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脱出

光輝は本の中から戻ってきていた。本の中に入ってから2ヶ月ほど経過していたのだが、入ってから50分程しか経過していなかったため塔はまだ襲われていない。


「光輝様、おかえりなさい。無事ラオス様にはお会いできましたか?」


「はい、無事アルス・マグナを習得できました。ところでシルマという少女に心当たりはありませんか?理由があって決闘することになったのですが魂を消滅させてしまったのでラオスさんの変わりに僕が疑似魂魄を体内に定着しなくてはいけないんです。」


するとアリアさんは部屋の奥の方から布が被せてある1つの長方形の箱を持ってきた。


「シルマさんの体はこちらにあります。」


布を外すと大きなカプセルの中で仮死状態となったシルマが眠っていた。


「△☆※☆▽◎」


アルスマグナを唱えると静かにシルマが息を吹き返した。


「お、おはよう・・・あなた」


シルマは目を擦りながら目を覚ました。どうやらまだ寝ぼけているようで僕の方を向いてとんでもないことを口走る。


「何、寝ぼけてんだ。早く目を覚ませ!」


「いったーい。」


僕は軽くシルマの頭を小突いた。


「ところで、アリアさん、今の状況を教えてください。」


「今日から光輝様が私の主ですので呼び捨てで結構です。」


「分かった、アリア今日から頼む。」


「では状況説明を致します。1Km程先に剣を持った30代と思われる人族の男性がこちらに向かっています。どうやら帝国軍に追われているようです。また5Km程先の上空にドラゴンの群れを確認しました。それらもこちらに向かっているようです。地上の駐屯部隊は一部をこちらに向かわせて残りは待機しています。他にも10Km程の距離に鎧を身につけた多数の騎士達がこちらに向かっています。」


「ありがとう。剣を持った30代の男性はたぶん、僕の父さんだと思うから今から助けに行きます。あと村の人達とアリアはここから避難してもらいます。今から信頼できる仲間を呼びますがこの事は他言無用でお願いします。」


「わかりました。村の人達もそれでいいですね?」


「私は足が悪いから皆の足手まといになるしここにいます。」


「あんたみたいな子供が残るっていうのに大人の俺が逃げるわけには行かない。」


「お母さんがここにいるなら私もここに残る!」


「だめよ、マリアはみんなと一緒に逃げなさい。」


「みなさん、落ち着いてください。今から転移していただきますから足が悪い方もちゃんとここから逃げる事が出来ます。僕も後から転移して逃げますから安心してください。」


「そういうことならお願いします。」


「だども・・・」


懸命に説得しようやく村人達は納得してくれたようだ。


「ミル、聞こえるか?頼みたいことがあるからすぐに来て欲しい。」


「光輝、久しぶり♪元気にしてたかな?」


「で、でたーーー」


村人達が一斉に悲鳴をあげた。


「もう、失礼しちゃうわね。ぷんぷんですよ!」


「ミル、怒るのは後にしてみんなを安全な場所へ避難させて欲しいんだ。頼む!」


「光輝が何でも1つ言うことを聞いてくれるって言うなら転移してもいいわよ。」


「わかった。出来る範囲で聞くから頼む!」


「交渉成立ね♪」


「アリア、この塔に村人全員が乗れそうな乗り物とかってあるか?」


船ならたくさんインフィニティボックスの中にあるが錬金術師がいた塔なら脱出手段のために何かあるのではと考えたからあえて聞いてみた。


「それなら、インビシブルがあります。光学迷彩機能搭載の飛空艇で敵の目を欺くことができる優れものです。ラオス様から全ての遺産を受け継いだので今日から光輝様の所有物です。どうぞご自由にお使いください。」


「では、アリアはそこに皆さんを誘導して欲しい。ミル頼む!あと僕が呼んだら転移を頼む。」


「分かったわ。気をつけてね。」


「あぁ、ミルもな。」


こうして村人達とアリアさんはミルの転移でティモール城塞の外れに避難した。

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