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9話 あおいさんの好きな事

「むー。このゲームもクリアしちゃったー」


私はポータブルゲーム機を起きつつベッドから身体を起こす。

・・・大きなケースに大量にいれてある、ゲームソフトケースを漁るために。

うーんどうも殆どクリアしてしまっている。

・・・・

パパが再び海外にお仕事に行ってからだらだらとした生活が再び始まった。

あおいさんとたまにメールするもののお誘いがないまま・・・

気づけば9月。

9月か~もうすぐ秋アニメが始まる・・・!


思い立ったように私は


「夏アニメは粗方見ちゃったから、ぎんいろもさいくでも見返そうかな?」


と棚からブルーレイを取り出して

レコーダーに入れ込んで再生!


可愛らしい絵柄と優しい世界に癒されたところに

今まで見たときは気に留めなかった言葉が胸に突き刺さる。


『どうして誘ってくれないんだろうなー』


『受け身になってないですか。そういうときは自分から誘うんですよー』


・・・・・あぁそっか。

私は全部見終わってからスマホを手に取る。

えーと・・・


『あおいさん・・・とまたいっしょにあそびたい?』


うーんなんという伝わりにくい文章・・・

でもこれ以上の文章も思いつかないので送信!

アニメの言葉を信じて私はあおいさんを自分から誘ってみる。

今まで受け身だった・・・

自分から誘うという事は全然思いつかなかった。


・・・しばらくスマホを手に持って待っていたけれど返事は来ない。

うーん・・・あっ

日時を見て気づく。現在平時の14時。あおいさんは学校に行ってる時間か・・・。


一時撤退してパソコンでネットを見てカップラーメンを食べ再びネットを見て。深夜の手前を迎えたころに

ようやく返事が。


『エレナちゃん誘ってくれてありがとうー^^もちろんいいよ!

一緒に遊ぼう?はやいとこで私は9月15日あいてるけどエレナちゃんはどうかな?』


『うん、それでおねがいします』


それからだらだら生活をして数日

15日を迎えた・・・。


「少しは気温が落ち着いたみたい・・・」


天気が良いから相変わらず日差しは強いけれども

風は僅かに冷やかになっている。

そんなことを感じつつ

歩いていると自動販売機に変わり種を見つけて少しだけ見入る。


コーラくり味!?美味しいのかな?

気になるけれども・・・買い方がわからない・・・。




公園へと到着すると、あおいさんは既に来ていて

ベンチに座ってスマホを見ていた。


「遅れてすいません・・・」


と言うとあおいさんは顔を上げる。


「エレナちゃん、こんちちは。大丈夫だよ。私がはやく来ただけだからー」


とあおいさんが指す方角の柱時計をみると

12時55分だった。約束の時間は13時。

あ、そうなのか・・・・。


「じゃあ早速だけど街の方へと行こうか?」


「はい・・・」



街へと出ると人が沢山歩いていた。

休日効果かというやつか・・・。


「人大丈夫?」


「はい・・・大丈夫です」


あおいさんに自分の事を打ち明けたからか

気にかけてくれている。

・・・ほんとは少し怖いけれど。


「リアルで会う時もため口で良いよー!」


「あ、はいっ・・・うん」


それからいったん何処かでご飯を食べることになり

私の提案でまたまたドーナツショップに。


「今回も買ってきてもらっても・・」


「いいよー何がいい?」


「おまかせします」


とお金を渡し

私はなるべく奥の目立たない隅の席へと座る。

そういえばこんな遠くに座ったらあおいさん持ってくるの大変かな。

・・・・あおいさんの事考えて行動できるようになりたい。

今はまだ余裕が無いけれど・・・。


「お待たせ~」


「あ、ありがとう・・・」


あおいさんドーナツの乗せられたトレーをテーブルに置いてから

席へと着く。


「お釣り渡すね」


「うん」


手を差し出すとじゃらじゃらーと小銭がたくさん。

こんな美味しいドーナツがそんなに安いのかいつも不思議になりつつ

小銭をしまってからドーナツを早速一口。


(ううううん、相変わらず美味しいいいー!)


「せっかくだから呼び方も変えてみるのはどうかな?」


「へっ・・・え・・・?」


「あっごめんね急に。中学の時は良くあおちゃんって呼ばれてたから。

エレナちゃんが呼んでくれたら嬉しいなと思って。もちろん強制はしないよ!」


あおちゃん・・・なにそれ可愛い。

そしていかにも友達という感じがする。

いいのかな私が・・・。


「・・・・・あおちゃん」


試しに小声で呼ぶとやっぱりどこか恥ずかしいような気持ちになる。

対して・・・あおいさんは


「ありがとう・・!あーやっぱりエレナちゃんに呼ばれるとすごく嬉しい」


すごく感激して嬉しそうに私を見ている。

照れる・・・・ダブルで照れる。そしてそこまで嬉しいのかなーと疑問が浮かぶ。


「どうしてあおいさ・・・あおちゃん・・・」


「うん?」


「ううん、なんでもない」


今ここで自分の闇の想いをぶつけたら場の雰囲気を壊してしまいそう。

辞めよう。


「そうだ、今日はアニメショップに行ってみようか?」


「えーと・・・アニマート、ねこのあな?」


「さすがエレナちゃん詳しいね!えーとね。ねこのあなはこの辺りには無くてね

アニマートの方だよ~」


むー。ねこのあな無いんだ・・・。通販ばっかりで購入してたから初めて知った。

もしかしてわたし田舎に住んでるのん?



あおちゃんに案内されアニマートまで来た・・・はずなのだけれど

そびえたっているビルは

みどりの蛍光色ではではでな割にこじんまりとした普通のビルのよう。

アニメの雰囲気をミリも感じさせてくれない。


本当にこんな所にアニマートが?と

ふとガラスを見ると“アニマート3階(最上階)“と今にも剥がれそうなテープが張ってあった。

ほ、ほんとにあるんだ・・・。


「じゃあ行こうか?」


「は・・・う、うん!」


入店すると本がびっしり並んでいて1階は本屋かな?


そして奥の方へとある・・・・えーと

私は目の前にある物の名前が思い出せない。

引きこもりをこんなところでも発揮してしまうのか。


あお・・・ちゃんがボタンを押すと

チンと言う電子レンジにも似たような音と共に扉が開かれる。


(これに乗るんだ・・・?)


戸惑いながらもあおいさんに続く。


あ、これはエレベーター?

私がようやくそれに気づいたのは

再び電子レンジ音とともに扉が開かれた時だった。

どうやら着いたみたい。


降りてから少し歩くと

アニマートのショップへとたどり着く。

休日だからなのかな。人が多い・・・。


「一緒に見て回る?」


「うん・・・」


あお・・・ちゃんの隣りを歩きながらも私は

落ち着かないように辺りを見渡す。

店内が全てアニメグッズで埋め尽くされている。すごい空間だ。

ネットとはまた違う感覚・・・。


「あおちゃん・・・はなにを買うんで・・・買うの?」


「うーんとね、あっ。あったよ!」


ラノベのコーナーからあおちゃんが何やら取り出した表紙を見ると

僕の妹が可愛すぎる件の13巻だった。

このシリーズそんなに出てたんだ。


「あ、知ってる。あお・・ちゃん今まで出たの全部買ってるの?」


「うん!私このシリーズ好きなんだ。エレナちゃんは好き?」


「あ、わたしも好き」


でもアニメだけでラノベは買ってないわたしは。

全部揃えているあおちゃんの前で好きと言ってしまっていいのか疑問に思う。


「そっか~嬉しいな。実は、わたし妹系キャラ大好きなんだよね。えへへ・・・変だよね」


「い、いえ。変じゃない・・・!いいとおもう」


「ありがとう・・・良かったー」


あおちゃんは悩んでいたのか、少し困ったような感じだったが

私の言葉で安心したようだった。

悩むことではない絶対に。それを言ったら私だって・・・お姉ちゃんキャラ好きだし。


「・・・わたしもお姉ちゃんすきだから」


「あ、そうなんだ!お姉ちゃんもいいよねぇー」


「うん」


「お姉ちゃんと妹の関係ってすごく憧れる~」


なるほど、確かにそれも素敵だ。

お姉ちゃんか妹がいたらどんな感じだったんだろう。

・・・・お姉ちゃんだったらあおちゃんみたいな人がいいなー。

・・・・って何を考えているんだ私!


「エレナちゃんも欲しいものとかあるかな?良かったら一緒に探してもいい?」


欲しいものはだいたいネットで購入してしまってるからえーと。

・・・・あ、そういえばこの前買い逃したのが。


「うん。あーえーと欲しいのは・・・スルメ姫のストラップ」


「ありがとう。じゃあ探そうか!」


店内を見て回りお目当てのものも見つかり、それ以外に欲しいものも

結構見つかり。


「たくさん買っちゃった・・・」


「私も!でも欲しいもの買えて良かったね」


「うん・・・」


会計を終え店内を出た私たちはお買い物を振り返る。


「エレナちゃんと一緒にいると楽しいなー」


「・・・・わ、私も」


自分でも不思議なくらいあおちゃんと一緒にいるのが楽しくなってきている。

どうしてだろう・・・人は怖いはずなのに。





公園へと戻ると何処となく寂しい気持ちになってしまった。

今日ももう終わりなんだね・・・。


「ありがとう~!エレナちゃん今日は誘ってくれてありがとう。

エレナちゃんが初めてお出かけに誘ってくれて嬉しかった」


「・・・すいません実はアニメを見て」


「そっか。全然いいよー。アニメいてると元気でるよね」


「う、うん・・・!」


こういう気持ちをわかりあえるのって嬉しい。


「ところでなんのアニメ?」


「ぎんもさ見て・・・」


「あっ私も好き~!」


このあと帰宅が若干延長してちょっと嬉しくなる私だった。

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