回想1 出会い
「あの星が、私を君のもとへ導いてくれたから。」
河原で出会った僕に、君はそう言った。
始まりは代わり映えのない日常から。ふと、夜中に星がみたくなった。バルコニーから星を見ているだけの僕が。誰にも邪魔されず、広い場所で。
幸いと言うべきか家の近くには流れの緩やかな川がある。そこには河原があって近くはちょっとした草の生えた坂になっている。
静かな夜だ。聞こえてくるのは、川の流れる音、時折電車が通る音。虫の鳴き声。この時間ならではの静けさ。
いつもなら寝ている時間に夜空を眺めている不思議さ。
今夜は何かが起こりそうな気がした。
それでも、実際に起こるなんて思いもしていなかった。
足音がする。恐らく女の人。
(こんな夜中にどうしたのだろう。)
そう思い、音のする方を見てみる。
すると、何かを見つけたようにパタパタと駆け寄ってきた。
そしこう聞いてきた。
「ねぇ!君!もしかして同じクラスの花宮君?」
「そうだけど、君は…?」
「私は、星見ゆか。」
「ああ、1番前の席の。星見さんはどうしてこんなところに?」
「それはね…。あの星が私を君のもとへ導いてくれたから。」
「えっ?」
この記憶は彼女と過ごした時間のほんの1ページ。
これが僕の人生を大きく変えた、星好き少女星見ゆかとの出会いである。