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ファークライ5

 牧場にて。

 今日も乳牛その他の牛が草を食み、新しい命を生み出そうとしていた。

 そこへいつもの胡散臭いオッサンと足蹴り少女の組み合わせ。


「君の肝臓を食べたい」

「……」

「もちろん、生で」

「……」

「生レバー、(むさぼ)るようにして食べたいんじゃあ!」

「……」

「ウグッ、エグッ……(以下、嗚咽が続く)」

「南極料理人のきたろうかよ」

「わかる人はわかる」



 □■□■



「さぁて、本日、紹介するのは『ファークライ5』!」

「2018年の3月29日発売か。お前が紹介するのではわりと早いな」

「世間一般では攻略サイトがホットだね。出来上がっているところもあるぐらいだ」

「で、お前の攻略速度は?」

「ジョン・シードをようやく撲殺?」

「なんだよ、『?』って」

「ダメ元で投げたスコップがたまたまヒットして、それでクリアになったからな。殺害方法を特定できない」

「悪役的にはもっともイヤな死に方だよな」

「それでも死に際のムービーでは被弾してたけどね」

「作り込みが甘くねーか?」

「まさか、スコップで死ぬとか想定外だろ。それにスコップ投げる前はライトマシンガンばらまいていたし」

「ちなみにスコップ投げた理由って何だよ」

「ライトマシンガンが弾切れを起こしてだな」

「約1000発を無駄にしたのかよ、どんだけ糞エイムなんだよ!」

「この調子だと、お兄ちゃんもファーザーのヨメもスコップで死んじゃったり?」

「そんな奇跡的なトリプルあるかっ!」



 □■□■



「で、お前的にはどの辺が購入のきっかけだったわけ?」

「このゲーム、なんとデブが活躍します! プロモーションビデオを見る限りではバズーカ砲を肩に抱えて、ドッカンドッカンやってるね」

「あっそ」

「まぁたそういう反応をする。だがな、同じ日に発売された『戦場のヴァルキュリア4』にはデブがいない。敵には居そうな気がするが、恐らく味方陣営にはおらんだろう。無印の頃が懐かしいな。モブでちっとも性能が良くなかったけれど、ヒゲ親父とマッスルオカマと腰痛老人とで頑張って『打倒!皇帝』ぐらい前まで頑張れたのは良い記憶だ」

「アリシア無双とか女シモヘイヘは?」

「イケメン主人公をイヤイヤ使用していたオッサンの気持ちを察してくれ給え」

「それって、相当辛いよな」

「規定ターン数のクリアは不可能だろう。やり込めば出来るのか?」

「ついでにその言い方だとお前、未クリアだろ」

「ラスボスとその数話前、主人公の戦車とアリシア無双じゃないとクリア出来なかったはずだ、確か。それで、誰がお前らを使うか! という強い気持ちがエンディングを見たいという気力をへし折った」

「今さらだけど、お前、日本のゲーム、プレイするの向いてないわ」

「だからこそ日本語翻訳された海外ゲームに感謝感激だけどな」


「あと、良くも悪くもファイアーエムブレム!」

「イヤな予感しかしないから黙ることは出来ないのか?」

「ゲームとしては面白かったが、シナリオが受け付けなかった。折角、サジマジバーツで頑張ったのに、ラストの生け贄と伝説の武器の組み合わせに憤然とした。シナリオ的には正解なんだろうが、俺のこれまでの努力が砂塵と化した瞬間だった。あれ以来、日本のゲームの在り方に疑問を持つようになった。反面教師としても良きソフトだ」

「あー、やっぱり言いやがった。テメエはケンカを売ることしか出来ねーのか」

「無視されればそもそもケンカにもならんよ」



 □■□■



「それで、他になんかしゃべることあるのかよ」

「そうだなー。基本的には面白いのよ。オープンワールドで好き勝手出来るからな。でも、ストーリーミッションが苦痛だったな。例えば、ニック・ライ」

「愛すべきヒコーキ野郎じゃないか。奥さんにも優しいし」

「イベントで複葉機を操縦しなきゃならないんだが、これが強制でな。おかげでクリアするまでに何度死んだか」

「洋ゲーって、死んで覚えるゲームじゃん。なに、弱気を弱音を吐いてんの」

「いや、そうだけどね。まぁ、チェックポイントまで到達すればそこからコンティニュー出来たから、どうにかこうにかクリアしたけれど……ジョン・シードのストーリーミッションでまさかの飛行機戦をやらされるとは思ってなくて、ここでも飛行機操作がイヤで何度死んだか」

「でもクリアしたんだろ?」

「一度、ゲームを終了させて再開したらジョンの糞野郎がグレースがいた教会の周辺をグルグル回っていたから、イベントを開始させずに戦闘ヘリを呼び出して、クラスター爆弾をばらまいて撃墜させたからな。そしたらジョンのストーリーミッションが勝手に作動して、パラシュート降下中にジョンの銃がヘッドショットして即死、次のチェックポイントはジョンとの一騎打ちからだったんでライトマシンガンを盛大にばらまいて、最後はスコップだったわけだ」

「ダセー。もっと、スマートにやろうぜ」

「俺の死因、断トツで敵スナイパーのヘッドショットだぜ」

「いや、そこをスマートに言い切るな。お前がスマートに殺る側に回れよ」

「比較的自由度が高い分、死亡率もやや高めなのが海外ゲーム。難易度イージーでクリアできるだけでも御の字だと思うが」

「まだクリアしてねーだろ」

「まぁな。だが、頑張るさ」


「他には?」

「釣りで思わずワロタ」

「は?」

「つい最近、釣りを始めたんだが、近くに釣った魚をお金に換金してくれるオヤジが居て、そのオヤジの声が桐生ちゃん。もう桐生ちゃんボイスのオヤジが釣りを語ると『龍が如く』を強く意識してしょうが無い。まぁ、ボイス当てた側もその辺を確信的にやりやがったんじゃなかろうか」

「フェゴール、お前、疲れてるんじゃね? 今日はこの辺にしたらどうだ」

「そうかな。そうかもな。海外ゲーム、時間泥棒だしな。睡眠不足で作者が仕事でミスしてもマズいな」

「そうだぞ。取り憑いて一緒に楽しむのもほどほどにしろよ」


 と、イタズラな風が足蹴り少女のスカートをはためかせた。


「はためくスカート、横から見るか下から見るか」

「とか言いつつ見ようとすんじゃねー! 落ちろ」


 のぞき魔に非情の強蹴り攻撃。

 予告通り、フェゴールの意識は途切れ、ぶっ倒れた。

 いつもの光景がそこにあった。

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