1話 村の少年アドベル
たまたま思いついたものを文字に起こしただけなので内容は薄い可能性があります。
この村には年1回のブーメラン大会がある。
出場者は村の子供達。
優勝者には村長から勝者の証が授与される。
村の子ども達は勝者の証を目指して皆、思い思いのブーメランを作っている。
参加者の一人であるアドベルと呼ばれる少年はブーメランを作る為に木を削っている。
(この少年は必死な顔をしている。きっと何かこのブーメラン大会に賭ける思いがあるのだろ。
しかしこの少年、手際が良くないし、センスの欠片もないな。俺の身体のバランスも悪いし、若干右側の方が重い。こんなんじゃ大会で優勝なんて出来ないぞ。)
木を削り出してから4時間程が経とうした頃、アドベルのもとに、村の大人が訪れた。
「明日の大会は8時に村の先にある丘に集合だ。遅れることのないように。」
アドベルは頷いた。
その夜、アドベルはブーメランの最終調整を行っていた。
(こいつ、俺のことヤスリすぎなんじゃないの。最初よりバランス悪くなってるぞ。
本人は何も気がついていないようだし、これは明日が思いやられるな。
ブーメランの俺が心配したところでどうのしようもないのだが、明日は気持ちよく空を飛べればそれでいいさ。)
大会当日の朝、俺の制作者アドベルは神妙な面持ちで会場に向かった。
会場に着くとそこには村の人々が集まりお祭り状態になっていた。
今大会の司会である村長の息子が開会の挨拶をしている。
開会の挨拶が終わり、村の子ども達は自分たちが作った思い思いのブーメランを順番に投げていく。
皆、自分の記録に一喜一憂している。
そして、俺の製作者アドベルの順番が回ってきた。
アドベルは大きく振りかぶり俺を大空に向かって投げた。
俺は空高く舞い上がり大空を優雅な気持ちで舞っている。
決してアドベルはブーメラン作りは上手くはなかったが熱意も持ってこの俺のことを作ってくれた。
その熱意のおかげで俺自身も最高の幸せを感じることができている。
あの少年、アドベルに感謝をしなくてはならないな――