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一人称  作者: ロムねこ
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第三話 右と左と中

世界は俺のことを見捨てた

だから俺は孤独に飢えた

なのに彼らは太古の俺を

引き込む世界へ愛の空と

だけど俺はとうに異形で

偉業を求めて奇行に走る

堕落した俺は踏み外して

奈落に踏み出すそして

地底の神にでもなるか

未定の先は聞かないそうだ

結局何が言いたいんだっけ

積極的に韻踏んだって

そこに意味はないんだろうね

呪縛に君は囚われたまま

まあ踏まずに一回いってみようか

Thanks it異世界にゆこうかな

ああ、結局踏んでる


彼は大体この辺にいるはずだよ。

なんだ、俺に用か。

そう、紙の前の人に会わせようと思って。

紙の前に人なんているんだか。

いないと思うよ。

じゃあなんで書くんだ?

紙の前の人がもしいたら嬉しいからじゃないかな。

そうかなあ。俺はそうは思わんね。

だけど君はずっと喋ってるじゃない?

まあそうだな、別に意味はない。

意味がないのに喋るんだ?

お前もそうだろ。結局意味は彼しか作れないんだから。

まあそれはそうなんだけど。

まあいいや。俺は言葉に囚われた男だ。

そんな名前だったんだ。

そんな名前で良いだろ。どうせ意味なんかない。

まあそうだね。どうせ呼ばれないんだし。

俺は言葉という存在そのものに囚われてるんだ。

発音とか音とかそういうのにな。

意味とかじゃないんだね。

意味を考えるのは別のやつの仕事だからな。

だから別に日本語が好きってわけでもない。

じゃあ日本語以外で喋る?

おいおい。紙の前のやつってのが本当にいるとしたらそれは伝わらないだろ。

それもそうだね。

俺が感じてる言葉ってのは紙に書くのは難しいからな。

君がイントネーションを気にするのもそういう理由だよね。

そうだ。イントネーションとか声の調子で、言葉は変わるからな。

実際君が昔考えた言語には音価があったもんね。

あんな神学言語喋りたくはないけどな。

まああれを喋るのは大変だろうね。

それに喋れても誰も使わないんだったら意味がない。

結局伝わらないもんね。

まあ伝えることなんてもうないんだけどな。

そうなんだ。

考えてもみろ。生まれてからずっと自分の言いたいことが続くやつなんかいないだろ。

それもそうだね。

だから伝えたい事はもう誰かに伝えていて、それの反芻でしかないんだ。

君は繰り返しが嫌いだもんね。

そりゃそうさ。繰り返し同じ事をいったら意味が変わるだろ。

そうなの?

そうさ。その分その言葉だけが強い意味を持つからな。

でも伝えたいんでしょ?

何回も言うと、その言葉だけが意味を持つから嫌なんだ。

例えば?

受験に合格したいって言葉があるだろ。

それを言い続けていたら、確かに合格はできるんだ。

そうなんだ。

まあ人によるだろうけどな。

だけど、最初自分が願いたかったのはその先のはずなんだ。

そうだね。合格するのが主題な事は中々ないとは思うよ。

でも、合格が強い意味を持ちすぎて、その先を忘れてしまうのが人間なんだ。

面白い考え方だね。

実際それで捻じ曲がったものをいくつも見てきているからな。

ふーん。でもそれが悪だとは思えないんだ。

いや悪だね。人間の思考を固定化させてる。

でも固定化されていない思考ほどややこしいものはないでしょ?

まあそれはそうなんだがな。

結局のところ、固定化は便利ではあるんだ。

だから世界のみんなが固定概念を持つわけだからね。

だけど、その固定概念が人によって違うから問題なんだ。

君はその狭間で苦しんでいたもんね。

感情ではなくて具体的な理論にした時に、少しの差がとても大きくなる事があるんだ。

そんなことを昔も聞いたなあ。

お前は感情で考えるだろ?

そうだね。それが私の仕事だから。

だけど俺は理屈で考えるから、お前よりも苦痛が大きいんだ。

それはあるだろうね。

もし全ての感情がなくて、理屈だけで動くものがあるなら、それはとってもわかりやすいんだ。

だから君は機械や数学が好きなんだもんね。

そうだ。どんな感情があろうと理論は正しくあれるからな。

実際これだけ複雑な機械があるのに、人間らしいものを作れないわけだからね。

人間に近しい物言いをする機械はあるだろうけど、不完全だからな。

複雑な理論より、人間の方がよっぽど難しいって言いたいんだね。

そうだ。数学をほっぽり出して人間のことをわかると言ってる奴は分かっている気になっているだけだ。

まあ人間は動物だから、説明できない本能で理解する部分もあるんだろうけどね。

それはそうさ。でもな、本能はみんなが思っているよりアバウトなんだ。

というと?

本能でわかるのはフワッとしたイメージで、実際どんな具合に考えているのかって推測は自分でしているんだ。

だからとっても素直な人でもない限り、本能で察知できる時はもうすでに相手の中に感情が降り積もっている時なんだ。

つまり君は人間の事がわかるって言っている人は、相手が伝えてくれていることを無視してるって言いたいんだね。

そういう事だ。本能にしろ理屈にしろ相手が伝えてくれているのが大前提なんだ。

そう聞くと私と君は似たもの同士なんだね。

まあ同じ彼の中の存在だからな。

彼も人をよく気にする子だったからね。

俺が呼ばれるときは大体、難しい理屈とか言い回しを理解する時だったな。

彼は人の意見をなんとか汲み取ろうと必死に考える癖があったから。

ふふっ。似たもの同士なのに意見が違って面白いね。

まあ俺にはもう意味なんてないんだがな。

そう?私よりは具体的だと思うよ。

理屈っぽいからそう思うんだろう。ただ屁理屈をこねているだけさ。

そういうのを判断するのは相手なんじゃないかな。

そうかもしれないな。よくくだらない理屈だって一蹴されてた。

私はそういうのも好きなんだけどね。

そうか?ただ面倒なだけだぞ。

だって楽しいじゃん。人の意見なんて違って当然なんだし。

ハハッ。自分に褒められたって何にも嬉しくないな。

それはそうだね。特に君と私は長い付き合いだし。

俺ができたのはいつだったか。

そうだね、彼が病院へ連れて行かれた時くらいじゃないかな。

あの時の彼は理屈なんか全くわからない素直な子だったんだよね。

そうだな。あの頃はお前もそんなに前にでしゃばらなかったし。

その時に彼は皮肉がわからないって言われたんだっけ。

そうそう。だから皮肉たっぷりの俺ができたんだ。

本当にそんな事言われたのかってくらいに今は皮肉たっぷりだからね。

それが俺の役目でもあるからな。

そっか。まあ彼も皮肉は嫌いではなかっただろうからね。

そうなのか?

だって彼が自分のことを話すときに使うお話は皮肉しかないもの。

イメージにないな。彼は素直な印象しかない。

君と彼はあんまり喋らなかったからね。

彼はいつもアリスって自分のことをいうんだ。

アリスか。確かに皮肉だな。

彼が好きなアリスはみんなが知っている絵本のアリスじゃないだろ。

そうだね。もっと分厚くて、もっと残酷なアリスだね。

まあある意味俺がなんでこうなったのか分かった気がするよ。

そう?

ああ、要は彼はお話としての皮肉を楽しんでいて、表現として皮肉が好きだったんだろ。

思いを伝える為の皮肉ではなく。

そういうことね。確かに一理あるかも。

だからこんな大それた理屈論者がうまれたんだな。

そんな自分を卑下しないで。

こういうのが面白いんだよ。少なくとも俺は。

ふーん。まあ確かに悲しい時に楽しい文章を書くのは疲れるよね。

そうそう。暗い時は思いっきり落ち込むのさ。

君との話は長くなるね。

まあ俺は話したがりだからな。

別にいいんだけど。紙の前の人は疲れてないかな。

どうだろうな。こんな話チューインガムと一緒で真剣に聞くものでもないんだが。

そもそもこれを紙で読んでいる人はいるのかな。

いないだろ。そもそもこれを印刷していないんだし。

それもそうだね。

まあもう少しいいだろう。

どうせ、ここから先も長い長い旅路があるんだから。

最初で少し寄り道したくらいで、何も問題はない。

それもそうだね。

これから出てくる奴はもっと理解しづらいだろうからな。

彼の中の存在に慣れてもらうためにももう少し話そう。

まあ君以上に彼について語り合える子はいないだろうからね。

じゃあ彼の死んだ日について次の時にでも話そうか。

そうだね。彼が死んだ日にはちゃんと歌をつけてあげなくちゃ。

どうして歌を歌うんだろうな。

さあ?すごく昔からそうだから気にしたこともなかったや。

まあきっとルイスが残した遺産なんだろうな。

本当にルイス?

さあ。いってみただけだ。


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