第41話 月とそよ風
「それにしても白き英雄殿、あなたは一体何者なんだ?」
「ああ。俺は扇風機って言って風魔法を出す置物みたいなやつです。あと、俺はホワイトでいいです。どうやらそれが俺の名前らしいので」
「そ、そうか、ホワイト。せんとぅっき、が何かはわからんが。風魔法なるほど、ファインマインとの戦いで凄まじい氷の嵐を吹かせていたな。アレほどのチカラ……ルナティック素晴らしいぞホワイト!!」
え? この綺麗なお姉さんもルナティックなかんじなの!?
「いや、アレはまあ奥の手でして……。俺ひとりのチカラはたかが知れてますよ。お嬢様やサブレさん、シジメさんの与えてくれたチカラです。それにセシリアさんがいなければファインマインに負けてましたし」
「さっきもお嬢様にそうは言われたが……私の月魔法も役に立ったのだな。フフ、ファインマインに一泡吹かせれたのはうれしいがな」
「月魔法?」
「ああ、ホワイトが知らなくても無理はないな。私が使えるオリジナルの魔法だ。私が勝手にそう呼んでいるだけだがな、フフ」
「オリジナル!? あの離れた場所にワープしたやつですね」
「ワープ? ああ、ルナティックファンタズムのことか。今になってこんなことを言ってはどうかとは思うが……。アレは、成功するとは思わなかったがな。何分使う機会がない魔法だったからな」
「ええ!? そうだったんですか……!」
「フフ、すまない。しかし人間、全力を振り絞ればなんとかなるものだ。あの時は、お嬢様方を絶対に失ってはならないと思っていたからな」
「それは、本当に感謝しています。助かりましたセシリアさん」
「いや、助かったのはこちらの方だ。まさかファインマインに勝てる日が来るとは思わなかった」
「ヤツは本当に強かったですね……」
「あぁ……」
美しい顔の蒼月色の瞳から雫が溢れ頬を伝う。
「セシリアさん泣いて……?」
「……うぅ……すまない。……まさかこんな日が訪れるとは…………すまないホワイト……」
「弱」
セシリアの美しい金の髪がそよ風になびく。吹き抜けてゆく風が髪をなでる。
「……やさしいつよい風だな……フフ」




