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第12話 お茶飲み仲間。

集まってきたお爺様方に侍女の皆さんと一緒にお茶を出していると、お茶を運んだ一人のおじいちゃんにぎょっとされた。この方はゴンザレス侯爵家の方ですね。

「あの…失礼ですが…第一王子殿下の…」

「あら。お気づきでしたか?アルフォンソ様の婚約者のルシアと申します。以後よろしくお見知りおきを。」

にっこり笑ってご挨拶すると、お爺様方は固まってしまっている。そうですよね。侍女だと思っていらしたんでしょう?大丈夫ですよ。慣れてますから。


「午後は王子妃教育の一環で、アルフォンソ様のお仕事を手伝っているんです。」

侍女が用意してくれた席に私も座って、皆さんと一緒にお茶を頂く。

ドアの前にはアルフォンソ様の秘書官のディエゴさんが心配そうな顔で立っている。


「ルシア様はガルーシア侯爵家の出でいらっしゃいましたね。」

「ええ。そうです。」

「今から50年ほど前に、家の領でとんでもない水害がありましてなぁ」

「まあ。」


昔話ですね?お年寄りの昔話は長いと決まっていますね。


「大きな川の川筋が変わるほどの大水で…かなりの広さの耕作地が運ばれてきた土砂で埋まってしまって…もう小麦を作るのは厳しいかと思って途方に暮れておりましたら、貴女のお爺様とひい爺様が来てくださって…米を作ろうということになりましてね…その時の指導のおかげで、おかげで今は米の産地としてやっています。ありがとうございます。」

「まあ。よかった!お爺様に伝えておきますね。」

「そうそう、うちは10年ほど前に…」

「うちも爺さんに聞いたことがある…」


まあまあ…うちの男衆の農業好きもいろいろと役に立っているんですね。


「…うちの領はここ何年、雨の量が少なくて、貯水池を作りたいと、国に要請をあげているんですがね。」

「大規模な工事になるんですね?」

「ええ。川をせき止めて作れるといいんですが、ちょうどいい場所に適したところがないので、一から、まず穴を掘って、からになりそうなので、助成金が欲しいんですが…なかなか予算に組み込んでもらえず…」


うーん。結構大規模な土木工事になりそうですね。


「それでは、予算が通るまで、こんな提案をさせて下さい。うちの父がいま、乾燥地用の麦の栽培実験をしています。それを使ってみませんか?」

「…乾燥地用の?…いいかもしれませんね。」

「まあ、一時しのぎにしかならないかもしれませんが、水の便の悪いところや、雨の少ないところはありますからね。」



*****


秘書に聞いたら、ルシアはじーさまたち相手に孫のようにかわいがられて、話も弾み…しかも、陳情のいくつかを取り下げるのにつながったらしい。

地域特性や気候に特化した小麦の紹介や、小麦以外の、蕎麦やイモ栽培の奨励、環境によっては畜産まで勧めたりもするらしい。


しばらくすると…陳情や苦情をあげに来るのではなく、ルシアにお菓子を持ってくるものや、珍しいお茶を持ってくるものが増えたらしい。…もちろんルシアは個人でもらうことはせずにみんなで頂くらしいが。場合によっては若い侍女たちを呼んで試食会のようになることもあるらしい。そんな中でもうひと手間工夫をしたり、特産品につながったりする商品も出てきそうだ。とのこと。侍女と言っても大方は貴族位の娘。目や舌は肥えているものが多いのだろうな。


そして驚いたことに…権力に執着していたであろう老人たちの世代交代が進んできた。どうも、ルシアや若い侍女たちの話に刺激を受けて、新しい考えや商品が自分の領や領民に益をもたらすことに気が付いたらしい。それには自分の考えは古いのだと気が付いたのだろう。


おやおや。うちの婚約者殿はなかなかすごいね。


初めはやはり侍女に間違えられたらしいけど、今は、質素倹約なので、と通しているようだね。それにしても…僕の婚約者としては地味だとは思うけどね。


今のところ、これといった問題は起こしていないようなので、ディエゴに引き続き面倒を見てもらうことにする。





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