第8話 えのきと扇風機の爆走カーチェイスドリーマー
「では行きます!! うおおおお、強!!」
「むむ、逃げるか! 正々堂々侵攻タイムのじかんを我としろ!」
爆走の爆風で街路を駆け抜ける扇風機カーゴ。
「ボスっぽいくせに分身なんてするやつに、かまってられるかってよ……!! うおおお、フルパワーだ!!」
爆走の爆風は道を駆ける。
「くっ……」
「サブレ! あなた全然大丈夫じゃないじゃないの!」
「サブレさん!」
サブレの顔色が悪い……。少しぐったりとしている様子だ。
「お嬢様、そこのボトルを……」
お嬢様は、カーゴの荷にあったボトルの蓋を開け急いでゆっくりとサブレに飲ます。
「んっ…………ふぅはぁ。ありがとうございますお嬢様。……こんなこともあろうかとミントミントピーチアップル天然水を作り置いておいてよかったです」
「サブレ、大丈夫なのね!?」
「サブレさん!! 大丈夫ですか!!」
「はいお嬢様、ホワイト様、もう大丈夫です」
容態が落ち着いたサブレが口をひらく。
「お嬢様、ホワイト様お気をつけください。ドリーマーエノキングのドリーマーな胞子には毒が含まれていました」
「毒ですって!? そんなものを使う魔神がいるなんて!」
「……アイツ、ほんとに正々堂々とかけ離れてやがんな! 汚いぜ、畜生! デスハーラー一族みたいなサッパリしたヤツら相手だと楽なんだが。……まじゅーゆー、クソッ! とにかくここは逃げ一択です! お嬢様、サブレさん!」
「ええ、仕方ないわ。分身に毒、卑怯じゃなくって!」
「お嬢様、ホワイト様。ドリーマーエノキングは今までの魔神とはやはり桁違いかと、自身のドリーマー属性の胞子を完全無効化していました。相当な使い手と考えられます。私のドリームソードもおそらく通用しないかと」
「まじゅーゆー……相当ヤバいな! 俺は扇風機なので胞子と毒はたぶん食らっても平気と思いますが、ドリームエノキング軍団を全て相手にするのはキツイです! サブレさんは休んでいてください。このまま逃げ切ります!!」
爆走の爆風で疾る扇風機カーゴに、何かが迫ってくる。
たたたたた……トトトトトトドドドド!!!
「待て! 人族! 正々堂々逃さんぞ!」
創作モノに出てくる忍者のように高速で街を走り駆けるえのき軍団。
「ウソだろおい!? ……くっそぉーッ! 来るんじゃねぇえのき!! フルパワーのフルパワーだ!! 強!!」
扇風機カーゴは更にスピードを上げる。
「ええい、待て! 逃げるな!! 人族!! 正々堂々だ!!」
「それしか言えないのかよッ!! 正々堂々なら分身解いてから来やがれ!! あばよ!! えのき!! 鍋のときだけ来やがれ!!」
爆走の爆風がフルパワーで命の全力で駆ける。
えのき軍団と扇風機カーゴのカーチェイス。
いや、えのきが扇風機を追う奇妙な闘争劇が始まった。




