PREY、プレイ感想
『フォールアウト4』や『スカイリム』のベセスダの新作が出ました。
その作品名は『PREY』です。
ジャンルはSFで、たった一人、宇宙船を探索するタイプのゲームです。
ざっと簡単にゲーム内容をかいつまむと、未知の生命体との遭遇をどうやりくりするか、10人いるかいないかのエゴの塊のような生存者を相手にどういう態度をとるかで迎えるエンディングが変化する、という内容でした。
思いつくままに語らせてもらいますと、このゲーム、難易度高いです。
『ベセスダのゲームだから、どこかで楽になるポイントがあってー』とかどこか舐めた気持ちで購入したプレイヤーでしたので、ゲーム開始から五時間経ってもちっとも緊張感が途切れないのには驚きました。
それは、敵キャラの存在が大です。
まず、ミミックというドラクエで言うところのスライムみたいなちっこくてすばっしっこい敵。ゲーム内では一番弱いはずのポジションなのに、擬態を使います。
擬態?
えーとですね。このゲーム、重要アイテム以外にもいろんなオブジェクトが散乱しています。大体は持ち上げてぶん投げて敵にダメージを与えるクッソ重たい荷物がゴロゴロしてるんですが、他にも大したダメージにならない……というか、敵の注意を引くために存在してそうな、顕微鏡やトイレットペーパー、ごくごく微量しか回復しないアイテムも落ちています。でも、ミミックはそれらに化けることができるんです。そんでもって、大体、こちら側の視野の外から襲ってきます。
このため、目の前に素敵なアイテムがあるけれど、大丈夫か? というプレッシャーが常に付きまとい、どこへ行くにしても安心できないわけです。
次にファントム。人間の死体から産み出されたクリーチャーで、主人公を見つけると距離が離れていたら波動拳のようなものを放ち、中距離からだとテレポート並みの素早い速度で距離を詰め、ぶん殴ってきます。どちらの攻撃も一撃で体力ゲージがヤバイ状態に達します。ちなみに私はイージーというヌルめの難易度でプレイしてますが、イージーでこのダメージかよ、という絶望を与えてくれるには充分でした。しかもお兄さん、この2体、どちらもゲーム序盤の敵でっせ。ストーリーの進行に合わせて、これの上位種が出てくるんですよ。そして、他にも非常に癖のあるエイリアンが出ます。
いやぁ、この絶望のオンパレードには、ひたすら乾いた笑いしか出てきませんでした。
じゃあ、クリーチャーだけ注意しておけばいいのかというとそうでもなかったです。
主人公の体力や宇宙服の修復をしてくれるオペレーターという浮遊するロボットと、タレットというクリーチャーを発見次第、的確な射撃でコロコロしてくれる頼もしき機械が存在するのですが、前者は場所によっては支配権を誰かに握られたのか『汚染』というバッドステータスをつけて、主人公を汚物消毒とばかりに火炎放射してきますし、タレットはストーリー途中で主人公がクリーチャーの特殊能力を覚えると途端に手のひらを変えすかのように敵認識してコロコロしようとしてきます。まぁ、タレットに関しては固定砲台なので後方から接近してのハッキングで味方認識をすれば問題ないのですけれど。
これもまた、ストーリーが進むと上位種というか強化型のような厄介なのが……。
さて。
こんな話だけされては非常に取っつきにくいゲームとしか思わないでしょう。しかし私は、難易度イージーながらも、これは遊べるゲームだと思いました。というのも、このゲーム、別に敵を倒す必要がない(倒したところで経験値が入らない)ため、コソコソと動き回り、偶然発見した裏口から別ルートへ進んで目的地へとゴールしてもなんらペナルティを負いません。
どうしても倒さなきゃダメな敵もいますが、探索すれば、頼もしいタレットを見つけて、運んで、敵をおびき寄せて片付けさせりゃあいいわけです。ミミックならともかくファントムだと体力があと25%ぐらい残っていることも多々ありますが、ステルス状態からならばボーナスダメージが入るので、序盤に入手して、今でもなお使用しているサイレンサー付きハンドガンでも何とかなります。ショットガンがあると心強いですが、どこにあるんでしょうね。とはいえ、ぐうたらさんと言えば、安定の糞エイムなので、まぁ、弾切れがすごく早いんですね。ですので、非常に心許ないのですが、ごくごく序盤に入手するレンチが一番の相棒だったりします。攻撃力が10で固定、武器アップグレード対象外なので、ミミック以外だと障害物を壊すぐらいしか活躍の場がないのが玉に傷ですが。
あとは、ウロウロ探索していて入手したオモチャのクロスボウですか。
もちろん、使用するのはオモチャの矢です。殺傷能力とかありません。
このゲーム、超序盤に隕石が宇宙船にぶつかった影響で船体のあちこちが損傷します。
具体的に言うと、ガスが流れるパイプラインが損傷して火事が起きていたり、配電盤の故障により漏電している箇所があちらこちらにあります。うっかり足を踏み入れるとあっという間にゲームオーバーという危険エリアですが、クリーチャーたちをそちらへと誘導するとしっかりダメージが入るんですね。
クリーチャーにもよりますが、音に反応して特攻してくるクリーチャーなんかは特にありがたいです。みずから進んで自爆してくれるわけですから。
……とまぁ、こんな感じにチキンプレイヤーにも優しい攻略の仕組みがこのゲームには存在します。逆を言うと、大方のプレイヤーが望むようなドンパチプレイをこのゲームに求めると即死です。
いやもう、主人公が激弱。徘徊するクリーチャーは序盤から殆どが中ボス以上という能力差。
周囲を見渡して、そこにあるものを利用して、チェックポイントを目指す。
それが、このゲームのウリなのかもしれません。
……とまぁ、いろいろ書き立てましたが、主人公はクリーチャーが使用する能力を学習して利用することができます。これを覚えると、実はゲーム難易度がグッと下がります。
あの能力差を人間が会得するわけですから、人外度を上げてしまうのと引き換えに、クリーチャーとの能力差が縮むという寸法です。
例えば、あれだけ手こずったミミックの擬態も自分が変身する立場になると、嘘みたいにクリーチャーがこちらに対して気付きません。しかも、ミミックは身体が非常に小さいので、人間形態だと入れない場所にスルッと入ることができるため、目の前に魅力的なアイテムがある→人間の力ではどうにも出来ない→ミミックに化ける→アイテムゲット! とか、サイコキネシス系のスキルでアイテムを吸い寄せるとか考え方次第でいろいろなことができるクリーチャーのスキルの万能感には痺れるものがあります。
あと、このゲーム、物質が有限です。
つまり、回復アイテムや武器の弾を作る上で、鉱物資源、有機物資源、生体外資源、あとひとつの資源の組み合わせで様々なアイテムを作ることができるのですが、クリーチャーを倒すことで得られる生体外資源以外は生ゴミや粗大ゴミをリサイクラーという機械を通してまず分解して、アイテム製造機で欲しいアイテムを作るわけですが、有用なアイテムほど使用する資源の量が多く……と、その辺もいろいろと考えさせられます。
巨大な宇宙船をあちこち探索します。
リサイクルできるアイテムは多いのですが、アイテムによっては中身の資源に偏りがあります。
レンチだったら、鉱物資源オンリーだが妥当な量を入手。生ゴミなら有機物と何かが得られるけれど量はそこまで多くない等々ですね。
この辺にまで頭を使わなきゃいけないので、人を選ぶゲームになるでしょうね。
その他に良いところと言えば、日本語翻訳です。
ベセスダのゲームと言えば、尋常ならざる誤翻訳&珍訳で日本語音声もそれに準じた台詞を発するため、『フォールアウト』や『スカイリム』にて、シナリオの理解やミッションの目的にいろいろな阻害を生み出しましたが、今回、この『PREY』には、あの『ウィッチャー3~ワイルドハント~』で翻訳を担当したスパイク・チュンソフトに関係する方々が携わっていることもあり、正しい日本語を聞いて、見ることができます。これはまさかのベセスダゲームのとびっきりのサプライズでした。
それだけ、過去作で我々、日本人プレイヤーは翻訳のレベルに泣かされていたということですが。
願わくば、今後もこのクオリティを維持して欲しいところです。というか、元に戻しやがったらゼニアジに呪詛のひとつやふたつプレゼントしようかと思っているところです。
ナニニシマスカー、テメェのことだよ。
五寸釘でカツンカツンされたくなければ、是非とも頑張ってもらいたいですね。
まだ、未クリアですが、道中の旅でも充分に楽しい『PREY(餌食)』。
願わくばもっとたくさん売れて欲しいですね。
美少女とかイケメンじゃないとろくにプレイしないなろう豚さん系のゲームプレイヤーの意識開拓が上手くいけばイケると思うんですけどねー。
たまにはオークが主人公のエロゲー以外の日本のゲームがしてみたいなーとか愚痴って、今回はこの辺で〆ます。




