入学試験②
「それでは午後からの実技試験を行いたいと思います。学園で用意した模擬戦用の武器を使い各々1対1で対戦をしていただきます。もちろん魔法も可能ですが対戦相手を殺したり降参した相手を攻撃すれば反則負けとします。闘技場はAからEをブロックとし各ブロックを勝ち抜いた上位5名を特級クラスとします。それでは各ブロックに別れてください。」
それぞれ対戦が始まった。
「ダイアモンドダスト!」
シルフィーは杖を選択し精霊魔法で対戦相手を圧倒する。
「オリャー!」
続いてアンドリューはフレイルを選択し力任せに闘技場を壊しながら勝ち進んでいく。
「何処を見てるの?私はここよ!」
覆面をし長い耳を出した兎人族は木製の手甲鉤を装備し素早い動きで相手を翻弄していた。
「劣等職の降霊術師が俺の相手なんてついてるぜ!」
勢いよく剣を袈裟切りしてきた相手を光輝が剣筋を見切り僅かな動きで躱し木刀を弾き相手の喉に剣を突き立てる。
「ま、参った・・・」
見下していた相手が半べそをかきながら負けを認め光輝も順調に勝ち進んでいく。こうしてシルフィー、アンドリュー、光輝、覆面の兎人族の4人が上位5名の枠に入り残すのはEブロックのみとなった。
「それではEブロック決勝戦始め!」
「僕は女だからって容赦しませんよ。降参するなら今のうちです。」
「お構いなく。手加減なしでかかってきてください。」
Eブロックの決勝戦は全身甲冑に身を包んだ槍を持った騎士と長い炎髪の幼女だった。
「多段突き!」
騎士は残像が残るほどの鋭い連続突きで幼女を攻撃するが危なげなく男の攻撃を躱す。
「多段突きMax!」
幾分か突きの手数が増えたが幼女はそれらも軽々と躱していく。
「今度は僕の番だね。クーーーー」
幼女が叫び空間の裂け目から一匹のアースドラゴンの成龍が現れた。
「あれはシルマだよな?」
光輝は知り合ってからすぐに別れ2年間シルマと会っていなかったため幼女の外見からは分からなかったが、目の前の成龍には見覚えがあった。だとしたら実技試験に使用する攻撃手段としては少々やり過ぎなような気がしないでもないのだが・・・
「クーーーー」
クーが咆哮をあげ全身を鉱物の体へと変化させた。
「参った・・・」
騎士は戦意喪失したのか両膝をがくがく震わせて宣言した。
「根性ないわね。これからって時に・・・」
シルマはやる気を削がれ1人ブツブツと独りごちるが成龍と言えば普通は複数のパーティーで挑む高難度のクエストだから、これから学生になろうとしている受験生には荷が重いのも事実だろう。
「シルマ、久しぶり!」
僕はシルマに勝利したことを労おうと声をかけた。
「あなた、誰?貴方は私の事を知っているようだけど私は知らないわ・・・」
久しぶりの再会で募る話に花を咲かせる場面のはずがまさかの返答だった。




