伊左坂ぐうたら、とは?
『相手のことをもう少し考えようよ』
えー、読み手さんはですね。
感情移入をしたいそうです。
ですので、主人公のみならず、他のキャラクターの描写をなるべく詳しく説明してくれないと、想像が湧かなくて、ソッコーで「つまんねー」と思い、ブラウザバックとなるそうです。
なるほどー、とは思うのですが、同時に「あ、それ無理だから」と即答に至る自分がいます。
自分は細かい描写、ある事象についての精密な説明を苦手とします。
何と言いますか、本人が物事に対して感覚で生きているためか、説明がざっくばらんになります。
関係ない話ですが、私のコンビニ観は「臨機応変。なるようにしかならない」です。
ライバル店が次々と出店します。
本部の方々はすごい危機感をもって事に当たります。
まぁ、確かに殿様商売でモノが売れる時代ではないですから。
お客さん(←仕事の時以外ぐらいはこの呼び方にさせてください)は、より気持ちのいい気分にさせてくれるコンビニの方へと足を運ぶ時代です。
そうやって、我々は自然淘汰されるのです。
生き延びたければ、密なサービスを常時維持し、お客さんの一挙一足にアンテナを……ああ、面倒くせぇ。
うん。
こういうセリフは仕事以外ではあんまり言いたくないですね。
特に椅子に座り、パソコンを起動し、コーヒーを飲みながら「こんなこと」を書いているときは特に。
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まぁ、よく云われることをあえて文章に載せておきますか。
「コンビニで接客しているのでしょ。どうして、相手の気持ちを掴んだ分が書けないの?」
仕事の時に用いるメンタルを、趣味の時に用いると多分、私は文章が書けなくなる恐れがあります。
仕事の時のメンタルは、なるべく気配りに心を砕いている状態です。
この状態で、フェゴールと相対する奴らを説明すると、情がわく可能性が出てきます。
設定の段階で、です。
これは、思春期真っ盛りに文章を書き連ね、結局、文を書くのをやめた理由の一つになります。
書きたいのに、書いたら、こいつらは主人公によって!!
ダメだ、俺にはできない!!
というわけでジャンルを替えて挑むのですが、平坦な日常をつらつらと書いても面白味はないので、ドラスティックになろうとクソ野郎を登場させるとします。
すると、途端に気持ちが萎えるのです。
クソ野郎の末路を『大型重機による懇切丁寧な二度轢き』に設定したにもかかわらず、最終的にはクソ野郎に愛着が出て、赦してしまうわけです。
クソ野郎に人生をむちゃくちゃにされたら、普通なら、包丁片手に相手の腹を刺し、えぐるぐらいはやってもバチ当たらないんですが。
そんな話が面白いわけなく、いや、その前に話自体が面白くなく、ぐうたらの文章はものの5~6行で残酷にも飽きられ、ある者はテレビのリモコンを、ある者は時計に視線を映して、帰宅の話を持ち掛けてきました。
思春期真っ盛りは同時にお多感な年頃でもあります。
この頃に『なろう』があったら、多分、退会しています。
打って変わって、現在です。
半難聴という半端な自分でも受け入れたオーナーのもと、コンビニで相当年数働いております。
ある日(というより正月に)、偶然出くわした同級生から『なろう』の存在を教えてもらいました。
同級生は、自分が小説もどきを書いているのを覚えてまして、昔話のついでで『なろう』が出てきました。
彼は口が上手く、おだてられ私は彼の言われるがままに登録して、封印していた黒歴史ノートを引っ張り出し、彼のアイディアをもとに、作品を投稿しました。
処女作『フェゴールとアスモデ』です。
まぁ、当たり前のことですが、処女作の大ヒットだなんて、職業作家がペンネーム変えて投稿でもしない限り、早々うまく行くわけないです。
自分の話でスンマセンが、相当年数コンビニで働くとですね、期待されないのが普通になります。
お客さんあってのコンビニとは言いますが、そもそもお客さんはコンビニにそんなに期待はしてません。
たまたまそこへ立ち寄って、あるモノあればラッキー程度です。
無ければ、むちゃくちゃ怒る人かネチネチ粘る人との相手が待っています。
何も言わずにスッと帰ってくれる人はかなり優しい部類に入ります。
まぁ、それでもコミュニケーションと言いますか、なかった時のフォロー次第でお客さんになり、やがて常連さんになってくれるから、世の中不思議です。
さて、アスモデのモデルになった彼は違います。
彼のアイディアをもとに自分が作った作品が無反応なことに納得いかず、ある日(確かひな祭り前後)、怒声とともにどなり込んできました。
曰く「お前の文章能力がこんなに低かったなんて計算外」から始まり、最終的には「お前に対して渡した俺のアイディア代を渡せ」という本音が出てきました。
その当時、かなりエキサイトしていたその同級生は、知らない人から見れば店員さんの首をぎゅうぎゅう締めようとしている殺人未遂者です。
すぐさま警察が呼ばれ、事のあらましを後日、刑事から聞かされました。
詳細に話すのは心の傷と向き合うことになるので、ざっくばらんになりますが、当時、ヒモだったアスモデはお金を必要としていました。
そこで彼は何らかのきっかけでラノベの存在を知り、賞金を見て驚いたそうです。
どこの応募だったか知りませんが、金賞100万円というのを見て、そして、日付がまだあったのを確認し、広い交友関係を最大限に使用して手当たり次第に電話したもののなしのつぶて。
ガッカリしつつコンビニに入ったら私と邂逅したわけです。
アスモデが自分で文章を書かなかった理由は『ガラじゃないから』でした。
それで原作者というポジションで私にアイディアを提供するという形をとり、私は彼のアイディアを尊重しつつも、彼のアイディアだと書きにくさがあってか、自分流で書きこみました。
怒れる彼曰く、それがいけなかったみたいですが。
まぁ、彼の言う通りのままに書いたところで結果は一緒だったと思うんですよ。
何せ、アスモデは賞金しか見てなかったし、私は書きはじめた当初、ラノベのことをあまり知らなかったのですから。
ああ、そうそう。
ちなみに彼の皮算用は、原作者の俺が賞金ゲット。原作者だから俺が印税ゲット。
私、切り捨てでした。
たかがコンビニ勤務ですが、これを刑事から聞かされた時、思わず吹き出しました。
あまりにも社会経験が少ないコンビニ勤務者ですが、「ないなー」と第一声。
私よりもはるかに波乱万丈な生き方をしているヒモのアスモデが、どうしてこれがうまく行くと思ったのでしょうか。
お金に困るというのは、そんな彼の経験則すら狭めてしまうとは、まっこと恐ろしいですね。
その後の彼の処遇を刑事と話し合いしました。
私の方からの要望は『2度と顔を見たくありません』でした。
願いはかない、以来、アスモデの姿を見ていません。
まぁ、こんな事件があったあとからなのか、そこのところは本人も自覚ないのですが、文章はより破壊的に刹那的に、そして超テキトーになりました。
私が生み出した側のベルフェゴールやパートナーズには愛着がありますが、その他は、テキトー星人です。
一応、イベントを考え、キャラを動かします。
ですが、本当に大まかな流れしか書きません。
細やかな部分への説明には、真面目になりたくないのです。
そんな姿勢ではラノベでは全く受けないのですが、ぐうたらは気にしません。
期待されないのには慣れています。
そういえば、どこぞのブロックユーザー様から『圏外ランキング・更新中作品最底辺作家』の2014年度、2015年度の2連覇を達成したことへのメッセージをいただきました。
こちらのやる気をへし折る行為だったのかな?
残念ながら、せっかく貰ったものなので、Twitterの自己紹介欄に記載させてみました。
どん底にふさわしいタイトルのようですし、最大限有効利用します。ありがとうございます。
長々と駄文を重ねましたが、結局のところ私は『ラノベに合わせる気が全くない』のです。
結果は粛々と受け入れる代わりに、フリーダムに書かせてください。
そういう作家もどきの存在を認めてください。




