表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
50/61

その後のリベレーション

 まどろみの昼下がり。シグちゃんから質問があった。


「お前さぁ、地獄に落ちてもすぐ復帰するよな。何でだよ」

「なんでだろう、なんでだろう」

「ふざけないで、真面目に答えろ」

「日本の地獄に眼が異様に鋭いイケメンがいてね。プリティなハートを撃ち抜かれちゃったのクマ。そのコはヤマさんの補佐官だったかな。背が高くてぇ、一見スラッとしているようでハグしてみたらガッシリしていてぇ、クマ、改めて惚れ直しちゃったのね」

「お前の姿でハグが……って、女の姿か!」

「そうそう。健全な男の子だったらかわいい女の子にいきなり抱きつかれても迷惑じゃないでしょ」

「で? その後は」

「すぐ身元がバレて、ぶっとい金棒でホームランされちゃった。でもまぁ、跳ばされた先の極楽で出会った獣に失恋の隙間を埋めてもらったわ」

「へー。でもお前、極楽の方も門前払いされたかのような復帰をするよな」

「何があったのかだなんて、聞くだけ野暮よん」


 自分がグラサン越しからウィンクして微笑むと、シグちゃんがアイリーンばりの「ウエー」な反応を示してくれた。


 □■□■


「さて、あの後の真・女神転生リベレーションの話でもするか」

「お前のことだからがっついてプレイしてるのか?」

「ゲームは一日1時間!」

「お前はどこの名人だよ」

「おいおい、スマホゲーにそんなに夢中になっても仕方が無いぜ。サービス開始からまもなく一ヶ月になりそうだが、課金勢と無課金勢のままならない壁がくっきりと出てきた感じをヒシヒシと受けるぜ」

「例えば?」

「D2デュエルっていうプレイヤー同士が強さのランクを競うところがあるんだが、生き残れてシルバーの1段階目までだな」

「1段階目?」

「そうだな。あのランクシステム、ざっと軽く説明すると……

 ブロンズ①→ブロンズ②→ブロンズ③→シルバー①→シルバー②→シルバー③→ゴールド→ダイア→レジェンドの段階分けがあってだな。

 毎週木曜日の15時に集計とランクのリスタートが行われて、皆、一斉にブロンズ③からスタートするわけだが、初めの3日間はやる気の無いカモを食い散らかす勢いで勝てるから一気にランクが上がる。ところが週末明けの月曜日から水曜日はキッチリと金を掛けて造った奴等が、レベルを上げるだけしか出来ない俺たちを狙いすまして、食い散らかしてゆく。上がったランクがガンガン下がるのは正直、キツいが、弱点を打ち消し、強力なスキルという武器を手にした奴等にリベンジしようとは思わん。リベンジに失敗したら更にランキングポイントが下がるからな」

「何で、ランクにこだわるわけ?」

「木曜日の集計の時間帯に生き残ったランクに応じて、報酬のジェムが支払われるからだ。これが無課金者にとって、ガチャを回すための貴重な収入源なのな」

「実入りは?」

「しおにゃん」

「は?」

「しょっぱい」

「紛らわしい言い方スンナ!」

「スマンスマン」

「それはそうと、シルバー③まで到達したのならゴールドの連中はどんなんだよ」

「想像がつくかもだが、悪魔どもの☆は最低が4。まぁ、☆3のを☆4にしているのもあるが、いずれにせよ☆4がスタートライン。そして、弱点の克服をしているか、弱点はそのままに強力なスキルを所持しているかのどちらかが多い」

「お前、☆5が2ついるじゃねーか」

「弱点を消す努力をしていない☆5なんて、体力バカの☆3みたいなものさ。サンドバッグ的な末路しかない」

「じゃあ、弱点、消せばいいじゃん」

「簡単に言うがな、弱点を消すには一度の合体が30万マグネタイトする☆4の悪魔を造る必要があるのだが、手持ちの悪魔のラインナップ次第では目的の悪魔を作成する前にマグネタイトがガス欠を起こす。それを補充するためには、以前にも記したがしょっぱい数値のマグネタイトしか入手できないアウラゲートを何周もまわるか、課金に頼るかだ。課金だったら30万マグネタイトを一回だけ9,800円で購入可能だ」

「何で一回だけなんだよ」

「さぁ? 保護者対策じゃないか。“大金を必要とする課金コースがありますが、パック商品です。お得な詰め合わせが幾つも入っています。ジェムも2,700個つきます。10連ガチャが3回分引けますよ”みたいな」

「で、これを支払えば、ガチャで少しは優遇措置が働くのか?」

「んな訳ない」

「チクショーメ」

「オッパイぷるるんぷるるん」

「総統閣下ネタはそこまでだ」

「シグちゃんから振っときながらご無体だなぁ」

「じゃあさ、お前が見たゴールド以上の連中って……」

「☆5を何体か所持しているぐらい、鬼回ししているんじゃないかな」

「怖ー。スマホゲー、怖ー」

「だからこそ、スマホゲーは一日1時間! どっぷりハマると自分を見失うぞ。お兄さんとの約束だ!」

「お前、お兄さんつーガラじゃねーだろーが」

「じゃあさ、シグちゃん」

「何だよ、急に改まって」

「さすおにって言ってみて」

「やだよ。そんな物騒なセリフ、いろいろ怖ーよ」


 □■□■


 まぁ、今回はランキング対戦に絞った感想ですが、無課金が強くなるにはおっそろしく気の長い時間が必要ですね。忙しい現代人にそんなヒマなんてありませんから、運営の目論みどおり、チャリンチャリンと課金が落ちていって、ほくそ笑んでいるのでしょうか。

 運営側にも我々の知らない苦労があって、そう美味い汁が吸えないのかもしれないですが、不思議とやる夫AAの『人の不幸で飯が美味い』みたいな現状しか臭わないんですよね。

 女神転生もやはりスマホゲーではこんなものかもしれません。

 Nintendo Switchの真・女神転生新作の発売日発表が待ちどおしいです。

 これって、ひょとしてスマホゲーのガチャ資金から開発費が捻出されているのかしら。

 そう考えると、廃課金様を飽きさせない工夫とか、運営の手腕が問われますね。


 リベレーションは、私の方からドロップアウトします。

 どうぞ気兼ねなく、集金体制に入ってください。

 別の意味で社会現象を起こして、問題化するのは構いませんが、アトラスに迷惑を掛けないで下さいね。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ