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差別教師に、喝!!

皆、嫌いな教師っているか?

僕には、いる!・・・・・・いや、堂々と言っていいことじゃなぁないけどね

担任や、副担任ではない

体育教師だ。その教師の名前は、「新藤直哉」


「おーい、米田!次体育だぞ、早くグラウンド行かないと!!」

「あ、ああ」

僕は確かに新藤があまり好きではない。だが、別に露骨に顔にも出さない。

「・・・僕っていい子・・・」

「・・・あ?なんか言った?」

「いや、別に」


まぁ、顔に出さないからだろうが、新藤も僕に何か攻撃してくる、とか敵視して

くる、ということもない。ただ、僕はあいつの生徒に対する態度が嫌いなのだ。

「ほらぁ!!遅い遅い!もっと声だせぇ!」

と、大人しめの生徒や、女子に対しては口調を強くしてくるくせに、気の強い男子や、気に入った生徒に対しては、

「あー・・・もう仕方ないなぁ。今回だけだぞ!」

なんていう風に軽~く許したりする。それが、提出物を出さなかったり、私語がうるさかったりしても、だ。

まぁ、僕に対しては、特別扱いもしないし、きつい口調になることもない。


はぁ・・・体育、憂鬱だ・・・

っていうか、僕もともと体育とかで目立つほうじゃないし、そもそも普通レベルだし、やる気の出る教科じゃないんだよなぁ・・・

「おい、お主。なぜそんなに体育を嫌がっておるのじゃ?・・・精霊の国でも体

 育はあったが、わしはすきじゃったぞ?」

「お前が好きなものをすべて僕が好きなんて思うなよ。第一、僕は、ほら・・・

 アイツ、担当の体育教師が苦手なんだよ」

「ほう、そうか。まぁ、合う合わんはあるからの」


今、体育では陸上をやっている。2500m走だ。早い奴は10分ぐらいで走る奴もいる。僕は、13分くらいかかる。まぁ、普通ラインだ。

「ハァ・・・ハァ・・・疲れたぁ・・・」

でも、まぁ、遅くもなし、いいか

「おーい!!有馬!橋本!綿野!もっと速く走れんのか、お前らぁ!!!」

はぁ・・・うるさいなぁ・・・

「・・・あ、小西たち!!お前らぁ・・・もっと速く走れるだろぉ?」

「すんませんってぇ、ね、今回だけ許してよ、センセ!」

「はあ~、しかたねぇなぁ・・・ホントお前らは」

「ありがと、センセ!」

・・・ほんと、甘いよなぁ、小西たちには・・・

小西たちは、僕よりも遅く着いた。

だけど、本当はあいつらは運動神経も良く、走るのも僕よりも速いはずなんだ

新藤だって、分かってるだろ・・・

「ほーう・・・小西たちは、結構足が遅いんじゃのう・・・意外じゃ」

「・・・いや、違うけどね」

「・・・?そうなのか?」

「まぁ・・・うちに帰ったら、話すよ」

「ふーん、分かった、けど・・・大体分かるけどな・・・」


「ただいまぁ」


「で、新藤の話だったよな」

「うむ」

「まぁ、今日の体育の授業見てても分かったと思うけど、アイツは自分のお気に

 入りの生徒にはめちゃめちゃ優しいんだけど、他には厳しいっていうやつ」

「・・・まぁ、そうじゃろうのぅ。わしらの国にも、おったぞそういう先生は。

 好かれるやつには好かれるけど、ほとんどのやつには嫌われておったな」

「アカネのとこにもいるのか、そういう教師が」

「まぁ、こういう奴はどこにでもいるじゃろう」

「アカネは、嫌われてた、とか嫌ってた、とかあったか?」

「当たり前じゃろう!わしはああいうやつ大っ嫌いじゃっ。じゃから・・・」

「だから、なんだ?」

うわぁ~・・・嫌な予感・・・

「少しばかり意見した」

「・・・お前の少しは少しじゃねぇ」


「で?」

「ん?」

「今日体育を見て思ったが、小西たちはそんなに運動が得意じゃないのか?」

「はっ・・・なわけないだろ」

「じゃが、新藤はあまり怒らなかったぞ」

「当たり前だろ。小西たちは新藤のお気に入りだ。だから体育を多少手を抜いて

 やったって、怒られるわけない。しかも、小西たちはスポーツテストとか上位

 のほうだぞ?ほんと、不公平だよなぁ」

「では、怒られていた・・・誰じゃったかな、かなり足の遅い3人組がおっただ

 ろう、あれは?」

「ああ、有馬と橋本と綿野か?あいつらは違うよ。あいつらは、本当に運動が得

 意じゃないだけ。でも、新藤はそういうやつらを責めるんだよなぁ・・・」

「なんじゃ、それは!!わしらの国の教師よりも露骨じゃのう!!」

「まぁ、でも一応あんなのでも教師だからな、言う事は聞かなきゃいけないし」

「そんなやつに、周りは何も言わんのか!?」

「だからぁ、言えるわけないだろ!しかも、新藤に意見したら、もしかしたら小

 西たちからも何かされるかもしれないし・・・」

「またそれか!別に間違ったことをしているわけではあるまい!」

「・・・アカネの言っていることはいつだって正しいよ。だけどな・・・それが

 通じない時だってあるんだよ・・・!」

「・・・っじゃが、」

「察してくれ」


僕とアカネのその日の会話はそれで終わった

アカネもそれ以上聞いてくることもなかったし、アカネなりに納得してくれたみたいだった


「ぉお~・・・ねっむ・・・」

「おい、お主!もう朝じゃぞ・・・ほんと、お主は朝弱いなぁ」

「うるへー・・・起きるよ、起きるから、ちょっと黙れうるさい・・・」

「な・・・・・・っ」

「あー・・・よし。起きた」

「おい!!お主今うるさいって言うたじゃろ!許さんぞぉ!!」

ホント、うるさいな・・・

「はいはい、ごめんごめん」

「・・・真心がこもっていない気がするが・・・」

「そう??」

「それと、わしは昨日のこと、納得とかしておらんからな!」

「昨日?」

「新藤の話じゃ!わしは、やはり間違ったことは正すべきじゃと思う!」

「あー・・・それの話か・・・僕だって、何とかできるものならしたいよ」

「ナルくーん!ご飯食べにおりてきなさーい」

「はーい・・・ってことで、その話はまた後な」

「・・・仕方あるまいな」


学校に行き、教室へ向かうと、新藤の姿が見えた。

「おーい!体育の、陸上のプリント出せよぉ!!」

『ハーイ』

「おっ。米田、お前も早く出せ」

「あ、はい」

体育の陸上のプリント。陸上での感想や、気づいたことなどを書いて提出しなければならない。僕は、月並みの量で月並みのことを書いた。

「おい、米田!何だこの量は!もっと多く書けないのか!」

「あ、ああ・・・すみません」

「もういいっ」

「セーンセ!ほい、俺らの」

「おお、八幡。おい~・・・お前らも少ないだろぉ?」

「ごめんってぇ~・・・許してちょ」

「本当に、仕方ないなぁ~」

「あ、先生・・・コレ、」

「ああ、橋本か、さっさと出せ!」

「あ、はいすみませっ」

「なんだぁ!?これは・・・ホント、体育適当にやってる上にこの量か!」

「す、すみません・・・」

「もういいから、早く席つけ!!」

どう見ても、八幡が出したプリントよりも橋本が出したプリントのほうがよく出来ているし、明らかに対応が違う

僕の肩に乗っているアカネは、耳が痛くなるほどに文句を言っている

新藤には聞こえないのだが・・・

そんなことをぼんやりと考えていると、あるクラスメイトがボソッと言った

「えー・・・新藤先生、ひどすぎでしょ・・・」

「なんか言ったか、誰だ!!?」

「あ、すみません」

結局、怒鳴られて終わりなのだ・・・


そのとき、僕の横を通り過ぎた橋本が小さい声で言った。

「土屋のことは助けるのに、俺たちのことになると、何もしてくれないんだな」

・・・なんのことだ?

正直、僕には記憶がないときがあるから、あまり分からなかった。


「おい、アカネ。僕は、皆からとったら土屋を助けたヒーローって感じなんだよ

 なぁ・・・」

「まぁ、そうなるかの」

「はぁ・・・僕じゃないのにな・・・」

「意見すればよいではないか・・・お主だって、新藤からあんな言われ方をされ

 たんじゃぞ?」

「まぁ・・・な。僕普通の量を書いてたんだけどなぁ」

「というか、小西、谷木、八幡たちのプリントの書き方、アレは何じゃ!!なぜ

 アレで怒鳴られないのじゃ?」

「だから、言っただろ。あいつらはお気に入りなんだよ」

「それでは、本当にがんばっている奴らに失礼ではないか!」

「皆、それで悩んでるんだよ・・・僕だって、困るときぐらいあるさ」

「・・・・・・おい、今日も体育あるのであろう?日課表に書いてある」

「・・・・・・マジか、忘れてた」

本当に、忘れてた・・・面倒くさいなあ~

3時限目か・・・


あー・・・ついに来たかぁ、体育の時間

「おい、鳴海!行こうぜ体育館」

「おー・・・」

「まぁ、新藤のことが苦手なのは分かるけど、早く行かなきゃ目ぇつけられて、

 もっと嫌いになるかもしれねぇだろ」

「分かってるよ」


「おい!!早く並べ!今日からバスケをするからな!」

マジか・・・

「はい、まずは好きなもの同士で3人組になれ!」

・・・・・・まぁ、組み合わせ的には、こうなるよな・・・

もちろん、小西・谷木・八幡はくっつくし

あまってしまった有馬・橋本・綿野は一緒になるしかないし

僕?僕は亮平と土屋と一緒になった

「よし、分かれたな!じゃあ、小西のところと、有馬のところ、3on3やれ!」


はぁ・・・適当にやってんなぁ、小西たち

「ヘイ!谷木、パス!」

「ぇ・・・ハァ・・・ハァ・・・ハァ・・・」

余裕でパス回しを繰り返す小西たちに対して、それについていくのに必死な有馬たちの姿を満足そうに眺めている新藤の姿が目に入った。

「ほらぁあ!!有馬、橋本、綿野ぉお!!もっとちゃんと出来んのかああ!」

「おいこら!新藤とやら!それはないであろう!」

うわ、びっくりした・・・アカネか

そんなに怒鳴ってても、聞こえるのは僕しかいないんだけどなぁ・・・

「おい、おい!!聞いておるのか、新藤!」

だから、聞こえないって・・・・・・ってか、うるせぇ・・・

「・・・すみません、先生。少し、外の空気吸ってきていいですか」

「あ?・・・ああ、いいけど、早く戻ってこいよ」

「はい」


ふぅ・・・

「おい、アカネ」

「な、なんじゃ?」

「う・る・さ・い」

「仕方あるまい!新藤のあの態度はおかしすぎる!」

「分かってるよ、皆。けど、アカネが言ったって仕方ないだろ」

「じゃあ、お主が言えばよかろう!!そこまで体育を憂鬱にしている原因なの

 じゃぞ!!?」

「まぁ~・・・そうだけど、僕なんかが言ったって・・・」

「またそれか!聞き飽きた、と言っておるではないか!」

「さすがに、教師には言えないよ・・・」

「『お主が』言えんだけじゃろう・・・なら、『わしが』言うのはいいのか?」

「は、はぁ!?・・・だめに決まって・・・」

「うるさい」

例によって、僕の記憶はない


「おおっ、戻ってきたか米田・・・こらあ!!橋本、もっと速く走れんのか!」

「おい・・・」

「そうじゃない!!・・・って、米田、なんか言ったか?」

「ああ、言った。新藤、お前おかしいぞ」

「・・・ん?」

「じゃからぁ、お前のその露骨な態度はおかしいと言っておるのじゃ!!」

「はぁ!?米田、何だお前その口のききかたは!俺のどこがおかしいんだ!!」

「お前、さっき有馬たちに対して、怒鳴っておったなぁ」

「それは、あいつらが真面目にやってないからだろう!!」

「もともと運動が苦手な奴だっているであろう!!」

「うるさい!どうしたんだ、お前急に・・・生徒は、教師の言うことを黙って

 聞いていればいいんだ!!」

「・・・言いたいことはそれだけか?」

「・・・は?」

「新藤、お前は日ごろから気に入った生徒には異常に優しく、気に入らない生徒

 には異常に厳しいらしいのぅ!!」

「そんなことはない・・・っ!!」

「じゃあ、なぜ八幡が提出したテッキトーなプリントは甘~く見たくせに、橋本

 の書いた八幡とは比べ物にならないくらいのちゃんとしたプリントにはケチを

 つけたのじゃ!!?」

「そ、それは・・・走るのも速くないくせに、プリントをアレしか書かないのか

 と言う意味で言ったんだ!」

「『走るのも速くないくせに』!?じゃあ、何か。スポーツテストでいい成績を

 出しとるやつらは、頑張らんでいいということか!!?それをおかしいと言っ

 ておるのじゃ!今のバスケとやらに関してもそうじゃ!!必死で息を切らして

 走っておる有馬たちに、なぜ怒鳴る!!」

「それはっ・・・あれだ、もっと速く走れるだろう、と叱ったまでだ!」

「叱る!!?それがおかしいであろう!叱るのではなく、体育教師としてそこは

 ちゃんとしたアドバイスをすればよいのではないか!?お前がしとるのは教育

 でもなければ、体育ですらない!ただの差別行為じゃ!!仮にもお前、教師で

 あろう?生徒に見本を見せるべき立場のものが露骨な差別をするとは、お前は

 教師としても、人間としても、3流じゃたわけ!!」


僕が気づいたときには、なぜか新藤が険しい顔をして、皆が僕に「ヒュー」と、

歓声を上げていた。


体育が終わって、

「おい、アカネ。お前、もしかして、何か言ったか?」

「何が悪い」

何こいつ、開き直ってやがる・・・・・・っ

「っ・・・おい、おま」

「あ、あの!米田」

有馬と橋本と綿野が話しかけてきた

「・・・なんだ?」

「その、俺たち、米田のおかげでもう、新藤に負けないって思ったし、とにかく

 ありがとう!!・・・それだけ、じゃぁな」

「あ、おう・・・」

「の?悪いことばかりではなかったじゃろう?」

「まぁ、今回は、許してやらんでも・・・」

ピンポンパンポーン

「2年D組の米田鳴海。放課後、生徒指導教室に来ること。繰り返す・・・」


・・・絶対許さねぇええええええええええええええええ!!!

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