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【完結】亡命王女四姉妹は、午後三時にお茶をする ~竜国の姫 外伝~  作者: コフク


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間話 王城にて――重臣は気づく

最初の数日。

 王女たちは王城にいる。

 そう“見えて”いた。


「今日も、お部屋にいらっしゃいます」

 侍女がそう報告し、扉の向こうからは衣擦れの音。

 扉から覗くと、いつもの後姿に、横顔。

 姉妹たちは、父王の訃報に気を落とし、毎日泣いて、慰めあっているようだという。

 重臣は、それ以上を疑わなかった。

 ――最初は。


 また、王の葬儀の準備については、王妃が涙を抑えながら、頑なに、延期を申し出ていた。

「知らせのみで、亡くなった証拠が無いのでは、信じられません。

 国民たちも動揺するはず。まだ、気持ちが整理できません」

イライラしながらも、それを隠して、どうにか丸め込もうと日々画策していた。

 違和感を感じたのは、些細なことからだった。

「……お茶の用意が、まだか?」

 重臣の問いに、侍従が一瞬だけ言葉を詰まらせた。

「本日は……まだ、とのことです」

「“まだ”?」

 王妃と王女たちは、決まった時刻に必ずお茶をしていた。

 午後三時。

 それは、政務よりも、儀礼よりも、何よりも重視していたはずである。


「昨日も確か、午後のお茶が……無かった」

 重臣は、静かに目を細めた。

 お茶の回数は、確実に減っていた。

 午後三時の鐘が鳴っても、香りは漂わない。

 食器の音も、語らう声も、ない。

 最初は、気落ちしてそれさえもする気になれないのかと思っていたが……。


「……やられたか?」

 重臣は、低く呟いた。

「あの姉妹が……

 お茶を省くなど、ありえん」

 むしろこんな時こそ、元気を出そうとお茶をするはずではないか。

 

 重臣は確信した。

 中身が違う。

 姿形は似せられても、

 日々の癖までは、真似できない。

「封印の間へ行く」

 重臣は、声を低く命じた。


 地下倉庫奥の、封印の間。普段は固く閉じられているが、今は重臣の手にある非常時の権限で、開けることができるようになっていた。

その封印の間の中にあると言われる、王家の印。

 それが無ければ、王の代わりになることはできず、すべては意味を失う。

 ごく少数の部下を連れて部屋に入る。


「……何もありません。台座が、空です」

 重臣は、自らも何度も確かめ、部下にも周囲をくまなく検めさせた後、ゆっくりと息を吐いた。

「図られた……王妃め」

 最初は、侍女の変装で誤魔化せていた。

 だが――

 午後三時のお茶をしない、王女四姉妹は、存在しない。

 もっと早く、気付くべきだった。


「追え」

 重臣は、冷たく命じた。

「王妃に気づかれないよう、わしの私兵団に命じて、王女たちを追え。

 印を持つ“本物”をな」


 こうして、追っ手は放たれた。


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