなるの。これはそれを制御するための古代遺物(アーティファクト)よ。私達一族は11歳を迎えると魔力の制御をするために覆面を被る風習があるの。」


俺は黙って相づちを打ち真剣に聞いた。


「今この覆面を外すための準備をしているからもう少し時間が経ったら私の泊まっている宿に案内するわ。」


「わかった。」


「ところで昔の光輝は可視化できるほどに魔力が満ち溢れていたけど今はそれが感じられないわね。というよりも全く魔力を感じないわ。実技試験を見た限りでは最後まで魔法は使わず剣技のみで闘っていたしさすがね・・・」


「実はある事情で本来の力が発揮出来ないでいるんだ。君の正体が何者なのか分かったら話してもいいと思っている。」


「それもそうね。もしかしたら役に立てることがあるかも知れないから後で聞かせて。」


「信用するに値する人物ならな。」


「分かったわ。そろそろ準備も出来たと思うし行きましょう。」


俺たちは少し話をして喫茶店を出て兎人族が泊まっている宿に向かった。


「光輝、中に入って。」


「あぁ。」


中に入ると部屋一面に目映く光る水晶が部屋の中心を囲んでいる場所だった。


「簡易的な結界を張っているの。今からこの覆面を外すけどこの覆面は1度外すと再使用までに24時間待たないと再使用できないの。もしも魔力が暴走したら変わりにこの魔包帯で私をグルグル巻きにすれば魔力暴走を抑えることができるわ。これは巻かれた対象の魔力を吸収し硬質化するんだけど本来は魔道士を拘束するための魔法道具(マジックアイテム)なの。」


「分かった。」


すると突然、兎人族の女が上着とズボンを脱ぎだした。


「ちょ、ちょっといきなり何するんだ!?」


俺はそのキャミソールとパンティーだけの姿となった目の前の女性の姿に戸惑っていた。


「私も恥ずかしいんだけど直接肌に接していた方が魔包帯の効果が高いからよ。」


覆面をして下着という姿は何とも滑稽な姿だった。


「ま、そういう事なら仕方ないな・・・」


正直もう1人の俺が暴走しそうなくらいだけど目の前の女性に決して悟られてはいけないと頭の中で計算をして注意をそちらに逸らす。


「ふふふ、じゃ覆面をとるわね。」


覆面をとると銀髪が輝く美少女だった。


「光輝、久しぶり。あれから私成長して綺麗になったかな?」


「あぁ、凄く見違えた!前も外見だけなら美少女だったけど何ていうかあの痛さがうまく隠されているな。」


目の前の銀髪美少女はリスのように頬を膨らませている。


「!!!もしかしてだけど、お姉ちゃんと間違えてない?」


「ん?どう見てもミルだよな?」


「もう、やっぱり勘違いしてる。私はミュウよ。お姉ちゃんは今、儀式を行うために里帰り中よ。お姉ちゃん、光輝から連絡なくて凄く落ち込んでいるから時間のある時でいいから連絡しなよ!」


覆面の兎人族の正体はミュウだった。

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