コンビニは理不尽が基本です。
以下における事象は、我が身にふりかかった事実ですが、嘘臭いとよく言われます。
信じるも信じないもあなた次第です。
その① トイレ掃除をしていて通報される。
本来、コンビニの清掃業務に男女はないのですが、トイレ掃除だけは男が女のトイレを清掃するのはアウトのようです。一般の会社ではどうなのかなぁ。多分、清掃会社のおばはんが男も女もやってくれているのかな。映画やかりあげくんの漫画を見ている限りでは。
あ、かなり重要なことを言い忘れていました。
ぐうたら、社会不適人なので、一般職? まぁ、サラリーマンしてないのでその辺のことはよく分からないのです。
通報されるまでは、エプロン着用、マスク着用、ゴム手袋装着……とほか、清掃に必要な道具をバケツの中に入れて、モップを手にいつも通り、女子トイレから清掃していました。
何で女子トイレからなのか、と言いますと、印象でしょうか。それと実体験。
とかく、男子トイレは汚いんです。まっさらな雑巾が真っ黒もしくはかなり黄ばんだ状態になるのが普通です。その反面、女子トイレはそこまで汚くならないので、気持ちよく清掃ができます。
何よりも雑巾がそこまで汚れないので、そのまま男子トイレにまで使用できます。
男子トイレから始めると、最悪、使用した雑巾を再利用することなく捨てなくてはならない状態があり得ますので、一枚の雑巾で二つのトイレが清掃可能なのは女子トイレさまさまなのです。
その日も、いつも通り、トイレがきれいになっていくさまに半ば、ハァハァと興奮しながら掃除しておりました。
今だから冷静になって考えが及ぶことですが、ヤバいですよね。女子トイレでハァハァ言いながらトイレ掃除しては。しかし、わたくしの悪い癖なのですが、ひとつの物事に打ち込んでいて、それが本来のキレイな形へと戻る過程というのは、別にトイレ掃除に限らず、興奮するんですよね。
男子トイレでも?
男子トイレは女子トイレ以上の汚物エリアです。達成感はハンパ無いです。
ぶっちゃけると、立ちます。
わたくし、EDを患って長いですが、今でも男子トイレ掃除をやりとげたときだけ元気です。
まぁ、そんなある日、たまたま利用しようとしていたお客さんと出会ったわけです。
わたくしが掃除に打ち込みつつ興奮しているという瞬間に。
場所がトイレですから、ラブストーリーなんて突然に始まりません。代わりにお客さんが開いた扉をそっと閉じて、しばらく後に屈強な警官が二名、男子トイレの扉を開いてやってきました。
わたくしは、かつてない恐怖を感じましたね。
汚い男子トイレに屈強なおとこが二名ですよ。
アーッ! と叫びつつ、取り押さえられました。
その後……はですね、何かパトカーが二台、玄関口をへの字にして停めて、サイレンが鳴ったままの状態で、事情聴取が行われ、オーナーを呼ばれ、念のため、通報者の言質をとる形で隠しカメラのチェックが女子トイレにて行われました。何かよくわからん機材を持ち込んでの念の入れようでした。
警官がヒトを見た目で判断して、それでかどうかは知りませんが、携帯電話の履歴まで調べられたのはウンザリでした。
出会い系の利用サイトがザクザク出てくるだろうと思っていたようですが、残念なことに、わたくしは二次元のヒトです。
トイレには何の証拠もなし、電話にはナニも出んわで、警察側には当初の勢いが消え失せていました。
結局のところ、警察側はこちら側の「トイレ掃除をしていた」という主張を認める他なく、通報者側が逆に嘘のでっち上げを盛り込んだ件でやり込められていて、涙声が響いていましたが、やがてパトカーと一緒に仲良く連れ去られていきました。
まぁ、この一件があって、わたくしはオーナーから女子トイレを清掃することを禁止されました。
今となっては、当時の状況を知る人たちでの笑い種になっております。
その② 人生初のチョークスリーパー
わたくしは、聴力に不自由しています。ぶっちゃけ、背後から声をかけられても反応できません。
日中、狭い路地を通行中だった幅広の車がその前を歩いていたわたくしに対して散々クラクションを鳴らしたそうですが、全く気づかず、向こう側からやって来た歩行者の反応を見て、ようやく気付く……という有り様です。
まぁ、そんなわけで、ある夏の暑い夜の日にその事件は起きました。
コンビニには弁当の仕分け作業というお仕事があります。
まぁ、弁当以外にもパンやパスタ、デザートもあり、それらを業者さんの持ってきた箱から棚に移す、という単純なお仕事が。
よおくバカにされますが、この一見単純な作業のなかにも実に細やかなその店独自のルールがありまして、ルールに従った並び方があるのです。
まず、このルールを初心者の方に教えるわけですが、覚えきれません。
せめてメモでも取って、やる気の片鱗を見せてほしいのですが……割愛します。
ま、その日も、わたくしが非常に面倒くさいエリアを作業中のときにそれは起きました。
わたくしは良くも悪くも作業中は集中するため、いつも以上に物音が聞き取れなくなります。
その時、わたくしにカップルの男が何か聞いてきたそうです。
当然、聴こえていないので、無視という状態になります。
相手はチンピラです。その上、彼女を連れています。
コンビニの人間ごときに、そのプライドを大きく傷つけられ、プッツンしたのでしょう。
作業中であるがゆえに、膝を曲げていました。
チンピラからすれば、実に首を絞めるのにもってこいだったと思います。
後日、病室でその後のあらましを聞くことになりました。
コンビニは二人勤務です。
わたくしの意識を飛ばして、動かなくなったのを見て、チンピラはロッキーポーズのようなしぐさで店を出ていったそうです。女もかなりノリノリだったそうです。
危機が去ってからすぐさま、もう一人の夜勤者が通報と救急車を呼んでくれたようです。
カップルが捕まったのはラブホだったそうです。ヒトを殺すと気分が高ぶるというのは本当なのですねぇ。
後日、許してチョンマゲみたいな内容の手紙が届くのですが、わたくしは一読もせず破り捨てました。
一読もせず、何の根拠があって反省文を反省していないように扱うのか?
ガキンチョの窃盗の反省文で経験済みだからです。ましてや、今回は殺人未遂。
許すわけ無いじゃないですか。
その③ 武装オタクの熊殺し伝説のネタにされる。
まぁ、これはチンピラからオタクになっただけなんですが、こっちは気を失うまでが酷かった。
またもや背後から狙われたわけですが、今回使用されたのは、スタンガンです。
スタンハンセンではありません。念のため。
うなじをいきなりヤられまして、咄嗟に動けたのがよくなかったのでしょう。
ぶっ倒されて、身体のどこかに押しつけられました。
痛いとかそういう感情は分からないというのが正直なところでした。
そして意識をなくすのですが、目の前が白くなったのが最後の記憶だった気がします。
本当かどうかは不明ですが、オタクはキャバクラで取っ捕まったそうです。
とても熊が倒せるとは思えない緩慢な動きによるボクサーパンチもどきをおねーちゃんに見せつけて、自慢していたそうです。
またも反省文が届きましたが、今度のやつは身体に痕が残っているだけに憎しみも相当でした。
刑務所に入らない条件として、実際に素手で野生の熊を殺してみろよ! と喚きましたねぇ。
どうなったのか、チンピラもオタクもその後は杳として分かりませんが、反省はしなくて良いので、決して日の当たるところでまっとうに活動してほしくないものです。
さて。
お客さんにも度々言われているのですが、こんな目に遭って何故辞めないの? という答えですが、聴力障害もちの社会不適格者にはそもそも転職の機会がありません。
なので、みっともないことですが、わたくしはコンビニを続けるしかないのです。




