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蠱毒

「ミルは1度戻って僕が呼んだらまた来て欲しい。」


「えぇ、いいわよ。気を付けてね。」


ミルは転移し家へと戻った。僕達はミルと別れた後、魔力感知で魔方陣を探し目視できる位置に来ていた。入り口付近には1度中に入ると2度と出られないと言われている結界が張られている。


「普通の人なら迷うところだけど僕達なら魔力感知で魔方陣まで辿り付ける。陽葵行くぞ。」


「はい、お兄様。」


魔方陣の中に入るとそこは背丈ほどの食人植物が生い茂る草原が見渡す限りに広がっていた。また僕達の方へ近づいて来る複数の魔物達がいた。


「陽葵、魔物が近づいている。気を引き締めていけよ。」


「はい、お兄様。」


「グルルルル」


最初に来たのはシルバーウルフの群れだった。その中に一回り大きな体躯に立派なたてがみを持つシルバーウルフがいた。多分群れのボスは奴に間違いない。


「ワオォォォーン」


リーダーの号令によって一斉にシルバーウルフの群れが光輝達に襲いかかる。光輝は軽やかに身を翻し剣で薙ぎ払い次々と無力化していく。


「流星脚」「ファイアーフィスト」


陽葵も負けじと得意の体術で次々と葬っていく。だが、すぐ近くまでトロールやオーガ、ジャイアントアント、怪鳥、キラーマンティスなどの群れが目前にまで迫っていた。これらは皆、食人植物の放つ甘い匂いに誘われているのだ。


「陽葵、一旦この場から離れるぞ!」


「はい、お兄様。」


僕達は来た道を戻り魔物達と距離をとった。シルバーウルフは追いかけてきたが難なく切り捨てていると、ついに魔物の群れが鉢合わせとなり魔物同士で戦闘が始まった。


「凄まじいな・・・」


まるで魔物同士の戦争だ。陣地の後ろに控えているのがそれぞれのボスだろう。弱った魔物から複数に襲われ奥へと運ばれると後ろに控えている魔物達は狂ったように食い散らかしていた。


「シャイニングミーティア」


上空に異変を感じた魔物達が戦いを中断し空を見上げるとそこには目映く光る光の矢が上空を覆い尽くし広がっていた。光輝は光属性の範囲魔法で魔物達に光速に降り注ぐ矢によって一瞬で消滅し迷宮だった結界をも破壊する。それを映像で見ていた者がいた。


「ほう、死のラビリンスの結界をこうもたやすく破るとはなかなかやるな。しかもあの御方の器に相応しい底知れぬ魔法保有量を秘めている。おい、例の魔物どもをあの小僧達に向かわせろ。」


「えっ?ですがあれはまだ臨床実験が未実施で現在の段階ではうまく制御ができず、もしもあれが暴走でもしたら再び捕獲するのが困難になります・・・」


白衣を着た研究員が黒衣を纏った男に進言する。


「最悪捕獲が出来ないのなら処分しても構わん。」


「かしこまりました。」


光輝と陽葵に最凶の刺客が今、静かに放たれようとしていた。

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