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アウラウネ

「母さん!」


周囲にはたくさんのカプセルがあり保存液の中で様々な生物が収容されていた。その無数のカプセルから中央に向かって配管が繋がっておりその中に母さんがいた。


「光輝・・・陽葵・・・」


母さんが僕達に気付いて呟いたが光輝達の耳に届くことはなかった。


「ゴメス、ハンスあいつらをここへ近づけるな。」


黒衣を纏った男が指示を出す。


「分かりやした。」


ゴメスが狐、ハンスが鼠の獣人だ。


「ここは通さないコン」


「さっさと出て行くんだチュー」


ゴメスが何かを呟くと無数の幻影が光輝達の周囲に現れを襲いかかってきたが魔力感知で本体めがけて蹴りを入れる。


「いててててっ」


「兄貴大丈夫でチュか」


「ふん、なかなかやるな、だがこれならどうだ!」


今度はゴメスが巨大な蛇へと姿を変化させた。


「さっすが兄貴っチュね」


ゴメスが光輝に襲いかかるが、素早く躱し尻尾を踏みつける。


「コーーーン!!!」


部屋中に悲鳴が鳴り響くとゴメスが涙目になっていた。


「よくも兄貴をーーー。兄貴の仇だーーー!」


ハンスが勢いよく光輝に飛びかかったがそれを回し蹴りではたき落とす。


「ゴメス、ハンス後ろに下がっていろ。後はこいつに任せる。」


「分かりやした。」


現れたのは下半身が植物に変化しアルラウネとなった母さんだった。


「母さん!」


正気を失っているのか光輝の呼びかけにも応じることはなく両腕を蔓に変え変幻自在の鞭のようにしならせ光輝達に襲いかかる。


「母さん!光輝だよ。ねぇ分からないの?僕は母さんを傷つけたくないんだ。こんなことは止めて家に帰ろう!父さんも待ってるから。」


「お母様!陽葵です。お願いだからこんなことはもうやめて!」


光輝達は黒衣の男を睨みつける。


「ハハハ、言っておくが病弱だったお前の母親を今日まで延命させていたのはこの私だ。恨まれる筋合いはないのだがな。ま、俺もハイエルフの精気が必要だったからお互いWinWinの関係って奴だな!だがその必要もなくなったから親子共々朽ち果てるが良い!そこのハイエルフに供給していたマナも切断したから直に動けなくなるだろう。」


「キェェェェ」


母さんの全身から茎や枝、蕾が生え部屋を覆い尽くした。しばらくして蕾が花開き花粉を飛ばすと遠くからガラスの割れる音がした。すると入り口の方から先ほどまでカプセルの中にいた魔物達がこの部屋へと集まりどの個体も正気を失っているのは容易に見て取れた。


「アルラウネはその花粉によって周囲の生物を興奮状態にし、さらに幻影を見せることが出来ます。興奮した魔物達は例え傷ついたとしても痛みも忘れ攻撃して来るでしょう。他のエルフや、ドワーフ、龍も同様です。ここで死ぬが良い!」


光輝達は致命傷にはならないよう無力化していく。


「Grooo」


入り口にいた幼龍が口から紅蓮の炎を吐き出した。それを僕が避けると母さんを繋いでいた配管や複数のカプセルもろとも溶解してしまった。ちっこいのにさすが龍だけあってかなりの破壊力だった。それにしても外にこれだけの魔物を解き放ってしまったら、かなりの被害が出ることは間違いない。


「陽葵、この魔物達を絶対に外に逃がすな。」


「は、お兄様」


陽葵は入り口から来る魔物に向かって走って行った。


「ファイアーフィスト」「エアープレス」


陽葵は危なげなくも魔物を次々と葬っていく。僕も負けてはいられないな。


「竜眼」


すると光輝に敵意を向けていた魔物達が一瞬硬直しその隙をついて次々と無力化していく。その間にも蔓で攻撃してきたが大半の魔物を倒した頃には、母さんはかなり衰弱していた。


「母さーん」


「キェェッェエ」


僕が呼びかけると鋭い視線で僕を睨みつけ同時に蔓で攻撃をしてきた。すでに大半が植物化していて体のほんの一部と左目の周囲だけを残し辛うじて本来の白い肌を露出していたが既に手遅れかもしれない。


「母さん、ごめん・・・」


光輝は妨害する蔓を斬りつけながら突進し横一閃するとアルラウネの上半身がバタリと地面に落ちた。

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