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救出

魔力探知で確認すると138人全員が1つの部屋に集まっていたので僕はそこに向かうことにした。どうやらそこは核シェルターのようで避難場所だったのだろう。他の部屋が崩れているにも関わらず、そこだけは無事であった。扉の前には海賊達が爆弾や手榴弾で扉を破壊しようとしているが傷1つついていない。僕は口元をバンダナで隠してから扉の前の海賊達を一掃し中の部屋の人達に声をかける。


「助けにきました。ここを開けてください。」


「悪いが爆発するまで時間がないからこの扉を開けることはできない。何も言わずに帰ってくれ。」


「見ず知らずの僕を信じることはできないと思いますがこれでは防ぐことが出来ません。でも僕ならみなさんを助ける事ができると思うんです!!!」


僕は扉の向こうにいる人達に必死に呼びかけた。


「・・・開けてあげたいのは山々なんですがすでに結界石を使ってしまった。一度発動してしまうと僕にも24時間、誰にも壊すことや解除することが出来ないんです・・・」


「では中に入ってもいいってことですね。」


「ちょっと君僕の話を・・・」


僕はデストロイドを発動するといとも簡単に扉は消滅してしまった。すぐに入り口をアースウォールで塞ぎ結界を張る。青年は目の前の出来事が信じられないようで、きょとんとした目でこちらを見ていた。部屋の中には他に白衣を着た者、つなぎ服を着た者達がいて奥の方には怪我をした人達もいたのでマジカルバックからポーションを取り出して渡した。


「私は、造船技師のラプラスと言います。皆をここに避難させたのは私です。錬金術で金属の生成も出来るんですが今までに生成した扉ごと結界を破壊されたのは初めてです・・・こう見えて高位の錬金術師だから頑丈な扉や壁を作る事に関しては誰にも負けないと自負していたんですよ・・・あの凶暴なミノタウロスやサイクロプスの攻撃からも、ひび1つ入らない程の強度があるんですが・・・」


ラプラスさんはかなり落ち込んでいるようだった。そして別の男性が僕に話しかける。


「私は家族を人質に取られ無理矢理、空母艦の設計の総指揮を任されていました。あれには古代文明の遺産である魔導砲が積んであるんです。もしもこの世に出てしまえば国のパワーバランスが崩れてしまうくらいの破壊力を持つ古代兵器なので出来る事なら破壊するのを手伝って欲しい。」


「お気持ちは分かりますが、ここはもうすぐ爆発によって崩落するし世に出ることはないと思いますので脱出することだけを考えましょう。」


「そうですね・・・ただ凄く頑丈なので洞窟が壊れても後で発掘されて修理されないかが心配です・・・」


どれだけ頑丈なのかは分からないが凄く危険な兵器なのだろう。それよりも分かってはいたがこの人数をどうやって助けようか悩んでいた。


「こんな時、ミルがいてくれたらな・・・」


僕は空間転移が使えるミルがこの場にいれば時間は、かかるかもしれないが全員を無事に助け出せるかもしれないと思い呟いた。


「私の事呼びましたか?」


ミルが突然、光輝の後ろで返事をした。


「な、なんで君がここに?」


「それは光輝さんが私を必要だと考えていたからですよー」


ミルはぷくっーと頬を膨らませて僕を睨んでいた。


「わかった。事情を説明するから僕と一緒にミルだけ来てくれ。他の人達は危険ですから合図があるまで部屋を出ないでください。あとラプラスさんは僕達が出た後すぐに入り口を塞いでください。」


「分かりました。」


僕はミルと2人で部屋を出て行った。


「来てくれてありがとう。ミル、ここの人達を全員助けたいから協力してくれないか?マジックポーションならいくらでも使っていいから!」


「分かりました・・・ただこの人数だと1人1人送っていたら時間が足りません。魔力消費は多いですが乗り物ごとまとめて送りましょう。」


「それなら近くに駆逐艦があるんだ。それを使ったらいいと思う。」


それだけで良いんなら問題ないと思う。それにしても便利だな、空間転移って!いつか僕も覚えたいと思った。


「でも港まで距離があるしそこまで大人数を引き連れて無事に辿り付けるかな?」


「ミルは駆逐艦ごと転移するつもりなんだよね?」


「そうだけど?」


「わかった、今から用意する。」


この部屋の前は適当な空間があるから近くにインフィニティボックスから駆逐艦を取り出した。


「何も無いところから目の前に?こ、これってもしかしてイ、イン、フィニ、フィニフィニ・・・」


ミルは港まで案内されると思っていたようで目の前で見た光景に驚いて腰を抜かしてしまった。


「できればこの事は2人だけの秘密にして欲しい。」


「2人だけの秘密ね・・・わ、わかったわ。」


「あとミルの空間転移も人には知られない方がいいと思う。僕が魔法で外に通じる穴を空けるから駆逐艦を風魔法で海まで吹き飛ばしたら港に近い海まで転移してくれ。後は操縦出来る者で街まで向かって欲しい。」


「分かったわ。」


僕はまず土魔法で一直線にトンネルを作成し壁の補強をしてから前方の床ごと抉るように風魔法を放つ。すると風がコークスクリューのように回転しながらドリルのように瓦礫も抉っていく。しばらくして外の海水が基地の中へと流れ込んできたので僕とミルは部屋へと戻りみんなを駆逐艦へ避難誘導する。


「あれ?さっきと地形が変わっているような・・・」


部屋の外に出た人達が首を傾げていた。


「たぶん先ほどの爆発の影響で地形が変わったのでしょう。皆さん、細かいことは気にせず部屋の外に、先ほどの爆発で偶然(・ ・)流れ着いた駆逐艦がありますので慌てずに中に入ってください。あと駆逐艦を操縦出来る人はいませんか?今から僕が海まで駆逐艦を風魔法で押しますので、沖に出たら途中からは自力で街まで向かって欲しいと思います。多少の衝撃はあると思いますので皆さんしっかり何かに掴まってください。」


「何処にも破損のない駆逐艦が都合良く流れつくものなのか?」


不思議に思っている人達もいるようだが気にしたら負けだ。


「俺たちは元海軍に所属していた。駆逐艦なら操縦したことがあるから任せて欲しい。」


8人が操縦経験があるということなのでなんとかなるだろう。さっきまで遠かった爆発音がすぐ近くまで迫っていた。ここが爆発に巻き込まれるのも時間の問題だ。


「よし、これで全員避難完了だな。じゃミル頼む!僕も後から脱出する。」


「えぇ?一緒に脱出しないの?」


「僕はまだやることがあるから先に脱出してくれ。後でこの礼は必ずする。」


「わかったわ、無茶しないでね。」


駆逐艦ごと魔法の結界で覆い風魔法で前方へ吹き飛ばした。


「母ちゃん!死にたくないよーーー」


駆逐艦の中から叫び声が聞こえてきたが小さな事は気にしない。こうして島で拉致されていた人達は無事に島から脱出することができた。


「よし、あと一仕事していくか!」


僕はこの島の造船所へと向かった。そこには船首に魔導砲を構えた製造途中の空母艦がありインフィニティボックスに回収した。


「助けてくれ・・・」


耳元で囁くような声で助けを呼ぶ声がしたので声のある部屋へと向かった。

その部屋は宝物庫なのだが周囲には人の気配がまるでしない。


「気のせいか?」


僕は気のせいだと思い部屋から出ようとしたところ先ほどの声がまた聞こえた。


「わしは、ここだ・・・」


僕はひとまず宝物庫にあるものをすべて回収すると声も聞こえなくなったので部屋を出た。魔力感知の映像からすると中央の港はまだ崩れていなかったのでそこへ向かうことにした。途中から中央の港までの通路は傾斜がありアイスバーンで凍らせ同じく魔法で作成したアイスボードに乗り勢いよく滑って向かう。崩落が激しくなってきたが魔法で粉々にして先を急いだ。中央の港はすでに瓦礫の山でエアーショットで破壊を試みるが崩れた柱が固く通路を確保できない。このままの勢いで進めば確実に激突してしまう。タイミングを合わせてそっと手を当て詠唱する。


「デストロイド!」


右手を伸ばし崩れた柱に触れるか触れない距離で次々と消滅していくと、ようやく一筋の光が差し込んだ。50mはある高さから空を駆けるようにジャンプし海へと放り出された。海中から浮かび上がると海上に偵察艇を取り出し偵察艇で街へと帰って行った。

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