12話「猫耳のショタ美少年」
それからリル様は昼は人間の姿で、夜は猫の姿で過ごすようになりました。
修道院の人や孤児院の子供たちからは、もう一度仔猫に会いたいと言われたのですが、「リコルヌは人見知りなので、慣れない人の前には出ないのです」と言ってなんとか躱しています。
どうやって入り込んだのか分かりませんが、リル様は昼間は孤児院の新しい先生として私の授業の助手をしています。リル様は美しいので子供達や修道女に大人気です。
そして夜は……。
『ねぇアリーゼまだ猫の姿じゃないとだめ? そろそろ人の姿で一緒に寝たいな~~』
リル様が愛らしい仔猫の姿で小首をかしげる。
いくら愛らしいお姿で言われても、ここだけは譲れません。
「だめです」
人間のお姿のリル様に添い寝されたら、心臓がバクバクして眠れません。
明日もお仕事があるんです、それに寝不足は美容の大敵です。
「この姿でもだめ?」
リル様が七歳ぐらいの愛愛しい男の子の姿に変身しました。
なんと愛くるしい……!!
でもだめです、ここは心を鬼にしなくては!
「だ、だめです」
「それじゃあこれは?」
リル様が五歳くらいの幼気な男の子の姿になりました、小首をかしげ大きなお目々をパチパチさせて私を見上げてきます。
ズキューンと音を立てハートの矢が胸に突き刺さりました。
「だ、……だめです!」
今のお姿にはかなり動揺しましたが、理性をフル稼働してなんとか堪えました。
「痩せ我慢しちゃって可愛いな、それならこの姿ならどう?」
リル様が猫耳としっぽのついた三歳ぐらいの無垢な幼児のお姿に変化しました。
「はうっ!!」
ふわふわサラサラのモカブラウンの髪から見えるピンと立った栗色のお耳、キュートなお尻から生えたスラリと長いしっぽ。
猫耳&しっぽの超絶可愛いらしいショタ美少年が……!
「ねぇ、アリーゼ今日この姿で一緒に寝てもいい?」
上目遣いで瞳をうるうるされておねだりのポーズを取られたら、嫌とは言えません!
「ど……どうぞ」
「やったぁ!」
目の前で無邪気に飛び跳ねる猫耳&しっぽの佳麗な少年。
「そ、その代わり……猫耳としっぽをちょっとだけ……ほんの少しだけ触らせてください」
リル様が少し困った顔をされました。失礼なことを言ってしまったでしょうか?
「いいよ、アリーゼにだったら触らせてあげる」
頬を赤く染めはにかむ、リル様! 三歳児の姿なのになんですかその色気は!
その夜は三歳の姿のリル様を抱きしめて眠りました。リル様の耳としっぽのモフモフした手触りが心地よくて手放せなくなりそうです。
朝起きたら十七歳の姿のリル様に抱きしめられていて、悲鳴を上げることになるのでした。




