ウィッチャー3、日本人向けだと思いますが……
日本で有名なゲームといえば、「ドラゴンクエスト」か「ファイナルファンタジー」でしょう。
前者は古き良きロールプレイングを提供し、後者はバリバリのムービー、イケメン美女で構成された主人公軍団で、常に何かしら新しいことをプレイヤーに強制させます。
目指す路線は違いますが、共通していることもあります。
次に行くべき場所がどちらも指定されている点です。
日本のロールプレイングゲームは、別名レールプレイングゲームと言われるほどに、開発者があれこれと指示した通りに動くのが良し、とされています。
ゲーム初心者ならば、何の悩みもなく、ほどほどの難易度を味わって、時折差し込まれるイベントに一体感を得るなり、イケメン美女たちのスタイリッシュな動作に目を奪われるなりです。
そうやって、うまくワクワク感を保ちながら、次の目的地へと移動し、ボスを倒して終了です。
まぁ、最近はメインシナリオ以外のサブクエストに力を入れて、別の楽しみを提供してくれる作品もあります。その一方で、メインシナリオ以外のことをする余裕がなかったのか、一本道で駆け足で抑揚にかけた作品もありましたが……。
さて、日本語訳された海外ゲームのロールプレイングゲームはどうでしょうか。
「オブリビオン」「スカイリム」「フォールアウト3」「GTA」といったゲームの影響からか、オープンワールドと称されるただっぴろい大地を縦横無尽に駆けずり回るゲームが多いですね。
最初は辺鄙な村からスタートして、徐々に自分の移動範囲を広げていくのですが、これが普通に楽しいです。
日本のゲームには「見えない壁」というのが存在します。一見行けそうな場所でも、文字通り、見えない壁に遮られて、自由な行動を著しく制限されます。
シナリオをクリアして初めてその壁が消えて、次の目的地へと行けるようになるシステムだからです。
その辺、日本語訳された海外ゲームにはそんな壁がありません。
行こうと思えば、端から端まで行けます。ただし、ところどころプレイヤーのレベルとかけ離れた高レベルのモンスターがウロチョロしてたりします。まぁ、まったく通れないというわけでもなく、その辺は自分の持ちうるスキルやアイテムを使用し、モンスターの特性をうまく利用すればどうにか通れるというバランスがあります。
なので、移動範囲を広げるだけでも充分楽しいのです。
現在、自分は「ウィッチャー3~ワイルドハント~」というプレステ4のゲームを、雨が降っていて、雷が鳴りそうでパソコンの立ち上げが怖いときに限り、プレイしています。
主人公は、白髪頭にヒゲモジャのおっさんです。
日本のゲームで好まれるような、美少年美少女ではありません。
長いこと、化け物退治をやってきた設定上、頑丈そうな鎧を着込み、身体つきはマッチョです。
日本のゲームでやたらと好まれる、細マッチョとかアイドル体形なのに、重量感のある剣や槍を簡単に振り回すようなキャラではありません。そして、絶対に普段着姿で世界のあちこちを回りません。
いや、普段着姿であちこちを回ろうと思えばできることはできます。ただ、防御力が最低水準なので、難易度「ストーリー(別名:ベリーイージー)」でも、そこそこレベルがあったとしても、ちょと下のレベルのネッカー(ゴブリンみたいな小鬼)相手に軽く死ねます。
重ね重ね思っていたことですが、レベルが上がっただけで、何故か衣服にまで異様な防御力を持つようになる日本のゲームのおかしさが、日本語訳された海外ゲームをプレイすることにより、ハッキリしました。
ですよねー。
さて、このゲーム、例にもれず、オープンワールドです。
端から端までの移動が楽しく、ドキドキハラハラしながら歩き回っております。いや、あまりにも広大なので、街道を闊歩するときは馬に乗り、怪しさ満点の崖や洞窟を見かけたら、馬から降りての探索を。時に海や湖の底に潜っていって、お宝漁りをやってます。
日本のゲームと違い、そのエリアに売っていないポーションが一つだけ入っているという設定ではなく、割りといろいろなものが宝箱に入っています。
(レベル縛りがあるものの)強力な剣だったり、未知のレシピだったり、売ればいいお金に換金できる宝石や真珠、錬金術や職人に頼んで作らせる「製作」に必要な材料だったり……とバリエーションは豊富です。ときに手紙や日記が入っていて、それを読んだら新しいクエストが開始されたり……という驚きもあります。もちろん、新たなお宝ゲットのチャンスでもあり、思わず舌なめずりをしてしまいます(笑)。
ちょっとクセがあるといえば、その辺を徘徊しているモンスターを倒しても経験値がほんのわずかしか入らない……というところでしょうか。
日本のゲームにありがちな、高レベルのモンスターをどうにか苦労して倒しても入る経験値は変わりません。
あと、モンスターを倒してもお金は入りません。モンスターが落とすのは、モンスターの身体の部位です。主に「錬金術」か「製作」の材料に必要になるぐらいです。
つまり、レベルが上がりにくい&お金が貯まりにくいシステムなのです。
だから、宝探しが輝くわけです。
では、レベルはどうやってあげるのか? という疑問ですが、これはメインシナリオ&サブシナリオをクリアするだけです。
適正レベルというのがありまして、±5の範囲内でしたら、クリアと同時にきちんとした数値の経験値が入ります。低レベルで高レベルのシナリオに挑むこともできますが、経験値は適正レベルと同じ数値しか入りません。そして、高レベルのシナリオに挑むということは、当然、出てくる敵も高レベルです。正直、難易度ベリーイージーでも辛すぎるのでおススメしません。幸い、この手のオープンワールドなゲームは様々なサブシナリオが用意されているので、レベルアップにそこまで苦労しません。
面白いな、と思ったのは、メイン&サブシナリオどちらにも言えることですが、うまく会話を誘導すれば余計な戦闘を回避し、クエストをクリアし、安全に経験値が得られる点です。
そして、必ずしも戦闘を回避することが絶対ではなく、ムカつく相手にはケンカを売って戦って、身ぐるみを剥いでもいいし、それまでのプレイスタイル次第ですが、温情をかけて見逃したり、容赦なくバッサリやっても構わないわけです。まぁ、適正レベルの戦闘はベリーイージー以外は力押しが出来ず、戦闘時にも若干の駆け引きが必要で、緊迫感を楽しめる仕様です。見事です。その分、倒した時の達成感が半端なく、勃起することもままあります。
日本のゲームにはこういう駆け引きはほぼなく、「○ターン後にこういう行動をとるから絶対に防御」とか「敵がこの姿勢に入った瞬間が攻撃のチャンス」等々、開発者の都合にあわせた討伐方法でないと効率よくダメージが入らなかったりします。
私が大好きなアトラスのゲームにも残念ながらこういうパターンが散見されます。
さて、本日のタイトルにもあるように、「ウィッチャー3」は日本人でもプレイしやすい部類のロールプレイングゲームだと思います。
ゲーム画面の右端にヒントがあり、行き先や何をすればいいのかをキッチリと載せていますので、その通りにやれば、何の苦労もなくメインシナリオは進み、レベルが上がるわけですから。
まぁ、それでもゲームによくある最高レベルの剣や防具の入手は世界各地を回って、設計図を入手する必要があります。その辺は、このゲームがオープンワールドであることをはっきりと自己主張してます。
あるゲームのように最後のダンジョンに全部が揃っていて、モンスターが番人やっているという自己完結型ではないので、美少年美少女スキーの日本人には、正直、面倒くさいかもしれません。
それでも、私はこのゲームを推します。
世界のすみずみを回る楽しさは、流石海外ゲームです。
絶景スポット探しも楽しみの一つになります。開発にお金かけているだけあって、素晴らしい力の入れようです。
ぜひぜひ、やってみてください。
あ、それと小さな驚きを追加で紹介します。
① 装備した武器防具のままイベントが始まるとそれが反映されている。
日本のゲームはゲーム初期の衣装のまま、イベントが始まります。
クリスタル系をつけようが、ロトシリーズだろうが、一切の変化がありません。
やはり、装備武器&防具の姿が反映されるというのは、イイものですね。
② 建物のドアを開いたら、ロードしない。
これは以前ブツクサ言っていましたが、「龍が如く」や「ティルズ」シリーズのように、ドアを開く(10秒待たされる)、用事を済ませる、またドアを開く(10秒待機)といった、テンポを壊す雰囲気がゼロです。「スカイリム」も、面白いのですけれどゲーム内データが大きくなるとロード地獄でした。
このゲームでは、ごく普通に主人公はドアを開き、用事を済ませ、ドアから出ていきます。
ごくごく自然のことがきちんと反映されているって、やっぱりイイですよね。
プレステ4をお持ちで、国産ゲームが最近つまらないなーと思っていらっしゃるそこのお方。
「ウィッチャー3」が、貴方にゲームの面白さを広がらせてくれますよ。
最後に、ローカライズを担当してくださった、スパイク・チュンソフト様へ。
適切な日本語表現を、ほとんど規制をかけず用いてくれて大変感謝しております。
その辺の飲んだくれが、「牛のタマ袋みたいにずっしり重いぜ」とか普通にしゃべってくれるので、何気ない日常会話がとても楽しかったです。
中世ヨーロッパを思わせる舞台ですから、当然、識字率や教養のないやつが普通にゴロゴロいます。
そんな奴らが、一切の下品な会話なしにあーだこーだしゃべるのは違和感バリバリです。
ですから、港にたむろっている酔っ払いや船乗りたちのおしゃべりは楽しかったです。
また、優良な海外ゲームのローカライズを行ってください。
ぜひ、お願いします。
そして、このローカライズが実現するよう、ウィッチャー3が日本でもバンバン売れて欲しいです。




