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4話「赤い髪と瞳」王弟視点


――王弟ウィリアム・サイド――



「兄上は何か誤解している。べナットが王族の血を引いていれば、僕は謀反など起こさなかったのですよ」


それはべナットが廃太子された翌日、現王が王位を王弟ウィリアムに譲る日の話。


玉座の間で王と王弟とバイス公爵は、人払いをして三人で会話していた。


「父親の遺伝子を一ミリも引いていない、真っ赤な髪に真っ赤な目の赤子を、王の子だと言われ兄上は信じたのですか?」


国王も王弟も銀色の髪に紫の瞳をしていた。先代の国王もその前の国王も銀髪紫眼だった。


王族の血を引くバイス公爵も銀髪、目は青いが顔立ちは国王や王弟に似ていた。


「王妃との間に十年も子が出来ず、側妃を五人も(めと)った。他の四人の側妃は懐妊しなかった。唯一懐妊した元子爵令嬢が生んだ子は王とは似ても似つかない顔立ちで、王家の色を持っていない」


「それは……」


国王は目を泳がせ、言い淀んだ。


「王太后はおそらく、兄上は子供が出来ない体だと重臣たちに知らしめたかったのでしょう。王の子を生む目的で集めた令嬢が高位貴族の娘ではなく、五人とも下位貴族の娘であったのもそのためですね。

 王太后は子を作れない王に高位貴族の娘を嫁がせ、娘たちの人生を棒に振らせるのを悪いと思ったのでしょう。

 その点下位貴族なら王家と縁が出来るだけでメリットがありますからね、罪悪感も少なくて済む。

 五人も側妃を(めと)っても兄上には子が出来なかった。だから次の王は王弟である僕にする…………王太后は側妃を(めと)った一年後、そう発表する予定でした。

 だが予定に反して子爵家出身の側妃が身籠った。王太后は側妃の妊娠を喜び、生まれてきた子を見ることなく亡くなりました」


国王は黙ったままうつむき手を強く握っていた。国王の手は小刻みに震えていた。


「王太后は側室には子ができると思っていないから、彼女たちへの監視がゆるくなっていたのでしょうね。このような不正がまかり通るとは。

 兄上もべナットが自分の子でないと疑っていたのでしょう? だから王家の血を引くバイス公爵家のアリーゼと結婚させ、べナットの子に王家の血を混ぜようとした。

 バイス公爵もアリーゼも王家の色である銀色の髪をしている。王家の血が薄まったので目は青い色だが、全く王家の血を引かないべナットよりはまし、僕はそう考えていた。

 ところがべナットは男爵令嬢に現を抜かし、アリーゼと婚約破棄した。このとき僕はべナットを王にしてはいけないと思いました。結果的に兄上から王位を奪うことにになりましたね」


世間的には国王は弟に廃位に追い込まれたのではなく、弟に円満に王位を譲ったということになっている。


国内で王位を巡る争いが起きれば、民は動揺し、政治は混乱する。そこを他国につけこまれては困るからだ。ゆえに国王は弟に王位を譲る英断をした。


「余の命を持って懇願する。息子の……べナットの命だけは……」


国王は弟ウィリアムに頭を下げた。


「血がつながってなくても息子は可愛いですか? 甘いですよ兄上。べナットは初めから存在してはいけない子だったんです。毒杯からは逃れられません」


「そうか……」


国王は悲しみに目を細め、下を向き、それ以上何も話さなかった。








べナットの母マディは廃妃となり、即日処刑された。マディの実家のムーレ子爵家は取りつぶされた。


べナットの父親は分からずじまいだ。


廃妃マディが処刑された一カ月後、べナットの元に新国王となったウィリアムが訪れ、べナットは毒杯を賜った。



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