4話 あおいさんとの日々
あおいさんとのお出かけを終えて自宅へと帰った
私は・・・恥ずかしくさと後悔をいっぱい重ねた。
・・・どうしよう嫌われたかな、もっと話せればよかった。
そんなことを何度も何度も考えながらずっと部屋のベッドに
座っていたけれど
「とりあえず・・・・」
ようやく思考回路が別の行動をとろうと決意する。
私は近くに置いていたスマホを持ち上げ
メールアプリを開く。送る主はあおいさん
『きょうはありがとうございますたのしかったですあまり
はなせなくてすいませんでした』
我ながらなんか納得できないメールだなぁ。
でもこれ以上良い文章が思いつかない・・・。
内容を再度確認して送信ボタンを押すと
すぐに返信が来た。
『こちらこそありがとう!そんなこともないよ?
あまり気にしないでね(^^)エレナちゃんが良かったらまたお出かけしよう?』
あおいさんの優しい言葉に心が落ち着いていくのがわかった・・・
なんだか不思議な感情。
そして・・・また・・・か。
あおいさんとのお出かけは楽しかったけれど人中に飛び出すことはやっぱり不安だった。
あのときだって怖かった。
『ありがとうございます、はい』
はっきりもう無理だと言えばいいのに。そんな曖昧なメールを送信してしまう。
とりあえず、今日はゆっくり休もう。
お風呂・・・は明日にしよう。
アニメの録画だけはしっかり確認して
私はそのまま思いっきりベッドに寝転がり眠りについた。
ー
「うーん…あさ…ひる?」
次の日いつも通りに目が覚めて
枕元の時計を眠い目を擦りながら確認すると12時を過ぎていて
やっぱりいつも通りだと思いもう一眠り・・・
お腹がすいた・・・
そういえば昨日は晩御飯も食べていなかったような気がする?何故?
わたしはベッドから降り1階へと向かおうと部屋の扉に手をかけたところで・・・
「あれ・・・そうえいばなにか大事なことがあったような」
そして昨日あった重大な事を想い出す
「水子ちゃんのフィギュアぁぁああああ」
私はガラスケースの前に置いてある買ったままの姿の
水子ちゃんを袋から取り出しまじまじと真剣な眼差しで見つめる。
それはもう気が狂ったような眼で。
「こ、こんなレアなものがあるとは・・・手袋して取り出した方がいいかな?」
と以前手袋をしてうっかり手を滑らせフィギュアを壊した。そんな大惨事を思い出し
同じ過ちは繰り返したくないなーとそれも水子ちゃんのフィギュアでだめゼッタイ。なんて色々考え素手のまま箱を開封しフィギュアを取り出す。
「やっぱりすごいかっこいい・・・!」
そして慎重にガラスケースの中へと移動させ飾った。
「あれ・・・・そういえば?」
どうして水子ちゃんのフィギュアを買ったんだろう?ネットでは絶版状態となっているものを?
あれ・・・・どうして改めていつも通りなんて考えたんだろう。
普段は全然そんなこと思わないのに
何か大事な事を思い出していく・・・・
「あっ、そっか昨日あおいさんと・・・・?あれ・・・私外に出たんだ?」
静かな部屋で立ち尽くす・・・
私何かすごいことをしてしまった気がする!
一応ベッドの上に置いてあったスマホのメール確認してみると1件来ていて
期待通りそれはあおいさんからだった。
『エレナちゃんおはよう!昨日は楽しかったね(^^)学校いってらっしゃい~』
学校・・・・。
いずれホントの事を言わないといけないけれど
今は・・・まだ言える勇気は無い。罪悪感はあるのにどうしてなんだろう。
私はもう返信しようがなくて
何処か逃げたいような気持もあって
あおいさんとのメールを止めようとしていた。
シャワーを浴びて朝昼にカップラーメンを食べ溜まっていたアニメを消化し・・・
水子ちゃんのフィギュアを買った記念にまた水子ちゃんのイラストなどをペンタブで描いてみる。
そういえば・・・あおいさんとの出会いのきっかけだったけ・・・。
どうしてあおいさんは褒めてくれたんだろう。
夕方になったころ・・・
あおいさんからのメールが再び来てしまった。
『エレナちゃんこんばんは~!今学校終わってきたよ。少しお話しできる?』
私は返信するかどうか悩んだけれど
結局・・・
『いいですよ』
また送ってしまう。
するとすぐに返信が来た。相変わらずこの時間ははやいー
『ありがとう~!気になっていたのだけれどエレナちゃんは列蛇の炎では
やっぱり水子ちゃんが一番好きなの?』
列蛇の話題か・・・
よりによって一番食いつきそうな話題。
私はあっさり食いついた。
『はい、みずこちゃんがいちばんすきです。あおいさんはどうですか。あとあおいさんは
どこでれつたのほおのおしったんですか』
読み返しみて小学生みたいな文章だなと思ってしまったけれど
相変わらず変換能力も無いプラス
これを打つだけで30分もかかってしまったのでわたしは仕方なく送る。
とすぐに返事が来る。
『私は雷来君だよ~!たまたまいった本屋さんでイラストが綺麗だから買って見たら
すごく面白くて好きになったんだよ~(^^)エレナちゃんはどこで知ったのかなー?』
雷来君とは!なかなかセンスがいい!
ちなみに全40巻のうち25巻から登場するからそこそこ読んでいないと
存在を知らないキャラでもある。
『いいですねかっこいいです。わたしはえるへぶんがすきでれったもおなじひとが
かいていたのでみたのがきっかけです』
『そうだったんだね~!エルヘブンはちょっと前にアニメやってたよね、面白いなと思ってた!
同じ作者さんだったんだね(^^)今度コミック買って見ようかな?』
『はいいとおもいます』
いいと思いますって返信は少し笑える・・・!我ながら。
この後の返信はしばらく来なかったので
私も日常に戻り。再びカップラーメンなどを食べまんがをみながらごろごろと過ごし・・・
そして
『こんばんは、ご飯食べてお風呂に入ってきたよ~。明日学校の帰り早速買ってくるね^^
エレナちゃんは最近イラスト描いてるかな?』
『はい。さきほどかいたのでおくりまうす』
夜頃になり話題が変わったメールが送られてくる。もちろんあおいさんから
というかあおいさん以外いない・・・。
私はさっき描いたイラストをパソコンからダウンロードして一回自分のスマホに送ってから
あおいさんへと送る。・・・なかなか回り道する作業だった。
私はドキドキしながらスマホを握り返信を待つ。こういうときっていうのは
なんだか長く感じるなー・・・気持ち的には3時間ぐらいたってる。実際は1分もたってたないんだけれど。
『ありがとう(^^)水子ちゃん可愛い(>ω<)!!エレナちゃんの描いたイラストはやっぱり
癒されるなー!』
へへ・・・そんな。
私はどう返信しようか悩みながら新規作成を押すと次のメールが来た。
何かなと考えつつ開くと
『ありがとう・・・!エレナちゃんと話してると本当に楽しいなー(>ω<)なんだかエレナちゃんと
同じクラスの子がうらやましい・・・!エレナちゃんの傍に居たい欲求が強くなってしまいますね(///)』
うん・・・・えっ告白された!?
とんだ勘違い。
それは嬉しいような心苦しいようなメールだった。
学校の事を思い出したくないのもあり、年齢も違うので今まで考えたことはなかったけれど。あおいさんとおなじクラスかー・・・
そしたらもっと・・・違う人生だったのかな。
そして助けてくれたかもなんて淡い考えが浮かんでしまう。酷い甘えだ。
『そうですねあおいさんといっしょだったらたのしそうです』
どうしようか迷い結局まぁそんなた簡単な返しになる。
『ありがとう(>ω<)私の学校はもうすぐ夏休みなのだけど、エレナちゃんの学校はいつ夏休みかな?良かったら
また一緒におでかけしよう』
あおいさんの攻めがやばい・・・!
ライフが0になりそう。もうやめてエレナのライフは0よ。
・・・・しーんとした部屋の空間が自分の寒さを物語るよう。
うーん
この後も私の数分以上かかるメールにあおいさんの即返しが続いて・・・
『しちがつにじゅうごにちごろですね・・・』
『そうなんだ、同じだね。じゃあ8月5日大丈夫?いつも私の都合でごめんね?
エレナちゃんももし希望の日があったら教えてね』
そうなんだ!?今すばやくパソコンで調べた夏休み開始情報が役に立ったらしい。
『それでいいですよ』
送信と・・・うん・・・!?
あれ、見事に誘導尋問されてしまった・・・!?
どうしよう・・・次のお出かけの日を約束してしまった。
私はあっけにとられながら暗闇となった窓の外を見る。
どうやらもう一度外の世界へと出ないといけないみたいだ・・。
出来るのかな。