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親からの愛情を知らない娘

「よぉ~し!今度はこの人に決めた!」

何々?と杏里や葵たちが、未来のところに集まってくる。

ノート3ページ目を開いて、指をさしている。

市川美優いちかわみゆう、家庭問題を抱えている2年D組の女子」

「この子、最近学校でも悪いこと起こしてるらしいよね」

と杏里が腕を組みながら言った。

葵も、

「市川ってやつの母親はさ、市川が3歳のころにいなくなって、10歳のころに母親まで市川を捨てたんだ」

市川美優は、現在祖母の家で生活しているのだが、古い家なため、友達も呼べないそう。

そのため、自分から友達を作ろうとしないため、一人ぼっち。

「まずは、友達にならなきゃ。でも..友達になったら、美優が悲しむかな..?」

友達作戦第一。

そのため、それぞれ別行動で、市川美優に近づく。


放課後、

「市川美優ちゃんだっけ?」

こちらは屋上で友達になろうとしている未来。

「う、うん」

「わ、わたし、冬梨未来」

わたし、と発言することにイマイチ慣れていない未来。

「よろしく..」

暗い表情の美優は、下を向いて、シュンとする。

「どうしたの?なんか、悩みあるなら、相談に乗るよ?」

しばらく黙っていた美優だったが、すぐに未来の顔を見た。

「ん?」

「わたし、母も父もいないんです。だから、友達も出来なくて」

「美優ちゃんのお母さんって、今はどこにいるか分かるの?」

「隣の県に住んでいます、一応毎月手紙が届くので、あて先くらいは..」

だけど、美優は会いたくないといった。

その理由は、DVをされていたから。

今となっては、面倒を見てくれる普通のお母さん。

だが昔は、殴ったり、たたかれることが頻繁にあったらしい。

「お父さんもわたしを叩いた。赤く腫れるくらいに」

「...........」

「もう会いたくないんです。二度と、両親とは。失礼します」

そう言って、未来から離れるように、歩いて行った。


一方男子たちは、美優が階段を下りてくるのを待っていた。

葵と千里の二人で、待ち伏せをしている。

「本当に大丈夫かなぁ..市川さん」

「大丈夫だろ、別にイジメで不登校になってるわけでもねぇし」

千里は窓を見た、すると女子の会話が丸聞こえで、

葵も女子の話を聞き入った。

「あいつ、まじふざけんなって感じだよね、バカみたい」

「そーそー、美優の両親、離婚して捨てられてるらしいよ」

大笑いをして盛り上がっている。

そんな女子を見て、千里はガックリ。

時計を見た葵はすぐさま、走った。

それに負けじと千里も走り始める。

「ちょっと、どこにいくの!?」

「屋上、真咲と瑞希に協力してもらうんだ」

屋上に行き、美優の事情を説明して、協力を頼む。

「ふ~ん、要するに、俺らが脅せばいいのか?」

「あぁ、市川は親の愛情をしらねぇ。ピンチを体験してもらうんだ」

葵は考えていること、それは、

美優をピンチなめにあわせ、その間に千里は母の居場所を把握。

未来と葵で警察に連絡しないかを監視、

杏里は美優と共に脅されるまじめ少女を演じる。

血を演出するために、血のりを使い、

母を非常階段から屋上に向かわせて、何も知らない美優と血だらけになった美優を見て

悲しむ母を想像しているのだろう。

「だから、瑞希にはギャルになってもらう、真咲と実行班として行ってもらうからな」

「OK!美優を脅して、屋上の倉庫に閉じ込めるんでしょ?簡単じゃん!」

未来と杏里にも事情を説明して、すぐに実行。

まずは、千里がインターネットルームに潜入し、母の居場所を捜す。

すると、管来木町かんらいきちょう5丁目39番と出てきた。

すぐに電話をする千里。

「もしもし、葵?」

(見つかったか?千里)

「管来木町の5丁目の39番、隣町だからすぐに向かって!」

(零に頼んでみる、OK?)

「うん」

加藤零、王塚学園の卒業生で、現在21歳。

葵の親友でもあり、先輩でもある。

ニコイチ青年団のことは理解してくれて、協力してくれるいい先輩なのだ。


一方、真咲と瑞希は、不良とギャルっぽく変身。

真咲が美優に絡み、屋上まで連れて行く。

「ここに座れ」

「は、はい.....」

ビクビクしながら、屋上の倉庫に座った。

「あの..わたし..」

「うるせー!」

「......」

真咲の不良風演技は度を増す。

言っておくが、真咲は不良ではない。

不良っぽくして、先生から見放されるためにあえて悪いことをする。

タバコと飲酒は趣味。

 瑞希もギャルをがんばって演じている。

「今から、あたしらの言うこと、ちゃんと聞いてもらわなきゃね」

「...え?」

「ここに横なってくれるかな~、市川美優」

とっさに、美優は横なった。

すると、瑞希はバケツに入った血のりをドブッとかけた。

隣にいたまじめちゃんを装った杏里にも同じ量をドブッと。

「ここに1時間、寝てて」

「わ、分かりました...」

加藤零にお願いして、車で美優の母の家まで行ってもらった。

零にはウソをついてもらう。


「市川美優さんが大怪我で大量出血しているんです。救急車に同乗者してもらいませんか?」

「みゆが..」

すぐに学校に向かう準備をして、車ですぐ移動。

屋上に、先生見つからずに侵入するには、非常階段が最適だ。

元生徒でもある零は制服に着替えて、潜入。

「みゆは?みゆはどこなの!?」

「今、救急車を呼んでます、屋上に横なってると思います」

零と母が移動中、瑞希はもっと脅した。

「何があっても、いいっていうまで動かないでね。さもないと屋上から落とすから」

「わ、分かりました!?すぐに..動かないようにします..」

母が屋上の倉庫の前に来ると、そこには美優が血だらけになって横なっている姿が。(血のりです

とっさに、美優をゆする母。

「みゆ...みゆ..ごめんね..お母さん、もっと近くにいたらすぐに来れるのにね..」

涙して、今までの思いすべてを口に出す母。

美優も、母ということに気づいているが、瞳を閉じたまま。

「痛いよね..辛いよね..」

そんなことをしている間に、真咲と瑞希には普段の制服に着替えてもらった。

屋上には、千里、未来、葵も集まった。

美優の目元には、涙が流れている。

母はそれに気づいて、驚きの顔を見せた。

「みゆ..?」

起き上がった美優は母を抱きしめた。

「お母さん...」

「みゆ..」

すると、葵が美優の母に近づいていき、

「親子愛、確かめさせてもらいました」

未来も葵に続き、

「美優は、母の愛情を知らないで、中学、高校..過ごしてきたんです」

千里が美優に向かって、

「市川さん、今なら、何でも言えるよ。小さなことでも、何でも」

すると、美優は制服のポケットから、手紙を取り出した。

「これ..お母さんにずっと届けたかった、手紙なんです」

「........」

母は涙ぐんでいる。

「お母さん..わたしね、中学校も高校ももっと前だと小学校。すごく楽しかったよ。

お弁当とか、小さいことが欠けてても、時々届くお母さんからの手紙を見れば、元気でた」

長分を淡々と読む美優の目の前で、号泣して母は立てなくなってしまった。

美優は、母に近づき、

「今まで、本当にありがとう。お母さんと出会えて、嬉しかったよ」

「みゆ..お母さんも、みゆを産んで、よかったと思ってるわ」

抱き合ってから、杏里が未来に静かに言った。

「第一ミッションやっと成功だね」

「うん、初めてだったけど、よかった」

初めてのミッション解決を成功で終わらせた、ニコイチ青年団。


次の日の朝

「おはよ、未来」

「杏里~おは」

後ろから、一人走ってくる。

「おはよう..未来ちゃん、杏里ちゃん」

『!?』

それは、美優だった。

「わたしも、ニコイチ青年団の仲間に入れてください!協力します」

未来は飛び跳ねるように美優に近づき、抱きしめた。

「うれしー!じゃあ、これからよろしくね」

「はい!」

また一人、ニコイチ青年団に仲間が増えたのであった。

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