魔導書案内
「わーこれホントに本の世界なんだ・・・」
陽葵は初めて見る図書館に興味津々だった。
「ここには過去に消滅したとされる古代都市セレスティアにあった、当時世界一の所蔵数を誇るベリングス・ハウゼン魔導図書館をまるごと収納してあるそうだ。古代語、建築学、物理学、科学、薬学、魔術、体術、錬金術とあらゆる本がここには保管されている。」
「そーなんだー。」
「陽葵、最初に言っておくことがいくつかある。まず始めに今の僕達は魂だけがこちらの世界に来ていて体は現世にあり分離している状態だ。ここでの1ヶ月は現世の1時間に相当する。現世の僕達は生命維持装置で仮死状態になっているから食事も排泄も睡眠すらしなくていい。ただし現世の肉体が激しく損傷したり僕がいないと元に戻れなくなるから覚えておくように!そういうわけで母さんが見つかったと言う報告があるまで、ここで特訓だからな。まずはここの施設の案内をしようか!陽葵、ついてきて。」
「分かった!」
「まず、ここにある本だが手に取っても見ることはできない。試しに触れてごらん。」
「あーホントだー。手が本をすり抜けて、これじゃ本を読めないよー」
「次は頭の中で念じてページをめくるんだ。陽葵やってみて。」
本が、ガタガタと震えたがページをめくることは出来なかった。
「んー結構難しいねー。」
「コツは本に自分の魔力をほんの少しだけ飛ばして魔力操作でページをめくるんだ。慣れたらかなり楽だぞ!」
「分かった。もう一回やってみるね。んー・・・あっ!見て、見てお兄ちゃん!出来たよ!」
「やっぱり、陽葵は魔法の才能があるなー。ここにある本は自由に読んでいいからな。ただし、結界を施してある奥の赤いドアの部屋には絶対に近づくなよ!扉の向こうには危険な魔神を封印した魔導書があって、もしもドアに触れてしまったら精神を侵食されてしまうかもしれないから気をつけろよ。」
「うん、分かった。」
「じゃ、次の部屋に行こうか。」
光輝達は先へと進んだ。
「わー、ここはもしかして畑かな?何を育てているんだろう?それにしてもゴーレムさんがいっぱいだね!」
「ここは野菜を栽培しているんだ。次行くよ!」
「うん、ゴーレムさん、バイバイ♪」
陽葵が手を振るとゴーレム達はこちらを見てしばらくして作業に戻った。続いて薬草園、研究所、マグマ湖、神殿、モニタールームなど設備を一通り案内した。
「結構広いんだね!陽葵びっくりしちゃった。」
「特訓はマグマ湖でする。ここは時計もないから、これを使ってくれ。僕が作ったこの世界専用の懐中時計だ。0時から3時間ごとに訓練、座学を繰り返し18時以降は自主練にする。」
「お、お兄ちゃん!睡眠時間がないんだけど・・・」
「あぁ!それなら大丈夫。魂だけだからちっとも眠くならないんだ。でも魔力の枯渇は頭が痛くなるからほどほどにな。」
こうして僕達は、ただひたすらに訓練に励んだ。
最近アクセス解析出来る事を知りました。
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読者がいることが分かり励みになりましたので時間が許す限り執筆の方を頑張りたいと思います。




