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イロワーズの港町

港町には市場がありここで捕れた新鮮な魚がたくさん並べられていた。異世界人の中でも獣人と一部の現代人には大変喜ばれている。中でも刺身と寿司は日本の心であり文化だ。


「ここに来たからには寿司を食べて行かなきゃな。」


父さんがいつになく嬉しそうに寿司屋に入って行った。さて僕は何を食べようか?そう思い辺りを見渡すと天麩羅屋という看板が目に入った。獲れ立ての新鮮な魚を天麩羅にしているその店はちょっとした行列になっていたが、いつまたここに来れるかも分からないので僕は並ぶことにした。


「いらっしゃいませニャン!」


獣人の若い女性店員が元気な声で出迎え店の中に入ると和風で居心地の良い空間であった。


「何になさいますニャン?」


「このお店のお薦めはなんですか?」


「当店は天麩羅御膳が大人気ですニャン。この店の天麩羅は衣がサクサクで中身がホクホクですニャン。天麩羅の説明をしていたら私も早く賄いが食べたくなってきたニャー」


店員はじゅるっと涎が垂れたので素早く口元を拭いて辺りをきょろきょろしていた。最後の店員の気持ちはいらない情報だが僕は天麩羅御膳を注文することにした。


「はい、天麩羅御膳おまちどうさまニャン。」


配膳を終えた店員がおもむろに天麩羅を箸でつまんだ。


「早く口を開けてニャン。」


僕は言われるがままに口を開けると店員が天麩羅をふーと息を吹きかけてから口の中へそっと入れてくれ天麩羅を1つ口に入れると、にこっと微笑んでから店の奥へと戻って行った。この店こんなサービスまでしているのか。天麩羅も美味しいし店員さんも可愛い人が多いから近いうちにまた来ようと心に誓った。天麩羅御膳を堪能していると10人ほどのごろつきが店の中に入ってきた。2つのテーブルに別れ各5人が囲むように座り注文をしている。しばらく静観していたが案の定騒ぎを起こした。


「こりゃ、どういうことだ!この店は虫を客に食わせようってのか!店主呼んでこい!」


見ると確かに天麩羅にした虫だがどう見ても衣の色が違うしここで出された物ではないだろう。


「お客様、私が店主のサルガスです。他のお客様のご迷惑になりますのでどうかお気をお鎮めください。」


店主は叫んで騒ぎを起こしているリーダー格の男に銀貨数枚を渡し帰って貰おうとしているようだ。銀貨を受け取った男達は見ていた客達に睨みを効かせながら帰って行った。


「はー、あいつらには困った物だ。月に数回来るのだがどうしたものか・・・」


店主は小さくぼやきながら店の奥へと入って行った。僕は天麩羅御膳を食べ終えてから店員を呼び話を聞くことにした。


「他にここのお薦め料理って何かな?」


「当店はどれも美味しいワン。私はここの料理に惚れて、ウエイトレスとして働けば賄いが食べられることを知ってここで働くことを決めたワン!私は茶碗蒸しや天麩羅うどんなんかも好きワン♪」


「じゃ茶碗蒸しと天麩羅うどんあと天麩羅の盛り合わせを1つづつ頼みます。ところで、さっきの怖い人達は仕事はしてないんですか?」


「あーあの人達はまともな仕事はしてないワン。この辺りを縄張りにしているごろつきで今のようにクレームを出してはその店からお金を出させているようだワン。お金を出さずに追い出した店は翌日に火事が起こるって噂だワン。あいつらの仕業だという証拠もなく、しかもカリブ盗賊団とも繋がりがあるって噂だから仕返しが怖くて皆困ってるワン。」


「この街の領主にかけあってみてはどうですか?」


「1度街の組合の人達が領主様に助けを求めたのですが証拠がないからと追い返されました・・・」


「そうですか、ありがとうございました。これは少ないですが情報料です。」


そう言って僕は金貨1枚を握らせると店員は大喜びで店の奥へと戻った。


「お待たせしました。天麩羅うどんと茶碗蒸しです。」


それにしても、ここでもカリブ盗賊団がいるのか?困っている人をみるとほっとけない質の光輝は食事をしながら、ぶつぶつと独り言を呟き、まずはごろつき達の情報収集をすることにした。

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