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ペルソナ5感想  ② 女性キャラクター編

<トピックス>

●珍しく一万字を超えました。根気を必要とするかもしれません。

●ペルソナ5に関して、ある程度のネタバレがあります。

●順位ですが、世間一般の人気投票なんぞ、クソ喰らえでございます。

●一部、暴論を指摘され、デカラビアさんからお叱りを受けました。

 その点だけは謝罪しております。平にご容赦を。

「今回紹介するのは、女性キャラクター編だぞ」

「しかも、ランキング方式にして、ますたーがどんな女の子がタイプなのかがわかる仕組みにしましたぁ」

「何か妙にやる気だな、と思ってたら。マジかよ! これなんて公開処刑?」

「さぁさぁ、遠慮せずに語れ」

「これって、しゃべればしゃべるほど墓穴掘るよな」

「語るのですぅ」

「お、おぅ……」


 ベルフェゴールは、二人の熱意に押されるようにして、覚悟を決めた。



圏外  大宅おおや 一子いちこ


「オカマバーで飲んだくれてるジャーナリストさんですぅ」

「最下位なのは、やっぱ酒か?」

「それはないと思いますよぉ。だって、それだとしょっちゅう飲みに付き合わせるベネリ姉さんは、ますたー、内心では相当嫌ってるってことになるでしょう」

「ふーん。じゃ、大宅の場合、意外性が魅力だよな。ベネリの部屋も、きったないとことキレイなとこがはっきりしているよな」

「ますたーの部屋もそうですよぅ」

「あー、エロDVD鑑賞部屋と寝室な」

「なぁ、シグちゃん。なんでベネリの場合はどの部屋かが知らされてなくて、自分の場合はプライバシーが筒抜けなのかな?」

「ますたー、乙女の部屋は秘密がいっぱいなのですぅ」

「というか、女子の部屋をタダで知ろうとするとか、ねーわ。マジ、ねーわ」


 ベルフェゴール、非難の言葉による精神ダメージを幾らかもらう。

 ベルフェゴールの特異体質『ドM』が発動。ダメージが緩和。むしろごほうびに変換。


「あー、言葉の端々(はしばし)に愛を感じるわー」


 激怒に支配されそうになるシグと、それを宥めるベレッタの姿があった。


「それはそうと、圏外とか失礼な順位をつけてるけど、理由、あんのかよ」

「ランキングつけている時点で今さらじゃね? まぁ、いいけどさ。理由ねぇ……なんとなく」

「は?」

「意味がわからないですぅ」

「いやー、説明求められても困る。初対面で『合わん』と思った。それだけじゃ、ダメか?」

「お前、クズ認定」

「ですぅ」

「えー」



圏外  東郷 一二三ひふみ


「主人公のお友だちさんが通っている高校の女子学生さんですぅ」

「将棋のプロだぜ。あ、わかった。アイツ、頭の良いキャラ、あんまし好きじゃねーから原因それだな」

「シグちゃん、その言い方ですと、私たち、おバカさんキャラという設定になりますぅ。困りますぅ」

「……アイツが、さっさと原因言わないから悪いんだ。オラ、さっさと言えや!」

「すごく横暴に思えるのは自分だけなのだろうか。まぁ、いいや。答えはキャラクターボイスの人な。確か、ペルソナストーカー倶楽部って番組の人だったと思うんよ。でー、その印象が残ってるから、台詞が少ないのと声が妙に小さい原因がなーんか勝手に合点がいってねぇ。いやー、折角の大和撫子キャラが勿体ない」

「勿体ないって、お前、ムチャクチャ失礼なこと言ってんぞ、ゴルァ!」

「うん。マフィアあたりにどやされそうやね。でも、あのイメージがあるから無理なもんは無理。よくも悪くもベルフェゴール、その辺はぶれないの」

「関係者の皆様、ごめんなさいごめんなさいですぅ」

「このバカはあとで折檻しますので、俺たちの土下座でよかったら充分ご賞味ください」

「ふふん。今さらだが、ランキングの怖さをようやく思い知ったようだな」

「お前も謝れよ」

「ヤだね」



◆追記(11/28(月)17時29分記入)◆


 知人のデカラビアさんからお叱りを受けました。

 磯村知美さんのことをウィキペディアにて調べた結果、声優さんとコスプレイヤーを兼業なさっていて、その道では知られた方のようです。

 私は『ペルソナストーカー倶楽部』の司会者さんとしてしか磯村さんを見ていなかったため、このような失礼な文言になってしまいました。

 この場をもって、深くお詫びいたします。



第10位  高巻 アン


「おい」

「何だ?」

「このキャラクターって結構人気あるよな、知ってるよな」

「らしいな」

「じゃ、何で最下位なんだよ、おかしいだろ!」

「…………タバコ、吸ってくる」

「オイッ!」


 ベルフェゴールはシグの制止を振り切るようにして、ベランダへと向かった。

 急に場が不味くなった。

 そんななか、ベレッタがボツりと呟いた。


「ますたーは、キャラクターボイスの人がダメみたいですぅ」

「ハァ? 起用されたのは実力派声優さんだし、実績もあるじゃん」

「世間知らずのますたー、言ってました。『コーハクの人だ。かわいい子だなー、うん、かわいいキャラクターの声を担当か、似合ってるね。でも、コーハクの顔が消えないね。ボツ』だそうですぅ」

「あの野郎、声優のアイドル化は時代の流れだから諦めろ、って言ってるのにちっとも克服しやがらねぇ」

「仕方がないですよぅ。ますたーは古いタイプの悪魔ですもん」

「古いって言うより、化石みたいなレベルだがな」

「と、とにかく、顔が売れている声優さんがますたーにはNGってことですねぇ?」


 ベルフェゴール、窓の向こう側からタバコをくわえながら首を縦に振る。


「ちょうどいい。お前は一二三さんのときのペナルティも兼ねて、しばらく『こう』しとけ」


 シグはベランダの窓に近づくと鍵をかけた。

 その日の夜は首都圏で雪が降るほどの寒さだった。

 ベルフェゴールがタバコをくわえながら、窓を叩いて抗議する。


「お前、氷結耐性があるんだろ? 少しぐらい大丈夫さ」


 シグはしたり顔でそう答えた。

 ベルフェゴールは恐怖で震えた。



◆追記その2(同日同時間帯記入)◆


 知人のデカラビアさんからかなり怒られています。現在進行形です。

 現在、水樹奈々さんの実力云々に対して、正座で説教を受けています。

 名前と顔を『コーハク』で初めて知った口で、ホント、『キレイなねーちゃん』が何かを歌っている程度の認知度でして、デカラビアさんが身体を真っ赤にしてくるくる回るほどに怒るとは思いもよりませんでした。

 無知の恥でしたか、ともかくいろいろと心ないことを放言しましたことを深くお詫びいたします。



第9位  新島にいじま まこと


 30分後、ベルフェゴールは室内に入れるようになった。

 すっかり凍えていたベルフェゴールに、ベレッタから温かいココアの差し入れがあった。


「おー、ありがたやーありがたやー」

「ケッ、氷結耐性が聞いて呆れるな。だらしねー」

「外が凍京だったら危なかった」

「ヒーホー君が喜びそうですねぇ」

「ヒホヒホ。吹雪が気持ちいいホー」

「お前が真似すると、何か気持ち悪いんだよな」

「ヒホー……」

「まだ続けるのか!」

「シグちゃん、ますたー、そろそろ本題入りますよ?」


≫準備中です。しばらくお待ちください。


「お前、キャラクターボイスの人は知っているのか?」

「知らん」

「じゃあ、順位が上なのは納得だが、それでもブービーな意味がわからないな」

「初めはペルソナがバイクで生徒会長繋がりという一方的な期待があったんだ」

「生徒会長って、どの作品のですかぁ」

「ペルソナ3の生徒会長:桐条きりじょう美鶴みつること通称『みっちゃん』な」

「それは、ますたーが勝手に言ってるだけで、世間一般の通称と違いますよぅ」

「まぁまぁまぁ。細かいことは気にしない気にしない。

 でだ、イベント進めるわな。ブチキレたときに口調が変わって少しクスリと来たが、そこで終了。作品違うが、昔、『サクラ大戦V』にて一貫して守ってあげたい系の病弱のおねーさんが『おまんら舐めたらあかんぜよ』と啖呵を切るイベントがあったんだが、あっちの方がむっちゃインパクトがあってなー。まぁ、それと比べると前フリがチラチラとあるせいか、ある程度読める。だから、そこまで

「ストップ。言いたいことは伝わったから、これ以上、爆弾ぶっぱなすな」

「あと、ランク上げのイベントもお堅いことこの上なくて、正直、期待はずれだったんだな」

「警察官になるという立派な夢にケチつけんなよ、クズの癖に」


 クズという言葉に反応したベルフェゴールは、突然、土下座をし始めた。


「…………そうだな、確かにクズだな。自分は。全然ダメダメだな」

「そうですよぅ。ますたーは正真正銘のクズで、どうしようもないダメダメさんですぅ」

「いや、ちょっとそこは否定しろよ。なんなら多少の譲歩ぐらい」

「ハンッ、底が浅いな。俺らもゲーム、プレイしてますからー」

「ってことは、真と杏のイベントも知ってるのか」

「もぅ、警察官の話の時に気付いてくださいよぅ」

「…………うむ。ブリリアントだ」

「このタイミングでパクるのか、お前は」

「やっぱりクズですぅ」



第8位  謎の少女


「何だよ、謎って」

「いや、名前が浮かんでこん。ラプンツェルみたいなネーミングだった気はするが、自信がない」

「あーあー、ネタバレになるからな、そこは合わせてやる」

「でもでも、ますたーにしては少女枠でこんなに順位が低いのも珍しいですぅ」

「完璧な受け答え、合体全書でのこちらのミスに対してもノーリアクション。つまらなさすぎだろう。まだ、カワイイ顔して『サツリクだー』とか言い始める死神アリスの方が可愛いげがあるわ」

「いや、その例えはどうなんだ?」

「ああ、でもわかります。ますたーがイサカさんを選んだ理由が」

「イサカって完璧執事の割には怒りっぽいよな。ああ、ギャップか」

「そう、ギャップ萌えってヤツ? キュンキュン来るわ」

「ハイハイ、のろけは本編でやってくれ。ほかに語ることないなら次いくぞ」

「よし、いくぞう」

「突っ込まねーからな」

「ノリ悪いなー」

「うっせ」



第7位  菜々子ちゃん(仮名)


「お前なー、前作のキャラ、ここで持ち出すか?」

「ふん、プレイ不足だな。死神のアルカナ持ちのランクあげイベントで出てくるではないか」

「確かに出てきますけどぉ、似てますけどぉ、声もない&チョイ役ポジションなのに声優さんキャラクターよりも上位とか、作品を知っている親切な読者さんが激おこぷんぷん丸になっちゃいますよぉ」

「ベルフェゴールは少年・少女・童女・幼女を全力で贔屓ひいきします」

「判官びいきってレベルじゃねーぞ、お前」

「何と言われようが、媚びぬ・退かぬ・省みぬ!」

「せっかくの名台詞ですけど、使い道を誤ると、すっごく痛いですぅ」

「何と言われようと(以下略)

「ダメだ、話にならない。次に進もう」



第6位  御船みふね 千早ちはや


「運命のアルカナを所持する、占い師さんですぅ」

「今回は大宅を除いた大人女子が割と上位にランクインしているな」

「まさか見た目がタイプとか?」

「いや。このキャラの出身がスゴい田舎で村のジジババどもに難儀した……という苦労話をランクあげイベントで少しばかり語られるんだが、作者が似たような理由で引っ越ししたからな。そこに共感した点が高評価に繋がったんだな」

「ひょっとして、お前のランキングってイベントなの?」

「ここが良くも悪くもアトラスのゲームというところだな。

 アトラスのヒロイン候補って、身長の高低こそあれ、均一体型に髪型や服装といったアクセサリーで区別化を図るところがある。

 なろう系豚読者が喜ぶような『けしらからんおっぱいを持つ女子高生』とか『とても小学生とは思えない魅惑の色気を放つヒロイン』みたいな要素は極力カットする傾向にある。

 となると、イケメン主人公の『性格』という部分で暴れまわる自分としては、ポロリな水着のように本音をこぼすヒロインのイベントに対して評価していくしかないじゃないか。

 まぁ、くどいようだがキャラクターボイスがわかっている人の場合は、キャラクターとして見れないためイマイチ感情移入がしにくいから、その辺はコメントを差し控えさせてもらうわ」

「しつこいな、お前も」

「大事なことだろ?」

「シグちゃん、質問を変えた方がいいですよ」

「じゃあ、この話はもうおしまい。他に気になったところはどこだよ」

「ふむー。不完全燃焼だが相手に聞く気力がなければ諦めるしかないな。

 そうだなー、笑って良いところかどうかはわからんが、このヒロインに限り、ランクあげで好感度の高いヨイショ選択肢をチョイスするなら、始終『運命は変わる』一択なんだな。イベントの都合上、いずれ結果がそうなるんだが、まぁ、その一連のイベントの運び具合がマインドコントロールもいいところでな。笑いがこみ上がって仕方がなかった」

「お前の指摘はいろんなものを台無しにしてくるな。やっぱりお前は黙っとけ」

「別にディスってる訳じゃないぞ」

「だからって笑うところかよ、そこは」

「ストップストップですぅ。お二人とも、休憩を挟むですぅ」


≫小休止。


「そういえば、大切なことを忘れるところだった」

「何だよ、まともな発言なのか?」

「ああ。この千早役を務めていたキャラクターボイスの松来まつき未祐みゆさん。

 この『ペルソナ5』の収録後に亡くなられていることを知人のデカラビアさんに教えてもらったんだ。

 だから、黙祷もくとうとキャラに命を吹き込んでくれたお礼をしないとな」

「バッカ、大事なことじゃねえか」

「そうですよ。忘れないうちに行動するのですぅ」

「そうだな」



第5位  武見 たえ


「死神アルカナの、町のお医者さんですぅ」

「この大人女子の高評価ポイントはどこだよ」

「女医さん」

「え?」

「え?」

「おんなのお医者さん」

「言い直さなくても、わかるわ、そんぐらい」

「ベルフェゴールシリーズで云うところのウィン枠」

「ウィンはエルフじゃねーか」

「まぁ、女医さんという点では繋がってますけどねぇ」

「で、女医だから何なのさ?」

「彼女の魅力は、恋人(パートナー)にしたときのルブランでの行動だな。途中でブラックアウトしちゃうぶん、その後の展開に妄想力ドパーミンが溢れちゃう」

「童貞か!」

「しかも、ドーパミンを言い間違えていて、恥ずかしいですぅ」

「女医さんの触診は男のロマン。分かってるね~」

「聞いてねぇし」

「俺のマーラ様も暴れまわり!ってか」

「あ、バカ」


≫下ネタの連発にベレッタの目が座った。


 空気が変わったことに慌てるベルフェゴールだったが、時すでにお寿司。

 ベレッタの『下ネタ撃退天罰パンチ』により、壁に叩きつけられ、四肢が飛び散った。



◆トリビア◆


 説明しよう!

 ベレッタのパンチは、ラノベ界隈でよくある美少女のパンチである。

 あらゆる物理法則を無視した、ブンブンパンチなのだ。

 な、何と、物理無効&物理反射を貫通するぞ!

 但し、対話相手が空気を読まずに下ネタを乱発したときだけに殴る、という縛りがついているぞ。

 美少女には愛嬌が必要だからね。



第4位  奥村 はる


「オクムラフーズの社長令嬢さんですぅ。主人公よりひとつ年上の先輩でもあるですぅ」

「ガチセレブじゃねーか。お前、こんなん趣味だったのかよ」

「ひとつ年上の女の子が、気になる後輩の男の子に割りとヘビーな相談事を持ちかけてくるシチュエーションもそうそうないが、何よりも、春ちゃんとベルフェゴールには共通の趣味があって、それが高評価!

 そうだな、これ、クイズにしてみよう。当ててみたまえ」

「コーヒーを飲む?」

「ブブー」

「春ちゃんは野菜栽培が趣味ですぅ」

「ニアピン」

「ヒントだ。繊細な手つきで『こねる』『よせる』『愛情を込める』趣味だ」

「土いじり……ですかぁ?」

「え?」

「何だよ、その反応。お前が振ってきたクイズじゃねーか」

「ベレッタ、もう一度、ゆっくり言ってくれ」

「つ・ち・い・じ・り……ですよねぇ?」

「何ということだ。俺はてっきり乳いじりかと思っていた。……ハッ!」


 今度は下ネタ発言に気づいて、自ら口元をチャックしたが、やはり遅かった。

 今回は、ベレッタのヘビーパンチにシグの高速キックが加わるというアンラッキー。

 ベルフェゴールよ、次回は大丈夫なのか!



 ぴんぽんぱんぽん。

 ぴんぽんぱんぽーん。


「シグちゃん、休憩の時間が来ました」

「早いな。それに残すところあと3人だ。正直なところ、誰だか予想できるか」

「残る3人枠は、私の予想ですと、1位から順に『剛毅』『隠者』は確定だと思いますぅ」

「あ、やっぱりベレッタもか。となると、3位だよな。『審判』と『節制』どちらも大人だろ。読めねーよ」

「でも」

「ん?」

「敢えて予想するなら『審判』だと思いますよぅ」

「その心は?」

「ますたー、今、4周目ですけど、審判の人のイベントをとばさないですからぁ」

「なるほどな」


 ぴんぽんぱんぽん。

 ぴんぽんぱんぽーん。


 休憩の終了を知らせるベルが鳴る。

 ベルフェゴールがタバコ休憩を終えてきて、室内に入ってくる。

 さて、彼女たちの予想や如何に。



第3位  新島 さえ


「生徒会長・新島真さんのお姉さんですぅ。若手の検事ですけどぉ、実績バリバリのキャリアウーマンなのですぅ。憧れますぅ(と、予想、当たったですぅ♪)」

「うう、再生が追い付かない。し、痺れるぅ」

「フン、ですぅ」

「あーあー、ベレッタが拗ねちゃったな。機嫌戻すの大変なんだぞ、お前」

「鳩尾パンチで浮き上がった上体を踵落としで強制的に沈めたヒトに言われたかないな」

「自業自得だろ。諦めろ。で、このねーちゃん、どのへんがポイントなのさ」

「作中、主人公が取引相手と手を組む度に、このおねーさんの尋問が入るよな。あれ、不思議と何度も同じ経験をしていくうちに癖になるんだ。あの『どうなの?』がなぁ」

「どうなの?」

「違う違う。迫力が足りん。あの『どうなの?』はだな、両手を用いていないのにまるで両手で襟首を閉められて持ち上げられているかのような圧迫感があるんだよ。ただ単に言葉をなぞるだけでは得られない、言葉の重み? とにかく声優スゲーって思った瞬間さ」


「あれ、お前、今回、はじめて声優さんを誉めたな」

「ん? そうか?」

「そうなんだよ。今までずーっと下らないこと痛いこと下ネタばかり言ってたじゃねーか!」

「ふむぅ。ならば、この辺からの順位の方々はベルフェゴールの記憶に刻まれた声量ということだな」

「何でお前、そう上から目線なワケ?」

「あの作者、基本、人の名前を覚えない性格だ。そんなヤツがアニメやゲームを通してだけだが、声の主に興味を持つんだからな。よっぽどなんだよ」

「例えば?」

「例えば……ねぇ、あ、福山潤さんね、今回の作品の主人公」

「うん」

「作者がはじめて彼の声を聴いたのは、『マクロスフロンティア』の少年。確か、ルカ・アンジェローニって名前だったと思う」

「相変わらずだな」

「ああ、好みの半ズボンの男の子だからな。まぁ、それはともかく、この頃は声優さんをあんまり意識してなかった。ただ単にあの少年のかわいさだけにご執心だったからねぇ。

 次に観た作品が『しろくまカフェ』で、彼はパンダくんの役だった。

 あの見た目にたがわず、だらーりとしているが、そこはパンダ。素がカワイイだろ。イメージをぶち壊すことなく演じていて、また、ほかの動物を演じていた声優さんたちも凄かった。割愛するけど常勤パンダさんなんてビクンビクンでなー」

「深くは聞かねぇぞ」

「ああ、助かる。まぁ、そんなことがあって目から鱗が落ちてな。しかも意識し始めると、だんだん気になってくるじゃないか。

 『彼はほかのアニメではどんな役どころを演じているんだろうか?』といった感じに。

 まぁ、作者はリアルがマジでクソ忙しいから、ネットで調べはすれど、実際に『観る』まではなかなか時間がとれないけどな。

 で、今回、ペルソナの主人公の声だろ。ペルソナ最新作への楽しみ、ペルソナ悪魔を呼んでくれるかなー的な楽しみと相まって、ウキウキマシマシだったんだぞ」

「で、呼んでくれたのか?」

「ふむー。ダウンロードの方はちゃんと名称で呼んでるけど、うちらはダメっすな。

 その点だけは、鳴神悠こと浪川大輔さん乙カレー」

「お前なー」

「反省はあとで充分するさ。で、伝わったか」

「ああ。悔しいけど、な。興味を持ったかそうでないかの語りかたの違いぐらいわかるわ。だからと言って、お前がしでかした失礼な言い方は無かったことにはできないからな」

「まぁ、その辺はおいおいどうにかするさ」


「ところで、話ぶった斬りだが、このねーちゃん、パートナー要素がなかったのが残念だった」

「嫌な予感しかしないが、どういうのを希望してたんだよ」

「あの尋問中にな、『フハハ、あなたの妹の心は戴いた。身体も』とか言ってみたかったなぁ」

「そんなに死亡フラグを立てたいなら今すぐ願いを叶えてやるよ」

「おいおい、落ち着け二人とも、さっき死んで蘇生途中なんだ。まだバラバラにされるのは勘弁だー!!」


 願いは叶い、ベルフェゴールは大きく吹き飛んで遠い星のひとつになったとさ。



第2位  川上 貞代(さだよ)


「主人公の担当教師ですぅ。最初からやる気のない態度が前面に出ていて、人気がないそうですぅ」

「ペルソナシリーズってこれまでにいろんな先生がいたけど、コイツは見た目からしてもうダメだろ」

「だが、『節制』アルカナがあり、ランクあげであんな態度をしていた理由が明らかになる。作者はこの辺にコロッといったな」

「お前は?」

「女教師という聖職に就きながら、メイドという裏のバイトをやっている背徳感に一票だ」

「ほー(シグ、ついでに指の骨を鳴らす音を添えて)」

「作者だって、メイド好きだぞ。洗濯にマッサージに最大限利用していたぞ」

「でも作者さんは1周目プレイでは川上さん以外のパートナーを選ばなかったですぅ」

「それは単に各パラメーターが足りなかったからだろ。実際、各パラメーターがマックスになる2周目から川上以外のキャラクターをパートナーにしている。2周目は双葉、3周目は春、4周目は妙ってな」

「ん? それって、双葉以外はこのランキング順だな」

「ますたーが言うとおり、双葉ちゃんは優しさパラメーターが足りなくて、1周目ではパートナーにできなかったようですねぇ」

「だろう。だから、また暴力を受ける謂れはないと思うのだが?」


 この発言後、場が冷えた。


「はー」

「ますたーは何にもわかっていないのですぅ」

「何がだ?」

「オレらだって好きでお前を蹴ってるんじゃねぇよ。お前が本能のままにどうしようもないことを喋るからそれがオレらの怒りの琴線に触れるんだよ」

「んん? このランキングでシグちゃんたちは思う存分しゃべれといったじゃないか」

「こういう場では、普通、キャラクターの魅力を語るのが本当のあり方なんですよぉ。なのにますたーの口から出ることと言ったら、リビドー全開でフリーダム過ぎますぅ。私たちの抑止力がなければ、ノンストップじゃないですかぁ」

「よし。じゃあさ、一回だけチャンスをやるよ。お前的に真面目なコメントでこのキャラクターの魅力が伝えられたら赦してやるさ」

「ありがたやー。そうだな。川上さんとのロマンスは教師と教え子のイケナイ関係が蠱惑的だと

「死刑!」

「執行ですぅ」


 バカはこうして死んだ。だが、再生能力がある限り、また蘇る……。



≫ベルフェゴールの肉体再生が行われている最中のこと。


「結局、『剛毅』選ばれなかったな」

「あり得ない、あり得ないのですぅ」

「でも、事実だ。受け入れるしかない」

「うう。ますたーのこと、信じてましたのにぃ」


 ふたりは悲しみに暮れていた。


「新しい身体、爆・誕☆」


 復活するベルフェゴールをよそに、少女たちが涙していた。

 復活の途中からその理由が耳に入っていたベルフェゴールは、拍手で二人の注目を引いた。


「君たちふたりが自分のことをどう思おうと、期待は裏切らないぞ。

 ネタバレするならば、この順位紹介のあと、次があるんだ。だから、司会進行を止めないでくれないか?」

「ふん。きっと特別枠とかそういうのだろ」

「まぁ、特別なのは否定しないなぁ。でも、特別というのはそういうもんだろ」

「ううう。……わかりましたぁ。ますたーを信じて仕事を全うするですぅ」

「まぁ、それでいいさ。さぁ、続けてくれ」



第1位  佐倉さくら 双葉ふたば


「シナリオ中盤から加入するパートナー候補の一人ですぅ」

「重度の引きこもりという珍しい境遇からの加入で、ファンの好き嫌いが激しいキャラクターらしいぞ」

「カワイイ少女じゃないか。それに休学中とはいえ、現役女子中学生(・・・)(←これ非常に重要)。そそるわー」

「ますたー、また公式サイトの説明を都合良く解釈してるですぅ」

「おい、ちゃんと読めよ。中学卒業扱いの高校1年生と記されているだろーが」

「え!? ええっ!!」


 orz


「……まぁ、ややダメージが入ったがロリコン枠ではセーフだ。彼女は青い果実。未開封。ノーロリコン・ノーライフ。大丈夫、イケる」

「お前、その台詞だけでも充分、性犯罪者リスト入り出来るんじゃね?」

「ハッハッハッ、冗談でもキツいな、それ」

「いや、マジで、冗談抜きで」

「えー」


 orz


「ますたーは、他にどんな点で1位にしたんですか?」

(おい、フェゴール、ここは真面目に答えろよ。じゃないと超ドレッドノート級のダメージ入るぞ)


 ベルフェゴールは、返答するよりも早くシグによる念話で釘を刺された。

 ベルフェゴールは考えた。だが、わずか数秒で、ベレッタの目をじっと見ながら答えた。


「見た目だな。キリッ」

「あ”?」


 シグの忠告も効かず、ベルフェゴールの一言はベレッタの怒りを買った。


「まぁ待て。今回ばかりはいくつか言い分がある。

 例えば、自分のこの長い髪とグラサンだが、これを眼鏡と置き換えて、自分がこの世を忍ぶ仮の姿(※1)と双葉の姿を見比べてみると良いさ。

 それに、公にできない趣味の数々。例えば、盗聴。

 ニュアンスは違うが、目的の方向性。復讐と敵討ち。

 姿かたちこそ違うが、同じ覚醒ペルソナ(プロメテウス)

 これを意識するな、って方が難しいな」

「作中で、双葉の父親はよくわかっていないんだぞ。テキトーなことを言うな」

「まぁね。逆に考えると空想の余地はある(※2)よな。

 ま、こんな感じで、あの子の存在は色んな想像力をかきたてるのさ。

 だから、見た目なんだ。ベレッタ」


 ベレッタは、深呼吸をした。

 それは貯めた力をゆっくりと放出するようにも見えた。


「やれば出来るじゃないですかぁ。普段から、もっとこういうコメントしてくださいよぉ」


 ベレッタの怒りは完全に霧消した。


「その指摘はもっともだ。だが、下らないネタや下ネタがまともなコメントよりも早く口に出る性分だからな。なかなか」

「いや、そこはワンクッション置いて、言葉を選べば良いじゃねーか」

「んー。まぁ、検討しとくわ」

「検討とかじゃねーよ、すぐ実践しろよ、バカ」

「ハッハッハッ」

「いや、そこ笑うとこじゃねーから」


 ベレッタはやや頭を抱えるしぐさを見せたが、この目の前のロリコン悪魔は同時にドMという属性があったことを思いだし、制裁自体の無意味さを悟った。

 何度も言うようでアレだが、再生能力持ちの大馬鹿につける薬はないのだ。


「そういえば、ごく少数だが、この引きこもり設定がダメだという指摘があったらしい」

「はぁ? むしろ現代っぽくって良くね? 今の風潮をよく捉えているじゃん」

「引きこもりが力を持ったらいけないのですか、ますたー?」

「さぁ? しかし、過去作には社会不適合者がペルソナに目覚めた例がいっぱいあるから、引きこもりだけを目の敵にしてガーガー言うやつの気が知れんわな」

「あん? 誰かいたっけ?」

「分かりやすい例を持ち出すなら、首にチェーンを引っかけた、シックスパックの男子学生」

「「おおー」」

「ますたーのこの姿のもとの持ち主さんも変人さんでしたよねぇ」

「恋人を殺されて、復讐を生き甲斐にしていた盗聴屋だもんなぁ」

「恋人にしたいからと、元の人格に別の人格を上書きしたお前がコピーしていい人物なんかじゃねーんだからな」

「悪魔な自分に、シグやベレッタの辛い生い立ちを立ち直せる技量はない」

「堂々と開き直るな。自覚しろってことを言いたいんだよ」

「自覚と責任はきちんと持っているつもりだがな」

「本当かよ?」

「見捨てない。譲らない。裏切らない。悪魔が人を好きになったんだ。これぐらいは守らないと」


 ”裏切り”という言葉に反応する、ふたり。

 ベルフェゴールは、そんな二人をよそに話を勝手に進行させた。



至高  ジュステーヌ&カロリーヌ


「えー、『ペルソナ5』の2周目から彼女たちと戦うことができます。

 戦う? という反応をされたかたに軽く説明しますと、ペルソナシリーズは本編のクリア後のお楽しみとして、エキストラダンジョンや2周目要素といったコンテンツを用意しています。

 でー、ペルソナシリーズにとって切っても切れない関係というのが、このベルベットルームの住人とのイベントというやつで、遡ること『ペルソナ2~罰~』のエキストラダンジョンからこの伝統が続いております」

「質問があります」

「はい、イサカさん、どうぞ」

「ペルソナ2からというのは誤りではないですか? 確かにベルベットの住人は複数登場してきましたが、絵師・ピアニスト・歌い手・イゴールの方々は一度も戦われていません」

「チッチッチ。エキストラダンジョンを最後まで進むとですな、『ペルソナ』と『ペルソナ2~罪~』でチョロッと登場しただけのフィレモンさんがチョウチョの集合体で罰のメンバーと最後の戦いを挑んで来るんですわ」

「フィレモンさんは、確かイゴールの上司という設定でしたわね」

「上司というか、上位の存在みたいな? まぁ、偉い存在であることは間違いない」

「なるほど、理解しましたわ」

「うむ」


 と、ベルフェゴールはチラリとシグとベレッタを見やった。

 シグとベレッタは火照るほっぺたを両手で覆い隠すようにして、かつベルフェゴールと視線を合わせようとしなかった。

 実のところ、至高という存在を読み上げたところから彼女たちは思考停止しており、進行に障害が起きた。

 そこで、『困るフェゴールに颯爽とイサカ』という諺にあるように(ありません)、片割れのピンチをベストパートナーが掬い上げ、今に至る。


「喜んでますわね、二人とも」

「そうだな。ジュステーヌ&カロリーヌを取り上げるということは、シグ&ベレッタを重要視しているということの現れでもあるからな」

「へぇ……そうなのですの。ではジュステーヌさんとカロリーヌさんはどんな方なのですの?」

「そうだな。二人ともペルソナではおそらく最小年齢ではないかと思う、幼女たちだ。

 カロリーヌは口調と行動が荒っぽいが、同時に子供っぽさがかいま見えて微笑ましい。

 ジュステーヌはおしとやかで優等生な佇まいを見せるが、時おり、子供らしい残酷な発言がをえぐるように効いてきて、なかなかに味わいがある。『このゲス』とか言われたら、おじさん、悶絶しちゃう自信があるね」

「そうですか。よかったですね」

「そうそう。イサカも相手の発言を適当にあしらう技術が高くなって、おじさん、泣けちゃうね」

「誰が私をそうさせたのでしょうね?」

「ふむぅ、誰だろうな?(いつものしたり顔で)」


 ベルフェゴールとイサカの醸すにこやかトークと不穏な雰囲気は、いつも通りであった。


「あとは、ジュステーヌ&カロリーヌといえば、『合体』だな」

「……合体ですか?」

「アッチではなくて、真面目な方だぞ?」

「存じてますわ。あなたではないのですから」

「……うむぅ。引っ掛かりを感じるが、まぁ、いいとしよう。

 ジュステーヌ&カロリーヌは、さる重要局面にてこの言葉を用いた。そして、儀式を経て、別の姿へと生まれ変わったわけだが、普通のペルソナファンならただのイベントだ。

 だが、メガテニストと呼ばれる古い人々はそう思わない。

 この一連のイベントに『アトラスらしさ』を感じずにはいられなかった。

 故に、この二人には『至高』という順番を超えたスタンスが必要だった」

「まぁ。私はてっきり、あなたの趣味からきた順位かと思いましたのよ」

「ははは。そう思うのも無理はない。ロリコンという病にかかっているのは事実だしな。だが、やはり、アトラスのヘビーユーザーというのは、はじめにメガテンありきなのだ」

「ずいぶんと重たい愛ですわね」

「理解されないことのほうが普通だろうね。だが、それでいい」

<注釈>

※1:ペルソナ2~罰~に登場した、パオフゥさんの姿をお借りしてます。

※2:双葉の母、若葉とのやりとりをpixivにて掲載予定。有料会員になるかどうかお悩み中でして。

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