旅の仲間
「おおー、潮の香りだー!」
【確かに凄いな。どうやってあの高い建物を作ったんだ?】
私達は出来るだけぶっ飛ばしてスカイラインに来ていた。これまたグラウンドラインに並ぶ活気付いた街のようだ。
「ん?そういえば出発する前、ライに手紙って出したんですか?」
「いいえ、出しておりません。1週間ごとに出せと言われておりますので」
【もしかしてあんたライを驚かせたいのか?】
「そうとも言いますね」
意外とイタズラ好きのサムさんである。
ちなみにディバルフはいつもと変わらず私の肩に乗っている。そのせいで少し注目を集めてしまっているようだが、とりあえずは大丈夫だろう。
「さて、ライ様はこの先の宿屋『潮の音』にいらっしゃいます。」
「おりょ?サムさんは?」
「再会を邪魔したくはありませんので、ね」
「え?」
【ほら、さっさと行くぞ。】
ディバルフが髪を引っ張ってくる。なんだかわからないがサムさんは気遣ってくれているらしい。
「うーん、まあじゃあまた後で会いましょう!」
私は宿屋に向かって歩き出した。
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第2の王国、スカイラインの街。この大陸が統一される前にあった、グラウンドラインに次ぐ勢力、スカイライン王国が解体されて出来た街である。そういう背景があったためこの港街はとても発展している。
魔物避けに聖なる祈りが込められた石の壁が街の陸に面した部分を取り囲み、他では滅多に見られない20階以上の建物が各所に点在している。市場には近くの海で取れた新鮮な海の幸(氷の魔法で氷漬け)がズラリと並び、それを求めて、様々な所からやって来た人々が歩き回る。海には船がたくさんあり、他の大陸に向け出港している。
と、ガイドブックを読んでみた。初めてここに来た時は色々はしゃいだりしたものの、4ヶ月ともなると見慣れ、見飽きてきた。
「ほらよっ、この俺様特製の人喰い二枚貝のスパゲティだ!と、これいつもの手紙だ」
「おぅ、ありがとよ。わざわざ部屋まですまねぇな」
「サービスだよ、サービス。しっかしまだ見つからねえのかい?たくさん探偵雇ってんだろう?」
「まぁ、分かってんのが大まかな特徴と名前だけだからな、しゃあねぇよ」
俺は15通程の手紙に目を通しながら答える。本当は探偵ではなく従者なのだが、言うなとサムから釘を刺されているので言わない。
「今週も変化は無し、か」
と、廊下を走ってくる気配に気が付き、同時にドアが開いた。このおっさんの娘シオンだ。
「ライさーん!ライさんにお客さんですよー」
身分はもちろん偽っているが、名前だけは本名を名乗っている。サムは偽名がいいと言ったのだが、俺の意見が通った形だった。
嘘っぱちは嫌いだからな、なんて考えているとシオンの後ろから人が出てきた。
「えーっとライ?」
その人は4ヶ月探していた人が。前に会ったときと全く変わらない困ったような微笑みで。
【こいつがライか。】
何やら白い紙で折ったような作り込みの細かい喋るドラゴンを肩に載せて、立っていた。
登場人物
1. 2人目の勇者、ライ