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まるで無意味な召喚者~女神特典ってどこに申請すればもらえるんですか?~  作者: 廉志
第十二章 まるで終わらぬ年の暮れ
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第百七十九話 試合結果その1




 実況席の天幕の中、俺たちは顔を両手で伏せているパプカと、うろたえているジュリアスを囲んでいた。

 ルール違反はしていない物の、けが人を出し得る行動を取ったパプカに対する説教のために呼び出したのだ。ジュリアスは勝手についてきた。


「ちが……っ、違うんですよ!! 言い訳をさせてください!!」

「ほお、聞かせてもらいましょうか?」

「今日は何というか体がだるいと言いますか、少し寒気もしますし喉も痛いんです! 風邪っぽいんですよわたし!! だから大見得をきったのに何の成果も上げられませんでしたぁをやらかしたのもしょうがないと言いますか!!」


 負けたことに対する言い訳かよ。


「はぁ……まあ、もっとルールを厳密に決めていなかったこちらの責任でもありますからね。今回は不問にします──あ、でも負け犬は観客席に引っ込んでおいてください」

「ぐあああああっ!!」


 パプカは負け犬と言う言葉に泣き崩れた。


「今ルーンさんが今回のようなことが無いように追加ルールを説明しているところッス。まあパプカさんみたいなデタラメな力を使えるのなんて、参加者には居ないんで杞憂でしょうが」

「そうだな。オッサンが参加していない以上、あれを超えるハプニングは起きないだろう…………と言うのはフラグか?」

「フラグッスね」


 下手な発言は自重しよう。

 そんな事務的なやり取りをしている最中、泣き崩れたパプカを心配そうに慰めるジュリアスがいる。

 どうやら一切の空気を読まず速攻を決めたことに対する罪悪感があるようだ。


「ご、ごめんなパプカ……雪だるまがあんまり隙だらけだったからつい……」

「ああ、良いんですよジュリアスさん。たまには天狗の鼻をへし折るのも悪くありませんし、ルール違反したわけでもないんですから謝る必要もありません」

「そ、そうか……空気が読めていなかったわけじゃないんだな」

「いや空気は読めていませんでしたが」

「ぐぅ……っ」


 いやしかし、観客席から俯瞰して観ていた俺でも何が起こったのか分かっていない。

 隙だらけだったとジュリアスは言うが、パプカ率いるAチームの陣形は悪くなく、むしろ攻撃をパプカに一任してほとんどが防御に回っていたのだ。

 あの防御陣の中、Aチームの冒険者たちはおろか観客にさえ気づかれず、どうやって雪だるまを壊したのか。純粋に気になるところである。


「いや別に……特におかしなことはしていないぞ? 普通に気配を消して、足音を立てず近づいて壊しただけだ」

「本当にそれだけですか? …………ちなみに、今気配を消すことってできます?」


 「まあできるが」と言い、ジュリアスは大きく息を吐く。

 すると、目の前にいるはずのジュリアスが消えた。いや、実際は居るし見えるのだが、瞬きをするたびに一瞬探さなければならないほどに霞んで見えるのだ。


「うおおおっ!! 凄いッスよ支部長さん! 【絶】です!! 【絶】じゃないッスか! 連載再開はよ!!」

「やめろそれ以上はいけない!!」


 だがまあ、アヤセの興奮もよく分かる。

 ここまでの超人技をジュリアスが使えるのだから驚きもひとしおだ。

 しかも恐らく彼女は魔法やスキルを使用していない。ただの身体能力とセンスだけでこの状態だ。

 ダンジョンでの罠感知でも驚いたが、本当に才能の塊なんだよなぁ。なんでここまで出来るのに普段がポンコツなんだよもったいない。


「サトーさん、皆さんへの追加ルール説明終わりました。次はサトーさんのチームの番なので準備をお願いします」


 どうやら俺の番が巡ってきたようだ。

 すでに帰りたい気持ちでいっぱいだが、相手はアグニス率いる村人チーム。唯一の非冒険者で構成されたチームのため、バイオレンスな展開にはならないだろう。

 そしてこちらは俺を除いて全て冒険者。優秀な奴も何人か居り、普通に戦えばこちらの勝利は揺るがない。


「ふっ……では行ってくるかな。まあ、俺の出番は回ってこないだろうが」

「カッコつけてますが、自分で自分に戦力外通告だしてません、それ?」

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― 新着の感想 ―
[一言] ジュリアスのポテンシャルの高さを存分に活かす手段が、今のところエクスカリバーを手に持つぐらいしかないですよね(なおジュリアスはそれを嫌がってる)
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