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大陸間鉄道の旅

 ジアーズが、全世界の技術者と莫大なお金、そして沢山の年月を費やして発明した『豪速超特急』。魔物に襲われる事もなく、一番平和に移動が出来る快適な移動手段だ。


「んおぉ!すっごーい!」


 俺の隣で投影スフィアを掲げて、はしゃぎまくるのはラミアだ。ちなみにそのスフィアは昨日の観光中に俺が買ってあげたもので、折り紙を作るのに役立ちそうだ、と喜んでくれていたのでなによりである。


【……おい…。田舎臭出まくりだぞ】


「うぅっ、べ、別にいいもん。田舎者と言われても、そのせいで財布盗まれても折り紙折れればそれでいいもんね!」


「いやいやいや。財布は盗まれるなよ」


 とまぁ、それは置いといて。

 この特急列車は五大陸の各主要都市を直線で結んでいる、ブラッディな色の列車だ。その流線型ボディはそういうマニアにとても人気で、プラットホームはそこそこの人で賑わっていた。

 ちなみに、俺達が乗るロッソ行きの列車は新型だとか。


「じゃ、撮るだけ撮ったし、先乗るか?」


「んー、そだね。乗りますかねー」



 中はさっぱりとした、1人1人の空間がとても広いつくりになっていた。それはもう、足をゆったりと伸ばせるくらいに。


 元々、この鉄道を利用する者は少ない。大抵の旅人は船を使うからとか色々な理由があるが、一番の理由は、やはり『利用料金が高いから』である。普通、魔物に襲われる心配のある乗り物とない乗り物、どっちに乗りたいかと聞けば常人はない乗り物を選ぶだろう。が、世界の技術者が寄って集って造ったこの技術。高くないはずがない。

 そんな感じでお金がむちゃくちゃ掛かるので、この車両を造った人達も『どうせあんま乗客来ないんじゃ?…よし、それならもっと広々と作ろうや』ってな感じだろう。

 蛇足として付け加えておくと、1人当たりの利用料金は、なんと農家の人の年収の約10倍である。


「って言うか、そんだけのお金どこから出したん?」


「ん?いや、んー……まぁ色々あって、移動費用だけなら父上が出してくれるって約束を取り付けれたからなー」


【へぇ……。中々協力してくれない国相手によくそんなん取り付けれたな】


「一応王子と言う立場ではあるからな」


 ………んまぁ、はい。実を言うと、元はそんな約束なんて無かった。

 父上は相も変わらず俺に冷たかったので、『自分の金は自分で稼げ!』みたいな感じだった。もちろんそれはそれで当たり前ではあるのだが、それに反対したのが俺の超優秀な弟テイト。そのあとテイトは、よく分からん話を父上と繰り広げて、結局そんな感じでまとめてくれたのだった。弟さまさまである。


 ……何か兄のはずなのに弟に任せっきりだな、俺……。兄より役に立つ弟、かぁ。んー、ありがたいんだけどなぁ……


 と、そんなことを考えていると、急にピイィィィイ!と鋭い笛の音が空を切り裂いた。出発の合図だ。


「よーし。んじゃ、いざ次の大陸へ行きますか!」


 ラミアのやけに気合いの入ったその声を聞き、思考を切り替えて。


「おうよ!」


 俺は、そう応えたのだった。



 ―――また来た時はあいつの手土産持って挨拶ぐらいは行かないとなぁ。なんて考えながら。




▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲▽▲


 大陸間鉄道の旅はその宣伝文句通り、実に快適な旅であった。静かで、広くて、売ってた弁当が美味しくて、過ぎ去る景色が素晴らしく綺麗で、そして何より、揺れない。揺れないと言うことはつまり、折り紙折り放題、本書きたい放題な訳だ。うん、実に素晴らしい技術だね。


 ちなみに、隣ではライとディバルフがどこから持って来たか盤を置いて、チェスをしている。もちろん折り紙であるディバルフは動かせないので、私が動かしてあげてたりする。てか、ほんとにどこから持って来た。


「ディバルフの番だぞー」


【んー、……ポーンをc3へ】


「ふいふぃ」


 折る合間合間にチラチラと見ていたのだが、やはりディバルフの方が強いっぽい。

 ディバルフは色々考えていて、捨て駒にしたり特攻させたり、駒の使い分けが賢い。考える時間は少し長めだが、安定している。…性格出るねぇ。

 対してライは何か、ノーシンキングの行き当たりばったりな気がするのだ。まぁ、それでも何となくという勘で、数歩先まで考えているディバルフとそれなりに張り合えるのはすごいのだが。……彼の性格が出ているのだろうか?


 ちなみに、私は今、本の補足を色々書いていた。サリアの町で折ったカマキリの時とか、高速船の隼の時に参考にした折り方や、ついでにその時の状況をなるべく詳しく記していくのだ。これをしっかり書いていくことで、どういう工程を辿ってその形に至ったのかをきちんと理解し、似たような造形のものを折るときに参考にしていく、という訳である。


「んーっと……『―――参考にしたのはP135のパンドラの箱で、上のひだを煙突にする』っと」


「……パンドラの箱って、何作ってるんだよ…」


【ん?パンドラの箱って、あれだろ?魔物のハンドラーをモチーフにした奴】


 ディバルフが白黒の板との睨み合いを止めて(いや、本当は睨むどころか目というものも存在しないのだが。)、聞いてきた。自分で言うのも何だけど、たくさん折ってきたのによく覚えてると思う。適当なのも含めたら1000は折ってんじゃないのかね。


「そうそう、適当に折ったんだったけど中々応用が効く奴でさー。あ、良かったら見」



『ロッソ駅~。ロッソ駅に到着いたしました~』


 と、魔法で拡声された放送が私の声を遮った。いつの間にか窓の外から見える景色が輝く青から、人工的なグレーの色彩に変わっていた。等間隔で、ロッソの国章のタペストリーがかかっている。

 ふむ。やっぱ鉄道の駅が通るだけあって都会的だなぁ。


「早っ、まだ4ゲームくらいしかしてねぇぞ?……まあそれにしても、新大陸、か……。セシリアが早く見つかるといいんだがなぁ……」


「…んだね」


 私は到着後の予定を考えながら、ライの不安そうな声に答えた。

何か今日、『魚とナッツ』って言おうとしたら『豆とナッツ』って言ってました。


…豆とナッツって……同じだよ!!



しかもその後、『大根のサラダ』を『大根の魚』と言ってしまい。お魚さんがこっちに混ざり込んでますね。



更には、周りの人に『脳に血管詰まっとるんかもしらんねー』って言ってました。そりゃ、血管くらい詰まっとるわな。


言い間違え3連続、めっちゃ恥ずかしかったです。



以上、私のどーでもいい話でした。

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