第一章第三幕 異世界人
説明回は終わりです
「古来から君のような異世界から来た人は少なくない。この世界に文明をもたらしたのも異世界人だと言われている。いまから1500年ほど前の話なんだがね」
つまり俺のような人が今も他にいるということか!?
「ここにも異世界人はいるんですか?」
「残念ながら数名いる。そして全員君と同郷だ」
「何ですって!?」
「普通の異世界人は君たちの世界からランダムに流れ着く放浪者みたいなイメージで良いんだが、君を含むこの場所にいる異世界人は騎士の一人がまだ能力を制御できずにいてな。そちらの世界の、ニホンと言ったか?そこにトンネルを繋げてしまったイメージだ」
「その人が呼び寄せてしまう人たちはみな日本人ということですか?」
「いまのところはな。君がここに来たのは我々のせいだ。改めて謝ろう」
「いえいえ。戻る手段はないんですか?」
先ほどはトンネルを繋げるイメージだと言っていた。つまりこっちから帰ることもできるんじゃないか?
「申し訳ないが、現時点では不可能だ。彼女はまだ能力を満足に扱えていない」
「その方の能力ってどんなものなんです?」
「時空間を操る能力だ。そのため、場所は同じでも200年後だった、という状況になりかねないから返すことはできない」
違う時代に飛ばされるとかめちゃくちゃ困るね…
「我々が君に求めることは1つだ」
ごくり
「ここにいる君と同郷の、ニホンといったか?そこから呼び寄せてしまった子供たちに学問を教えてあげてほしい」
「わかりました」
「即答とは、自信があるのかな?」
「それなりにあります」
大学受験を突破した俺に中等教育くらいまでなら不可能はない!
というかあったら非常に困る…
「では明日からお願いしよう。今日は夕食をとって休みたまえ。夕食は誰かに部屋に持っていかせるよ」
「ありがとうございます。ちなみに私の部屋はどちらにあるんでしょう?」
「マーレに案内させよう」「わかりました。ついてきて」
「はい」
それから5分ほどマーレさんから質問攻めを食らっていた
流石に身がもたないのでなにか俺からも質問してみることにした
「マーレさんはどんな能力をもっているんですか?」
「マーレでいいよ。私の能力はね、気体の構造を弄るっていう能力さ」
「…えっと、酸素からオゾンが作れるみたいな?」
「まあ、そんなもんかな」
彼女の反応はあまり良くなかった。質問のチョイスをまちがえたかな?
「あたしの能力は戦闘の役に立ちそうにないからね…」
「そんなことないと思うんだけど…」
「気休めなら結構」
「本気だよ!空気中から毒ガスとか作れそうじゃん!」
「毒ガス?」
あれ、毒ガスは伝わってないのかな?誰か作ってそうなのに
となると、俺は相当危険なことを不用意に言ってしまったんじゃ…
マーレはものすごく焦る俺に構わず掴みかかってきて
「それってどんな効果があるの!?どうやって作るの!?」
「いや俺も具体的にどうやって作るのかまではわからないんだけど…わからないから揺さぶるのをやめてぇ!!」
あわてて彼女は手を離したのでひっくり返ってしまった。頭がぐらぐらする…
「さ、さあ、ここが今日から君の家だよ!!」
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