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2話 踏み出してしまった一歩

「あつい・・・」


いつも通りお昼に目覚めるとたくさん汗をかいていた。

2枚敷いているタオルケットを1枚にしないといけないなーと

思いつつ夏が近づいていること嫌々に実感する。

夏は嫌い・・・ただ熱いだけ。

でも夏アニメは毎年豊作なのでそこだけは感謝しよう。



私は半身をおこし四つん這いになりながら

枕元に置いていたスマホのメールをチェック。何も来ていない。


ターキーさんからメールが途切れて

3日目に突入しようとしていた。いや、3日ぐらいと思うけれど

それまでは頻繁に連絡をとっていたのですごく気になってしまった。

この前まではどうでもよかったのに。


「人間に・・・支配されている」


込み上げてくるのは心配・・・というより悔しさと不安。


「夏はなんのアニメを見るなんて質問つまらなかったかな・・・」


のろのろと1階に下り

カップラーメンにお湯をいれ待機しているとさらに不安が込み上げてくる。

気になりながら食べ終わり部屋のベッドにあげていたメールをチェック

1件

それはターキーさんからだった。

指を震わせながらメールを開く。


「お返事遅れてごめんなさい(><)テスト勉強やバイトで

立て込んでいました(汗)

来期アニメですが、豊作が多そうですよね^^

私はろーきんぐが楽しみで見ようかなぁと思っています。

みるくせーきさんはみたいアニメ決まっていますか?

ぜひ教えてくださいね」


「いえありがとおございます。ろーきんぐいいですね

わたしもすきでし。もちろんみます。

わたしはわかばおんなのこがたのしみでなりません」


これだけ打つのに30分もかかってしまった。


「あっ・・・」


スマホの上の時刻を確認すると13時30分

慌てて送信ボタンを押す指を離す。

危なかった・・・!今送ったら学校に行ってないことがわかってしまう。

風邪で休んだと誤魔化せばそれまでだけどね・・・。

ウソにウソを重ねるのも気が重い。


「夕方に送ろう・・・」


溜まっていたアニメを視聴し動画投稿サイトで

面白動画を視聴し嗤ったところで、通販サイトでアニメグッズを購入し

夕飯にカップラーメンを食べ終えると

メールを送るのに良い時間を迎えた。


相変わらず引きこもり・・・。


「送ってしまった・・・」


3日間の停滞が無かったことのように

以前のように返事が数分で来る。


「あ、いいですね!わかばおんなのこ~

ぎんいろモザイクの作者さんの作品なのでわたしも楽しみにしています^^

ろーきんぐ楽しみですね、1期も2期も良かったのでわたしもだいすきです。

ミルクセーキさんと好きなアニメが同じでうれしいです」


わたしもうれしい・・・

返信を書きかけたところで次のメールが来る。


『ミルクセーキさんともっと仲良くなりたいです(><)もし良かったらなんですが

今度お出かけしませんか?』


「えっ・・・」


それは無理でしょう。引きこもりに重い提案だなぁ。

でも・・・

もっと仲良くなりたい・・・もっと仲良くなりたいっ

そんなターキーさんの言葉が脳裏で何度も繰り返される。

初めてなんだよね・・・こういうこと言われるのも。


引きこもりということは

というのをひとまず置くことにして。


「わたし・・・・わたしはどうなんだろ」


確かに私もターキーさんとメールしているのは楽しい・・・とおもう。

しかし信頼や仲良くなりたいという感情はまだ芽生えていなかった。

というよりも自分自身が考えるのを避けているのもあるけれど。


「ありがとうございます。いいですね。よていがあえばぜひ」


送信。

あれ・・・何言ってるんだ!?

そういえば自分が断れない性格なのをすっかり忘れていた。


そして数分後


「いえ私の方こそありがとうござます(><)休日の方がよろしいでしょうか?

もし良ければ会う日を決めさせてください^^」


これはやばい・・・ターキーさんはノリノリだ。

どうしよう


「とりあえず・・・どちらにしても休日は」


街行く大量のリア充や学生の姿が脳を過ぎる。

考えただけでも倒れそうになる。

ぜ、ぜーったい絶対無理だーーよ?


『あできればへいじつでおねがいします。きたくごのほうがいいので

ゆうがたはどうでしようか』


具体的に決めていいのかな?

ま、うやむやにしておけば・・・。

内心酷い事を考えていると思いながら送信

数分後


「了解しました!では平日にお願いいたします^^

日にちこちらで指定して申し訳ないですが7月10日はいかがでしょうか?待ち合わせはどこが

いいでしょうか?」


まさかの日にち指定が来てしまった。

これはもうほんとどうしたら・・・・引きこもり。言ってしまった方が良いのだろうか。

打ち明けようか・・・

でも仲良くしたい・・・またターキーさんのそんな言葉を思い出す。

言ってしまったらもう・・・。

自分はどうしてこんなことになってしまったんだろう、少し泣きたくなった。

・・・そしてもしかしたらとターキーさんに期待してしまう。



引きこもり故に人がいないところの知識はあまりないけれど

私は引きこもりになる前に行ったことがある公園を指定。


『しおとめこうえんでおねがいします』


確か、噴水とかしかないシンプルな公園だった気がする。いまは変わってるかもしれないけれど

私の知識で出せる場所はしおどめ公園が精一杯だった。


送信・・・

するとすぐにターキさんからのメールを受信。

はやときは本当にはやい。


「ありがとうございます!了解いたしました。楽しみにしていますね^^

みるくせーきさんともう少しお話していたいところですがバイトに

行ってきますね♪帰宅後またメールさせてください^^」


「はいがんばってください」


今日は打てた。

いやそんな些細な事に安心している場合じゃないよね。

最初からスマホに入っていたカレンダーアプリで日付を確認して緊張気味に息を飲み込む。


「今日は・・・7月2日。お出かけは7月10日。重大イベントまで約1週間しかない・・・」



重大イベントまで何をしないといけないか決める。

ファンタジーアニメでいうところの大冒険に行くまでの準備。

あれ・・・そう考えると少しわくわくする。


「まずはお洋服買わないと・・・」


クローゼットをあけると服は簡単なTシャツ1~2枚とアニメ柄のシャツ数枚と・・・中学校の制服しかなかった。

あと下には押し込めたぬいぐるみ。


「ネット通販でみてみよう」


パソコンを起動させ

洋服の通販サイトの知識も全く無かったので

検索ワードに引っかかりそうな言葉を並べてみる


『洋服 中学生 可愛い』


「お、おおお・・・?」


歓声の声が戸惑いに変わる。ヒットしたのは良かったけれどしすぎ。検索結果1000件・・・以上。に圧倒されてしまった。

とりあえずトップに出てきたサイトをクリックすると

洋服の通販サイトらしいものが。見てみよう。


「流石トップに君臨するだけある」


自分と同じくらいのモデルさんとお洋服が載った画面からどこに進めばいいか悩んでいたけれど

タイプ別というのを画面左に見つけクリック。


「清楚系がいいかなー」


洋服の知識はないので2次元で好きな女の子のタイプでクリックを決行。


「かわいい・・・これにしよう」


カートにぽいと追加してなんかファンタジーアニメでいうところの・・・冒険に出るまでの装備に課金してるみたいな気持ちに襲われる。

・・・課金終了。


「次はどうしよう・・・あ」


私は洗面台に行き自分の姿を確認してロングヘアーの金髪を軽く持ち上げる。


「髪もつないだ方がいいのかなー・・・」


つながなくても悪くないけれど。折角だから。


再びネットに戻り


『可愛い 髪型』 で検索する


するといかにも今はやりの髪型がヒット。


「派手すぎる・・・あそうだややみちゃんみたいに

した結びのツインテールにしてみよう」


またもや・・・洗面所に再び戻り一生懸命に好きなアニメキャラの髪型を真似して結んでみる。


「へただ・・・練習しよう。この髪型可愛いなー。なによりややみちゃんと

同じなのが嬉しいじゃない」


冒険終了・・・

ううん、冒険はこれからが本番。

私たちの冒険はまだまだ続くみたいな。


・・・・・


「普段家の中でも動かないから動いたおかげで疲れて寝てしまった。

時刻は・・・」


電機もつけっぱなしでベッドに寝転がっていたおかげで

いつの間にか寝てしまったみたい。


「深夜3時・・・そしてメールが来ている・・・」


スマホの時刻を確認すると

ターキさんからのメールが22時ころに受信されていた。


『こんばんは~。今バイト終わってきました!

今晩BSでアニメ音楽の特番らしいですが視ますか?』


「はいみましゅ・・・ゆいちゃんがでるので・・・いやもう完全に終わってるよぉ」


録画しているのでそれは安心だったけれどそのことについて

話し合う機会を逃してしまったのは不思議と残念・・・。


『すいません。きのうねてしまいました。でもあんしんしてください

ばんぐみはろくがしてますよ。せいいゆうのゆいちゃんすきなんですがどうおもいますか?』


深夜3時だから下書きフォルダに一時保存し

いつも通り翌日の夕方に送信。長い待機を経験したメールだった・・・。


『みるくせーきさんいいですね!おもしろい(>ω<)思わず電車で笑いそうでしたw

ゆいちゃんいいですよね!声も可愛いですしすごく可愛いと思います!』


「おおおぉ」


自分の好きな人を共感してもらえるのはなんともうれしい。


「ありがとうございます。うれしくてたまりません。ゆいちゃんはかわいいです。

しーでーもぜんぶもってます。でいぶーでいもかいます」


数分後


「おおすごいですね!わたしはあまり持ってないのでうらやましいです。

今度良かったら聴かせてくださいね^^」


「はいよろこんで」


あまりということは少しは持っているの・・・?

気になる。


『ありがとうございます!以前から思っていましたがみるくせーきさんお優しいですね(可愛い絵文字』


『いえそんなことないですよ』


実際優しいと言われたのも初めての経験であり少し照れてしまった。

途切れることなく

やり取りを交わし

ついに


7月9日を迎える。


『明日ですが楽しみですね^^みるくせーきさんとお話しできるの

とても楽しみです♪』


夕方にそんなメールが送られてきた。


『はい私も楽しみです』


ターキーさんとメールを重ねるうちに漢字変換が出来るようになったことに喜びを覚えつつも・・・不安が

明日無事に行けるかな?今晩は緊張して眠りにつけなさそう。


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