第一章第四幕 宿舎
そこはそこそこ大きな屋敷だった…武家屋敷にしか見えないんですけど!?
「ここって創設者が建てた建物だったりする?」
「よくわかったね!」
そら洋式の建築物の間に和式の建築物があったら目立ちますわな
「ここに何人住んでるんだ?」
「6人だよ。ニホンから来た人たちが住んでるの。こっからは中の住人に案内してもらって」
「わかった」
「じゃね〜」
そう言ってマーレはひらひらと手をふって来た道を戻っていった
「さて、入るとしますか」
ここで日本人としてやらなければならない挨拶を…
「たのもー!!」
「はーい!」
普通に反応されてちょっぴり寂しい…
しばらくして玄関から出てきたのはこれまたかわいい女の子だった
「どちらさまですか?」
「今日からお世話になります日野本樹と言います」
「私は常葉宋と言います。中学二年生です。あ、私の方が年下なので敬語は使わないでも構いませんよ」
「そっか。宋ちゃん、よろしくね」
「はい!ここには他に男の人がいないので頼りにしてます!」
…なぬ?
「えっと、他に男はいないの?」
「はい、そうですが?」
なんということでしょう
家でも安らげる気がしないような…
「どうかしました?」
「イヤ、ナンデモナイ」
「どうして片言に?」
「緊張しているからさ!!」
宋ちゃんは首をかしげながらもこれ以上突っ込まないでくれた
「もうみんな夜御飯食べちゃったので、あとで何か作って持っていきますね」
「ありがとう」
俺の部屋は玄関に一番近い空き部屋だった。予想通りというか、中は和室だった。い草って異世界にもあるんだな…
しばらくして宋ちゃんが持ってきてくれたのはシチューだった。
「おいしいよ」
「ありがとうございます!」
「食料ってここで賄われてるの?」
「少しだけなら生産してますけど、基本的には近くの村で正体を隠して買い付けているそうです。私はまだ小さいので行かせてもらったことはないんですけどね」
「買い出しは誰が?」
「見た目が20歳くらいの人たちです」
付近の住民にも秘密なんだな。行政の中心にここのことを知ってる人はどれくらいいるんだろう?
「…ん?」
「どうしました?もしかしてお口に合わなかったですか!?」
「いやいや、ちゃんとおいしいよ!!」
何か重要なことを今考えていた気がするんだよなぁ…
「あっ!!」
この世界の仕組みは教えてもらったけど、地理や歴史、勢力とか結構重要なことを聞くのを忘れてた!!
これだと子供たちに社会を教えることに支障が出てしまう!しばらく算数と理科、国語(日本語)で乗りきろ…物理法則って地球と同じなんだろうか?
「前途多難だ…」
とりあえず明日の朝一番にシンガルさんのとこに行こう…
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