第36話 風を運ぶ
「お嬢様!! 無事ですか!!」
「いたたた……。全身レジェンダリー、大丈夫でしてよ。って!! うちの子、また怪我を!!」
ファインマインの置き土産に巻き込まれた扇風機は前面カバーが半壊し、ボディにも少なくないダメージを受けた。
「大丈夫ですお嬢様! 扇風機なんで後で直ります! まだ属性陣も生きてます! ヤれます!」
半壊した前面カバーは壊れた部分に光の陣を描き模様を浮かび上がらせていた。この戦いで使い込んでいた属性陣の模様が焼き付けて記憶していたのだろう。
「クソイテェ……。……このオレがここまでやられるタァな……。人族認める! ……認めるぜ!!」
熱砂に着地したファインマインは先程の激しい空中戦でかなりのダメージを受けたようだ。
ダメージを負い何かスイッチが切り替わったのかファインマインは静かなプレッシャーを放つ。
「オレの本気で死ぬなよおおおお」
自分にストックされていたモノを一気に解き放つかのようにチカラを解放する。
「マインボムフレア!!!! 必殺技なんてないぜ!! 俺の得意技の全力でいくぜ!!」
超特大のマインボムフレアがファインマインの手のひらの上に徐々に練り上げられ、凄まじいエネルギーと熱を放つ。
サブレが落下したお嬢様と扇風機の元に急いで駆けつけてきた。
「ホワイト様!? そのお怪我は!!」
「俺なら大丈夫ですいつものことですサブレさん、それよりも……」
「フルパワーでやるしかないです!! お嬢様つまみを!!」
「わかりましたわ!!」
どぅるるるるるる。お嬢様の高貴な指先が扇風機のつまみを回す。
扇風機にストックされていたじかんが解放される。
ミラクル色とアオ色とドリーム色のケーブルが3人をつなぐ、それぞれの身体は静かに激しい青色のオーラを纏う。
「じかんだ!」
「じかん!」
「じかんですわ!」
「エレガントダイヤモンドダスト・シルド・ドリーマータイム!!」
エレガントで美しい氷の巨盾とそれを押し流すようなドリーマーな氷嵐が扇風機から放たれる。
「奥の手カァ!! イイぜぇ!! メラメラしまくってるぜ!! 盾なら砕ァくッ!!」
「マインボムフレア!!!!」
超特大マインボムフレアが投げ放たれる。
氷の盾と嵐がマインボムフレアと激しくぶつかり合う。
「人族!! 白いヤツ!! これがオレの最高の全力だぜ!!!! タノシモウぜ!!」
「……俺は扇風機だろ!!!! 扇風機なら!!!! 風を運んでみせろおおおおおお!!!!」
扇風機は風を運ぶ。
勝利の風を。




