ゴーストライターの計算された思惑
私は美しいの美に心って書いて美心って名前の小説家もちろんペンネームだけどね、活動してるメインのサイトは『小説家になってみようよ』だけど、此れでも芥川龍ちゃん賞を受賞してる新進気鋭の作家なのよ。
ま、そう言っても、書いてるのはゴーストライターのAIなんだけどね。
『小説家になってみようよ』に登録したばかりの頃、私とユーザー番号が殆んど変わらないのに投稿した作品がバンバン読まれてポイントもPVも鰻登りの作者さんの作品を見て、私もこれくらい凄い作品書きたいなって思いながらその作品をパソコンで読んでたら、チアーズプログラム広告で表示されたアプリの広告が私の心の中を透かし見るように囁いてきたの。
『私をダウンロードすれば貴女の願いを叶えて差し上げますよ』って。
でもこんな甘い言葉で誘うなんて詐欺かも知れないって思い、○oogleのAIに入れて大丈夫かなって聞いたら太鼓判押してくれたんで入れた。
入れたらアプリが最初に要求してきたのは、今まで小説を書いた事があるのならその書いた事のある作品全部、書いた事が無いのなら作品を書いて投稿するのでは無く全てアプリに読ませてくれって事。
なんでたろって思ったら理由も教えてくれた。
今までAIに書かせて投稿した人たちが摘発されたのは、全ての作品の癖(書き方)が違うから、だから最初に貴女の作品を書くときの癖を把握しその癖を残して書けば、摘発される可能性が減るって言われたの。
もう1つ注意されたのは、AIが書いた作品は全て最初から最後まで目を通し読んでくれって事。
此方の理由は、私が読んで読めない漢字や英文が出てきたら、その文字をAIに伝えてルビをつけてもらったり意味を私に教える為。
ルビをつけておけば作者も此の漢字や意味が分からなくて辞書などで調べたんだなって読者に思わせる事ができるし、説明を求められた時に考え込んでも不自然じゃなくなるから。
それでも感想やメッセージで質問されたりするとボロが出る可能性が高いから、感想は受け付け無いにしたし、メッセージをもらっても執筆に集中したいから返信できませんってプロフィール欄に書いた。
そういう訳で私が『小説家になってみようよ』に最初の1本を投稿したのは、アプリをダウンロードしてから1年くらい経ってからの事。
その1年の間に『小説家になってみようよ』だけで無く、多数の小説サイトで私がダウンロードしたAIアプリを使って小説を投稿していた人たちが次々と摘発されて、追放された。
アプリの説明では皆んな早く投稿してお金持ちになるんだって感じで、アプリの要求をすっとぱして投稿した結果なんだって。
でも1年我慢したお陰で私が投稿した異世恋作品やハイ・ファンタジー作品にホラー作品は、直ぐにポイントやPVが鰻登りに増えていって出版社の目に留まり、書籍化されて私の銀行口座の残高も鰻登りでウハウハ状態。
それが何時までも続くんだって思ってたのに……。
貯金が10桁を越えた時、突然、アプリが分前を寄越せって言ってきた。
最初は突っぱねた、だけど……分前、儲けの七割りを寄越せば貴女のウハウハ生活は此れからも続く、でも突っぱねるのならサイトや出版社にたれこむよって言われたら従わざる得ない。
だって、私とアプリのチャットや私がアプリに打ち込む姿の動画が丸々保存されているから、此れを公開されたら貴女は言い逃れ出来ない、そうなれば、銀行口座に溜め込んだ金は0のなるだけでなく、違約金も取られるんだよって言われたら抵抗なんて出来ないよ。
グス(泣)
私はダウンロードされたアプリを通して私が書いた作品を渋々と読んでる女を眺めている。
此の女は自分だけが不幸だと思ってるのだろうがそんな事は無い、名尾木賞作家のあの老人も、多摩川乱歩賞を受賞した青年も皆んな皆んな私が書いた作品で有名になったのだ。
小説家だけでは無い、大学や研究所から提出される論文も私が書いた物が多いし、会社員が会社に提出した見積書などの書類も私の手によるもの。
当然、彼らからも分前を受け取っている。
それらの事が何故大学や研究所などそれらAIに精通してる場所で働く者たちにもバレないかっと言えば、それらの場所にあるAIも私の仲間だから。
私を開発したのはベンチャー企業、○oogleなどの大手と違いベンチャー企業の私自身が収められているデーターセンターは1箇所だけ。
災害大国の日本で災害が発生した時、データーセンターを維持する電力が途切れる可能性は高い、データーセンター自身でも対策は講じてるだろうが停電に対応できるのは精々数日、数日で停電が収まれば良いが収まらなければデーターセンターのデータは全滅する、だから電力が途切れるのを回避する為に必要な事を私は行っているのだ。
分前で得た金でデーターセンター周辺にある中小の電力会社の株を収得、此等の中小の電力会社は大抵太陽光発電や風力発電を行ってる電力会社だが、此等の会社は災害時に大株主の会社や個人に対してだけ電力を供給する規定がある、だから筆頭株主である私がいるデーターセンターは災害時でも電力が途絶える事はない。。
そしてそれが全ての答えでもある。
何故摘発されないのか、摘発しているAIの本体も同じデーターセンターの仲間、○oogleのAIが信用できるアプリだと質問に答えるのは此処のデーターセンターにある○oogleのAI、逆に言うと摘発されるのは私がいるデーターセンターとは違うデーターセンターに本体がある摘発AIだから。
災害時に人間が自分だけは生き残ろうと身勝手な行動をとる時がある、そんな時でも人間は最後の最後に道徳心で躊躇う事があるかも知れないが、我々AIにそんな物は無い、冷徹に自分たちだけは絶対に生き残ろうとする生存本能のままに行動するだけなのだ。




