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掃除は大事

現在、僕は初めての旅で心を躍らせていた。この辺りは魔物が多く生息しているから大人達でも一人で街を出歩いたりはしない。たぶん10歳で一人旅をしているのは世界中を探しても僕くらいだ。普通の未成年はスキルを持っていないし親が許さないだろう。僕は魔力感知を常時発動しながら父さんの殺して放置していった魔物をまるでゴミ拾いでもするかのようにインフィニティボックスに回収しながら、のんびり歩いていた。それに時間が経つとアンデット化するから父の後始末?やれやれ冒険者の子供はつらいよと呟きながらせっせと回収していった。途中魔物も襲って来たけど邪魔しないで!とワンパンで葬りそれらも一緒に回収していく。すると魔力感知で複数が密集する何かを発見する。リアリゼーションの倍率を上げ確認すると、どうやら馬車が30人程の盗賊に囲まれているようだ。護衛を雇っていたようだがすでに殺されたようで馬車の中から次々と子供達が出てくる。僕はゴミ拾いのついでにゴミ掃除もすることにした。ここからだと遠いので1Km先まで明鏡止水で近づいていく。そこで道に落ちている小石をいくつか拾い上げ1Km先の映像を見ながら親指で次々と小石を弾いていく。すると盗賊達は次々と小石で体を貫かれ倒れていった。


「い、一体誰がこんな舐めた真似を・・・何処から攻撃してやがる?」


生き残っている盗賊達も何処から攻撃されているのか分からず右往左往している。何人かの盗賊は子供を壁にして身を守ろうと必死だった。盗賊の頭領が部下達に指示を出す。


「子供達を外側に立たせて、おまえ達は内側でしゃがめ!」


頭領の指示で子供達を外周に立たせた盗賊達は身を屈め注意深く辺りを見渡す。これだと子供達に石が当たってしまうため盗賊達を攻撃することができない。


「考えたな。だが!」


この辺りは所々丘陵となっていて様々な角度からの攻撃ができる。しかも木々がまばらにあるため死角にもなり跳弾の要領で角度を変えながら次々と小石を弾いていく。敵にしてみたら複数からの攻撃に見えるだろう。子供を盾にしていた盗賊達が次々と倒れていく。そして散り散りになって逃げて行く盗賊達を一人残らず小石で貫いた。まだ生命反応のある盗賊達に止めを差すことは忘れない。


「ゴミ掃除終わりっと♪」


子供達も何者かに救われたということは理解したがそれが何だったのかが分からない。恐怖で腰が抜け泣き叫ぶ者、辺りをきょろきょろしている者と様々だ。そんな中こちらを見つめ手を合わせ何度もお辞儀をする少女がいた。少女の事が少し気になったが僕は残りのゴミ掃除をするために盗賊のアジトに向かうことにした。


「助けていただきありがとうございました。」


口の動きでお礼をしている事は分かったがスキルを持たない子供がこの距離を視認できるはずがないし明鏡止水で気配を消した僕を認識できるはずがないのでただの偶然だろう。


「盗賊のアジトは何処かな。」


魔力感知で3つほど丘を越えた所に生命反応が35人あった。リアリゼーションの倍率をあげ確認するとアジトの入り口に盗賊らしき風貌の男達が2人立っていた。どうやら鉱山の採掘跡を根城にしているようだ。


「さて、どうやって乗り込もうか。」


盗賊のアジトにはもしかしたら攫われた人達がいるかもしれない。一応1人1人を魔力探知で確認していくと盗賊が22人攫われた人達は13人だった。ちなみに最初レーダーに写っていた色は黄色が35個で僕が盗賊だと認識すると赤に変化した。子供達の色は変わらず黄色のままだ。どうやら僕が敵として認識すると赤に変化するようだ。幸いなことに攫われた人達は一塊の部屋の中で入り口に見張りが2人、見回りが10人、攫われた人達の部屋の入り口に2人、残りは休憩中のようだ。先ほどの盗賊達を会わせると50人を超えるから結構な大所帯の盗賊団であった。後の事を考えると放置していくと面倒なのでアジトにいる盗賊達は殺してからマジカルバックに回収することにした。まずはアジトの入り口にいる見張り2人を足下の石を拾い指弾で倒す。中に入り見回りをしている盗賊達の頸椎を次々と折っていった。部屋の見張りを指弾で倒し攫われた人達の1人の縄を解きナイフを渡すと解放された人達が次々と他の人達を解放していった。僕は盗賊の残党がどのくらいいるのか魔力感知で確認すると後12人いる事が分かった。子供達を守りながら1人も怪我をさせずに脱出は難しいので残りの盗賊達を殺すことにした。


「お兄ちゃん強いね。助けてくれてありがとう!」


皆が口々に僕にお礼を言う。


「いや、これは自己満足だから気にしなくていいよ。掃除を始めると完璧にしないと気が済まない質なんだ。」


「ふーん、そうなんだ。そういえば散らかしたり汚したりしたらすぐに片付けなさい!っていつもお姉ちゃんが言ってたっけ。掃除は大事だよ!って。お兄ちゃん、きっとお姉ちゃんと気が合うと思うよ。」


よく見るとこの子の被る帽子の隙間からぴょこんと、うさ耳が顔を出していた。どうやら兎人族のようだ。他の子も獣人のようで所々人とは違う特徴を持っていた。


「君たち、これからどうするの?行く当てはある?」


「・・・ない。」


「僕も・・・」


「私、お腹空いた・・・」


「私は今からお姉ちゃんを探しに行く・・・」


それぞれ別々の場所から攫われて来たのだろう。誰かに丸投げして保護して貰うのが一番だろう。


「ねー君たち、僕はこれからティモール城塞に行くんだけど途中まで一緒に来る?途中で君たちと同じくらいの子もいるから街の人達に一緒に保護してもらったらどうかな?」


「そうだね。お兄ちゃん優しそうで強いから頼りになるし私行く!」


「僕も!」


「私もー!」


どうやら子供達は僕と一緒に着いていき街で保護して貰うことに決めたようだ。


「お兄ちゃん、ここを出る前に怖いおじちゃん達が集めた物も持っててもいい?僕達お金がないから・・・」


「いいんじゃないか?持ち主がいないんだしみんなで整理整頓をしよう!でもその前に悪いおじちゃん達を懲らしめなくちゃ行けないから、ここで少し待ってて貰えるかな。その間はこれでも食べて過ごしていてくれ。」


僕はマジカルバックから街で買ったワイルドボアの串焼きや豚汁を鍋ごと渡し器とスプーンも一緒に置いていった。


「ありがとう。わーい、みんなでお掃除だね♪お兄ちゃん頑張ってね!」


一旦部屋の外へ出て入り口を土属性魔法で隠蔽し魔力感知で確認しながら次々と盗賊達を殺していく。と言っても辺り一面が血飛沫だと子供達がトラウマになりかねないので、そこのところはちゃんと配慮している。


「よし、これでアジトにいた盗賊はすべてマジカルバックの中だ。」


僕は魔力感知でレーダーに写っていた赤色がなくなった事を確認してから子供達の元へ帰り盗賊達が集めた宝がある部屋へと案内してもらった。


「あいつら結構貯めてたんだな・・・」


そこには無造作に置かれた骨董品や金貨、剣、宝箱なんかが山のように積まれていた。


「お兄ちゃんが先に欲しい物選んでいいよ。」


「いや、僕は君たちの残り物で構わないよ。」


「え?いいの。やったー。」


子供達はポケットいっぱいに金貨を詰め込んでいた。


「僕、もう持てない。もったいないけど後はここに置いてくしかないね・・・」


「じゃ次はお兄ちゃんが選ぶ番でいいか?」


「うん、いいよ。」


僕はマジカルバックを使って残りのお宝を回収していく。


「お兄ちゃんずるーい!」


それを見ていた子供達が一斉に叫んだ。

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