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「早い夏。」

作者: 猫SR






友人の剣道の試合を見に行った。


前回の個人戦では

2回戦敗退で、

順位決定戦にも出場出来ず、

悔しい思いをした様だ。



奴がどんな団体に属して居るかは

ここには書かない。



今日は団体戦だ。


奴は「大将」で。





予選リーグを2位で突破して

なんとか、

決勝トーナメントに駒を進めた。



自分より随分と体格の勝る

どデカイ相手に奇声を発して

果敢に挑む姿は

胸に来る物があった。



大将の奴が試合を勝利に導く姿は

いつもの頼り無い感じとは違い

拍手にも熱がこもる。




何度も体格の勝る相手に詰め寄り

相手を場外に追い出す姿に

並みならぬ気迫を感じる。






決勝トーナメント1回戦、

前の4人は全員引き分け。



勝負は大将戦にもつれ込む。




何度か決めたかに見えたが


主審が旗を挙げない。


或いは副審の内、

一人が旗を挙げない。


中々、2本の旗が挙がらない。






時間ギリギリ、

勝負は延長戦にもつれ込むかと

思われたその瞬間、


奴の、抜き胴が決まり

3人の審判が高々と

白旗を掲げる。






仲間はまるで優勝したかの様な

騒ぎだった。









その勝負を見届けて

俺はタバコを吸いに外へ出る。





しばらくケータイを弄っていると



「試合、始まるぜ。」



仲間の一人が呼びに来た。



「ん、これ吸ったら行くわ。」







熱気で蒸す会場内に戻ると

先鋒戦は既に終り

次鋒戦の最中。





そして中堅戦まで、又もや

全員引き分け、





だが副将戦は此方が負けた。





従って大将戦は

必ず、、絶対に、

勝たなければならない。


「勝ち」が大前提であり、

そこからの代表戦での勝利。






思わず、



「いけやーっ!!」



って叫ぶと

場内アナウンスで



「応援は拍手のみで

お願い致します!」


って、注意されたし。





先鋒、次鋒、中堅と引き分け、

副将が敗れたこの状況、



奴は今日は調子いい、

必ず勝てる、、、



勝たなければ先が無い、、










だが、奴は負けた。










あいつの今年の夏は終わった。










奴には会わずに

俺は会場をあとにした。








単車をいつもの道の駅まで

走らせる。








微糖coffeeを飲みながら

ケータイを弄っていると









「ありがとな。」








超絶短文メールが来た。










蝉の声が、、、


やけに、耳につく。










まだ返信はしていない。










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― 新着の感想 ―
[一言] それ、 父さんの知り合いが、やってます。 見には行ったことないんやけど、 会社に写真が飾ってあるんは見た。 羽織、袴で真っ白な足袋履いて 普段の顔つきと違う眼力が怖かった、 い…
[一言] 居合い術って、本物の刀で 藁とか「スパッ」って、斬る アレですか?
[良い点] 試合会場の緊張感が伝わる作品ですね! お友達への感情がひしひしと伝わって来ました! [一言] 自分も会場で応援している気分になりました!思わず応援の声をあげてしまうくらいの気持ち、友達の…
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