第18話 全属性
「これを見てくれ」
その作業場には扇風機のカバーが並べられていた。
「ホワイト様のお顔がこんなにいっぱい……!」
「すごいですわーー」
「いや、俺の顔じゃ……俺の顔か?」
「……なでたい……」
不意に俺の背後から人の声と気配が。
「うおっ……びっくりした」
俺が振り返るとそこには黒髪ロングの地味目なお姉さんがいた。
「なでなでたい……」
「え、いやあのちょっと……あ、ファンクラブの!」
「うん。なでたい……」
「ちょ、シジメさん知り合いですか!?」
「あれ? あーソイツは協力者だな。お前さんらの後でもつけてきたんだろう」
「協力者? ですか俺の?」
「うん。全属性」
「全属性? えっと」
「まあ実物を見てくれよ」
置かれていた扇風機カバーは注視すると様々な模様をしたモノだった。
「模様がこんなに違ったんですね、でもシジメさんこれはいったい? 俺別におしゃれいらないっすよ扇風機なんで」
「オシャレもいいがそいつは後回しだな。こいつは試作品でちゃんとしたのはさっきのやつと同じ魔力伝導コーティングを予定しているんだが、属性陣付きだ。つまりこいつをハメれば……描かれた属性の風を吹かすことができるってわけさ!! 最終的に全属性を1つのカバーで出せるようにするぜ!!」
「なんとーーーー!?」
「うん。全属性」
「全属性、素晴らしいですわーー!! うちの子ちょっとパワーアップしすぎじゃなくて?」
「いやー、すみませんお嬢様。俺もびっくりですよ!!」
「素晴らしい機能ですシジメ様。全属性なら私は必要ないのではないでしょうか?」
「ああ、わりい、全属性。ドリーマー以外の全属性だな。ドリーマーってのは珍しくてこの街には居ないみたいなんだぜ」
「全属性。ドリーマー以外……ふふ……」
「なるほど。では私はホワイト様のお役に立てるのですね」
「ああ、その属性陣カバーと同じことをしてもらうぜ。詳しくはその姉ちゃんに教えてもらいな」
「……ほわいとさま? ……」
「はい、ホワイト様です」
「……白太陽様……ほわいとさま……ふふ……」
「サブレです。属性陣のご教示よろしくお願いします」
「サブレ……ふふ……いいよ……」
どうやらサブレは黒髪お姉さんにすんなり受け入れられたようだ。
属性陣カバー、これで俺、扇風機は属性の風を吹かすことができるらしいが。予想以上のパワーアップイベントがこの街で起こりかなり驚いている。シジメのヤル気と情熱はすごいな。
ところでこの安物の扇風機に全属性付与は贅沢すぎやしないか?




