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夢桜  作者: 空亜
第0章
9/22

9.海斗と大地と深い穴

データ間違えて消してしまって書き直し…

微妙に違う気がしてつらい…orz



世界を創造してからの数日間。


海斗と大地は協力して仕事をすることが多かった。海斗は他の仲間たちに比べると魔力の絶対量が少ないが、術を唱える事に秀でている。大地はアクアほどではないが魔力を操る事に長けていた。


この世界では魔力さえあれば生き物以外は何でも創る事ができる。だがそれには陣を描き術を唱え、創造するものを正確にイメージし、それに見合った魔力の量を適切に注がなければいけない。海斗はアクアにその法則や陣の種類などを習ったので、後は必要な魔力を算出するパートナーが必要だった。海斗としては誰でも良かったのだが、魔力の質と量の関係で大地が1番いいだろうとアクアが言ったのだ。


世界を創造してからの2日目は塔の内部の居住空間の居心地を良くするために使った。ソファーやベッド、机やキッチンなどを作ったのだ。残念ながら水路を確保していないため、キッチンの水道からは水が出ない。トイレやお風呂も水がないので創るのは後回しになった。


3日目からは塔の内部の水回りを確保するために、川を創る事を考えた。川を作るという話は世界を創造する前から話していたが、結局纏まらず先送りになったのだった。それを今度は大地と2人で担当して計画し、4日目から行動に移した。


初日は元の世界に戻ったので分からなかったが、2日目3日目とこの世界--夢桜で過ごして分かった事がある。

夢桜では、お腹が空かないし喉も乾かない。感覚が麻痺しているだけかもしれないので、定期的に食事しに元の世界に帰るか、食事を持ってくる事にした。いつのまにか自覚のないうちに餓死していた、なんてことにはなりたくない。


喉も乾かないのなら川を作る必要があるのか?そういう討論もしたが、景観的にもこの世界で育つ植物などの為にも、また塔にお風呂を作る為にもやはり川は作ることとなった。



川はただ土のような地面を海に面している所から掘るだけだった。掘れば自然と海の水が流れて川のようになるはずだ。単純な作業だが、魔力で地面を掘って川を作るには時間がかかった。

なぜなら陣の覆う箇所だけしか掘れないからだ。また陣の見えない位置では術が発動しない。それなら陣を大きくしようとするにも、それだけの技術と魔力がまた必要になる。


1日目のようにガス欠(魔力切れ)を起こさないようにするために、適切だと思う大きさの陣を作り術で掘る事を塔まで繰り返す事にした。それでも、スコップで掘るよりは早いものだ。


「なー、これ、地面の下…どうなってんだろな?」


5、6回術を繰り返した所で大地がそう発言した。


「普通はさ、地下水が流れてて、それが湧き出て川になったりとか、雨が落ちてーとかだろ?地下水って流れてんのかな」


ここの海は海水ではない。この海の通り道を島の中に作るだけで良いのだろうと、勝手に1人で納得していた。

しかし、そうだな。確かに気になる。


普通に考えれば創造する時、地下水の事など決めていなかったのだから存在もしないのだが。しかし元の世界と似た世界の作りを皆、期待していたはずだ。全員が同じ事を揃って想像していたのなら、それはあるはずだ。


考えても分からぬなら試してみるのも手だと海斗は結論に達した。


「…やってみるか?」

「……やろーぜ」


大地は察しが良い。思わず何を、など主語を言うのを忘れて発言してしまったが、それを理解しニヒルに笑う。






「……なんの穴これ…?」


地下水は果たして流れているのか?その答えを知るべく実験を続けていたら、風呼がやってきた。術に集中していたから気づかなかったのかもしれないが、気配も感じなかった。


風呼は海斗と大地の間に出来ている大穴を見て疑問を顔に浮かべる。


それはそうだろう。

先ほどまでは川になるように塔へ向けて一直線に掘っていたのに、ここへきて深さを試すような掘り方をしているのだ。

今まで掘っていた川のために掘った深さは2メートルほどのもので、塔に近づくにつれて少しずつ浅くしていく予定だ。それに対して今海斗達の目の前にある穴は、底が見えない。すでに掘り過ぎて底が見えないようになっていた。水は、湧き出ていないようだ。


「…落とし穴?」

そう風呼が言葉にするのも分からなくはないが、落とし穴はないだろう。普通の人間なら落ちて無事では済まない深さはある。


「んなわけねーだろ。地下水が流れてるのか調べてんの」


風呼は大地の言葉に「ふーん?」と、首を傾げた。


「お前はなにしてんの」

「空気の調整だよ!この世界の空気中の魔力、全体的に結構濃いでしょー?」

「そうだな。なんか今余計濃くなってる気がするわ」


大地は苦い顔をして答えたが、海斗は反応が出来なかった。


---空気中の魔力の濃度?


海斗は2人の会話を聞いて空気を意識してみる。しかし、見えるものでもなくよく分からない。いや、若干、前よりも空気が淀んでるような気はする。そして疲れにくくなっている気がするのも、その影響なのだろうか?


2人にはこれがもっと明確にわかるのか。


「あっはっは。アクアの指示で、空気中に拡がってる魔力を南に追いやってるんだよね。全部は無理だから、ある程度になるんだけど。」


その言葉に大地は更に苦い顔をする。


「……ここって南の方じゃん…こんな濃くなってんのお前の仕業かよ」

「そー!ここと、まだ東も濃いけど、他は大分薄くなったよ。…なんでそんな嫌そうな顔してるの?大地にとっては栄養でしょ?」


風呼が 再び首を傾げる。

海斗にはその言葉の意味する事は分からなかったが、大地には心当たりがあるらしく目を見開いた。


「…わかんの?」

「…あっ!?ご、ごめん。わかっちゃった」


何かに気づき焦る風呼と気まずそうに顔を歪める大地。


海斗は腕時計をみると、ちょうど正午を指していた。


「飯にするか」

風呼と大地はほっと息をついた。







「オカエリナサイマセ」


3人が塔に戻ると、黄色のうさぎの縫いぐるみが出迎えた。


「え?え?!なんで?なんで動いてるの、なんで喋ってるの??私のうさぴょん!!!」


どうやら風呼が持ってきた縫いぐるみの一つらしい。

塔の二階をオウキの部屋としてベッドを作った時、「子供部屋に縫いぐるみとかオモチャがないのはおかしい!」と風呼が言い出した。そうしてその翌日と翌々日の今日に渡り元の世界から風呼がたくさんの縫いぐるみを持ってきたのだった。


「すげーな。どうなってんだ?」

「…とりあえず中に入ろう。」


塔の入り口ではしゃいでいる風呼をせっついて中に入ると、他のみんながもう揃っていた。


「なんで?うさぴょんどうして動いてるの?」


風呼が縫いぐるみを抱きながら聞くと、アクアが笑いながら「お姉ちゃん説明してあげて」と言った。


「あの…

今日一日、オウキとあの子を見てて…

オウキのために風呼が持ってきたじゃない?」


あの子、というのは、今はオウキの部屋で眠る子供の事だ。昨日、海から流れてきてからまだ目を覚ましていない。

主語がないが、風呼が持ってきたというのは縫いぐるみの事だろう。


「それで、可愛いなって思って、手に持ったの。」


………?

沈黙が流れる。

彩は言い切ったとでもいうように満足気に口を閉じた。どうやら話は終わったようだ。


「え?え??どういうこと??可愛いなって思って手に持ったら、うさぴょんが動いて喋るようになったの??なんで?!」


風呼のテンパった質問に、アクアが笑いながら言った。


「この世界では私達の願いが叶いやすいから、お姉ちゃんが無意識に触った時に『願った』んだと思うよ。元の世界にも、こういうのは存在するんだ。ゴーレムってやつ。本来はゴーレムを創るには、核となるものに魔力淹れてシステムを作ってと、手順が色々必要で日もかかるんだけど…」


アクアが風呼の抱きしめている、うさぎの縫いぐるみを見る。

黄色のうさぎの縫いぐるみ。服は着ていないが、首に蝶結びのリボンをしている。そのリボンの結び目には石が付いていて、アクアはその石を指差す。


「うさぴょんの場合の『核』はこれだね。石は魔力が入りやすいから」

「……ていうことは、他にも石が付いてる縫いぐるみを、彩が『可愛い』と思ったらうさぴょんみたいに動くようになる?!」

「そう簡単になんねーだろ…」

「やって見なきゃわかんないじゃん!!まってて!持ってくる!!」


風呼は呆れていう大地にそう言うや否や、うさぎの縫いぐるみをアクアに渡して慌てて身を翻し、階段を上って行った。


「ハナシテ クダサイ」

「あ、ごめんごめん」


風呼が出て行き、静まり返ったところでうさぎの縫いぐるみが喋った。アクアは言う通りに縫いぐるみを解放する。


解放された縫いぐるみは、元々動かせる仕組みだった手足を動かし、ソファに駆け寄って器用によじ登った。そして座っている彩の膝の上に座る。どうやらそこが定位置のようだ。


たたたっと足音共に風呼が戻ってきた。


「彩!!どれか可愛いと思うの、ある?!」





大地の「そう簡単になんねーだろ」という言葉に反してか反せずが、動くぬいぐるみは3体となった。

うさぎのうさぴょん、シロクマのマイケル、クラゲのクララだ。

最後のクラゲのクララに触れた瞬間、彩は気を失うように眠ってしまった。

無理をさせてしまったと落ち込む風呼をアクアは「まぁそういうこともあるよ。お姉ちゃんの事なら大丈夫だから」と慰めて、「とりあえず報告し合おう!」と本来集まった目的を思い出させた。



「私達の方は順調に、いろんな植物を東に植えたよ!午後も、引き続き植えるつもり。なんの植物かは〜…育ってからのお楽しみ!」


アクアはにひひと笑った。一体なんの植物を植えたのだろうか。


「あたしは空気の調整したよ。満遍なく充満してた魔力を、南の方に寄せたんだけど、東にもちょっと溢れちゃってるよ」

これ以上寄せると息が出来ないよ、と風呼は肩をすくめた。


「俺と大地は引き続き、川を南の方から作っている。途中、地下水が流れてるのか調べる為に深く穴を掘った。結果、流れていなかった。午後は引き続き川の為の穴を掘る予定だ」

「つまり、用途のわからない穴を作ってただけなのね」

「…そうだ。」


ミカの的確な要約に頷く。

「元の世界にも、用途のわからないものとか沢山あるもんね。世界創りって案外そんなのなのかも」

あははとアクアが笑った。



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