悪魔の鼓動
今も尚、光輝と黒衣の男との魔法による戦いは続いている。
「お兄様、加勢致しますわ。」
陽葵達は魔物との戦闘を終え駆けつけた。
「ファハハハハハ、素晴らしい!あの方の器は貴方に決めました!」
黒衣の男が詠唱すると魔方陣が現れ範囲内にいる魔物の死体が次々と床に飲み込まれていく。
「!!!」
光輝は部屋全体に感じる魔力が魔物を飲み込むごとに増していることに気付いた。
「陽葵、そこにいる冒険者達を連れてここからすぐに脱出してくれ!お前達がいると巻き添えにするかもしれないから本気を出せないんだ。頼む!」
「えぇ、分かりましたわ。お兄様。さぁ貴方達もここから早く脱出しましょう。」
「あんな子供を放っておいてA級ライセンスを持つ俺たちが逃げ出すと思うか?」
ドワーフが叫ぶ。
「珍しく意見が合いますわね。マリカやシリウスを失ったあの時とは違うわ。今回は絶対に助けて見せる!」
エルフも同意見のようだ。すると突然部屋の壁が鼓動を始めた。
「な、何なの、これ?」
「早く!もうあまり時間がない!!!」
「おしゃべりはそこまでですよ!貴方達もあの方の糧となりなさい。デスペア」
マナが続く限り途切れることのないリロードなしの魔法攻撃が陽葵達を襲う。
「マジカルシェルター」
光輝が陽葵達の前に立ち魔法の防護壁を作成し攻撃を防ぐ。
「今のうちに、早く!あと母さんも頼む。」
再度、光輝が陽葵に叫ぶ。
「お兄様の言う通りにしましょう。行きますわよ。」
「あぁ・・・」
「えぇ・・・」
母さんをドワーフの男が抱え陽葵達は光輝の指示で研究所を後にした。




