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1話 ターキーさんという人

ネットネーム・ミルクセーキ(本名エレナ)

属性・引きこもり



わたしはいま・・・・

ネット上に3日間ペンタブで書き上げた大好きなアニメのイラストをイラストサイトに投稿している。

褒められたいという気持ちは無いでもないけれど

誰かが見てくれればという些細ない気持ちで投稿した。


それがとんでもないことになるのはほんの数分後のこと


「なにこれ・・・へたくそ」


「もっとうまいのかけよwww」


「崩壊すぎだろ」


「てーかこれいつのアニメ?」


コメント欄には続々と批判のコメントが流れ始める

決してうまいとは思っていなかったが・・・。



確かに誰かに視られればという目標は達成したけれど

これならば誰にも見つからない方がましだった。


私は動揺しながらパソコンを閉じ大きめの抱き枕を抱えベッドに寝転がる。


「もうネットは辞めよう・・・」


こう思ったのは初めてではない。今まで幾度となく傷つけられたネット世界。

でも私の居場所はネットしかなく数日後にはまた戻っていた。


「今度こそ本気で辞める・・・・」


この決意は新しい。


「はれ・・・・わたし寝てたんだ」


哀しみを寝て忘れようとしたことを時刻を見ながら思い出す。

時計の針はもう18時をさしていた。3時間も寝ていたみたい。


「・・・ごはんの時間か」


お腹がすいた。悩んでいても食欲はある自分にどうも疑問を抱きながら

1階の居間に降りカップラーメンでも漁ろう。と考えてベッドから起き上がる・・・

部屋から出ようとドアの前に立ったところである家電の存在を気に掛ける。

閉じたパソコン。もうやらないと決めたが。


(メールぐらいはみておこうかな・・・

そういえば通販で頼んだものの発送メールがまだ来てないし)


私は机の椅子に座りパソコンを立ち上げメール画面をチェックする。

10件となかなか多い数だったけれどほぼメールマガジンだった・・・。

いつものこと・・・そう思いかけメール画面を閉じようとしたところで


「これは・・・・?」


一件だけ他とは違うようなメールタイトルを見つける。


「イラストサイトより 件名:初めまして」


送られてきたのはイラストサイトからだった。


「わざわざメールで批判・・・・?」


私はさっきまでの悪夢が蘇り嫌な汗が流れてしまった

また動揺している。

開くのを辞めようとしたけれど


「言うなら言ってよ・・・」


そんな想いで緊張しながらもメールを開ける。

1度批判された今日だから、批判される耐久は出来ている。少し・・・。


「件名:初めまして


イラスト拝見させていただきました。とっても

可愛いですね。今日とても疲れていたのですが

疲れが吹き飛びました(^^)これからもがんばってください」


私は文章を読んでいるつもりが一度目は全く内容が頭に入ってこなかった。

理解できたのは読み直した2回目。


・・・


「え・・・・っ!褒められてるの・・・?」


そして


「名前:ターキー」


「おにくっ・・・・」


メール主の名前を見ると途端にお腹が鳴る。

そういえばお腹好いてたんだった・・・。


「ありがとうございます。すごく嬉しいです。これからも

頑張ります」


直接返信する機能が無いため、わたしはイラストサイトに行き

早速返事を返す。

心ではすごく嬉しかったけれど業務的な言葉でしか嬉しさを表せない自分がモドカシイ。


「おなかすいた・・・」


わたしは返信を終えるなりゆーっくりと

階段を降りて1階へと移動する。そのうちうさぎに追い越されるくらいの速度。

おなかがすいてても早い行動は苦手。

学校へ行ってた頃は体育の成績が1だったかな。

と考えながら気分が悪くなる。

・・・辞めよ。学校の事はあんまり思い出したくない・・・。


深い森に入ってしまったかのような静かで真っ暗な暗闇を抜けようやく居間へと到着。

電機を付けて段ボールに詰め込まれたカップラーメンの中から

カレー味のカップラーメンを取り出す。


「今日はこれの気分・・・・」


電気ポットに必要以上の水をいれ沸かし

テーブルについて全力待機。


「・・・・そういえばさっきのひと」


もしかしてと気になり再びゆーっくりと2階へもどる。

そしてメールを確認。


『件名:ありがとうございます

お返事ありがとうございます。まさかお返事いただけるなんて思っていなくて

とっても嬉しかったです。列蛇の炎お好きなのですね?

私も大好きです。恐縮ですが・・仲良くして頂けると嬉しいです』


やっぱりさっきの人からメールが来ていた。

他人からの丁寧なメール・・・優しさあふれる文章。そのすべてを見るのが

初めてでわたしは嬉しいようなつらいような複雑な気持ちになった。


「はい。私も好きです。私で良かったらぜひ」


こんな返事でいいかなと迷いつつも他に言葉が出せなくて

イラストサイトの送信ボタンを押す。

コミュニケーション能力が乏しい自分がモドカシイ。


「ラーメン・・・」


ーー


ラーメンを食べ終わり、再びメールをチェックするとターキーさんから来ていなかった。

そしてその晩はいくら待っても返事が来なくて。

でもあまり期待してなかったからまぁいいかなー程度で

深夜アニメを視聴し眠りについてその日を終える。



翌朝・・・と思ったら

時計の針がお昼の12時をさしていて

翌昼になっていた。


・・・どうでもいい。それにこれはいつものこと。


朝ごはんのラーメンでも食べようと1階へ降りる前に

パソコンのメールをチェック


「件名:遅くなりすいません」


ターキーさんと思われるメールに

まだ眠たかった気持ちが少し飛んだ・・・。


「ありがとうございます。よろしくお願いします(^^)あの大変厚かましいですが

ミルクセーキさんはツイッターなどしておりますか?もししていましたらそちらでも仲良くなりたいです」


「・・・ツイッター」


最近放置気味だけど・・・そういえばやってた。


「一応おしえておこうかな」


『はい、あります。あまりつぶやいていませんが・・・

URL』


私はお気に入りにいれていた自分のツイッターページのURLをコピーし貼り付け

送信ボタンを押してしまってからはっとする。

“教えてほしい“とは言われていない。


「返事が来ない・・・あ今日は平日か」


ターキーさんという人が学生か社会人かはわからないけれど

何かそういう社会的な一般的な活動をしているのかもしれない。


でもどうしようもなくメールの返事が気になってしまう。

失敗したメールを送ったことを気に病んでいるからなおさら。


「私が・・・人間に操られるなんて」


ターキーさんは悪くないけど、ターキさーんももどこかしらに存在する人間だと

感じると何かもやもやしたものが込み上げてくる。



夕方になりようやく返信が来る。


「件名:ありがとうございます

URLありがとうございます!早速拝見させていただきました。

とてもトップ画が可愛らしいですね。やはりミルクセーキさんのイラスト好きだなと

改めて実感しました。

もし良かったらなんですがフォロワーになっていただいてよろしいでしょうか

?

私のURLです」


再び褒められたことに嬉しくなりながら私は

ターキーさんが送ってきたURLをクリック。するとターキーさんのツイッターらしきものが現れる。


「すごい・・・」


フォロー220人フォロワー250人・・・

なにやらすごい・・・

どっがどっちだか忘れたけど多い。


私はというと

フォロー50人に フォロワー5人であった。

ちなみにどちらもアニメ関連の企業が殆ど。


ターキーさんはリア充・・・?

そう考えるとターキーさんが遠い存在におもう。

うん・・・でもリア充じゃなくても遠い存在・・・だよね。


「ところでフォローってどうやるんだっけ・・・」


ターキーさんに聞くのもものすごく恥ずかしいので

自分的はターキーさんよりフォローミーが少ない時点で恥ずかしいけど。

ググって解決させた。おかげでフォローできた。


一仕事終えてターキーさんに返信


『ほめていただきありがとうございます。フォローさせていただきました』


「あっ・・」


送信してから大変な事を想い出す。

引きこもりという事実がわかることを書いていなかったか・・・慌てて自分のツイッターのページに戻り

過去のつぶやきを調べる。

・・・どうやら過去の自分はアニメ実況しかしていなかった。


「とりあえず良かった」


引きこもりということを知ればあまり良い印象は持たれないかもしれない。

むしろ嫌われてしまうという考えがあったから。

知り合ったばかりのひとに直ぐに嫌われるのはつらいものがある。


「そういえばターキーさんはなにを書いてるんだろう・・・」


一安心したところでターキーさんのツイッターを読んでいくことにした。


『6月10日 今日の体育は疲れたなー・・・。ランニングきつい』


『6月10日 今日は友達と放課後アイス食べて帰る!楽しみだなー♪』


どうやらターキさーんは

学生でそしてやっぱりリア充らしいという情報を知る。この辺りは少しもやもやする。

自分と違うから。


『あいるり面白くてだいぶ寝不足。でもリアルタイムでみたい。というか

ちーなちゃんすごい可愛いつらい』


『ちーなちゃんのタペストリーあまそんで注文しちゃった!地元で売り切れだったから嬉しくてしょうがない(;;)』


もっと下にスクロールするともやもやしてた気持も晴れそうな共感出来るアニメのつぶやきが並んでいる。

あいるりというえばわたしも今期アニメでいちおしだったので嬉しくなってしまう。


「ちーなーちゃんの可愛いさがわかるとは・・・できる」


そして・・・


『冴えない友達の育て方2期嬉しすぎ。さえともはフィギュアたくさん

出てほしいなー少なすぎる』


「確かに!」


『昨日友達にアニメの話をしたらまた引かれてしまった。あー話題は自粛しよう。

でもアニメの趣味を辞められるわけがない(笑)』


「面白い人だ・・・」


アニメの話しに釣られたのもあり、かなりの数つぶやきを読んで思わず声に出して共感したり。

するくらい私はすっかりターキーさんのツイッターに夢中になっていた。


「そういえばこの人男の人なのかな・・・」


私は女の子なのに美少女アニメ好き。

そしてターキーさんも美少女アニメ好きそうな感じがする。

美少女アニメ好きな女の子はネットであまり見かけないので

ターキーさんは男性だろうと判断を下した。


「・・・あ、ターキーさんからお返事来てる」



「ありがとうございます。こちらからフォローさせていただこうと

思っておりましたが

お手数おかけして申し訳ありません^^;

学校が終わり少し落ち着きましたので

ミルクセーキさんのつぶやきをじっくり拝見させていただきました。

アニメの感想がすごく良かったです」


「こちらこそありがとうございます。そうなんですか(笑)なにか恥ずかしいですね

・・・でも嬉しいです。ターキーさんのつぶやき見ました

楽しそうで何か嬉しい気持ちになりました。あいるりも好きです。

ターキーさんは男性ですか?わたしはおんなのこです」


出せるだけのコミュニケーション能力を発動し

最後に気になる質問をぶつけて送信

すると今回は数分で返事が来る。

学校が終わったせいかとてもはやい。


「わーありがとうございます!私もなにか恥ずかしいですね(笑)

でも同じく嬉しいです!

えっそうなんですか!私も今期で一番好きです^^

ミルクセーキーさんと好きなアニメが同じでお話があって嬉しいです。

あ、ちなみに私も女です。ミルクセーキさんも女の子なんですね。

私からも質問大丈夫でしょうか?ミルクセーキさんは学生さんですか^^?」



・・・女の子なんだ!

どんな女の子なんだろう。名前からしてまっちょかな?

ターキーさんはなんさいなんだろう

学生・・・そう。中学生。行ってないけど。


頭の中を色んな感情が駆け巡るから何から書けばいいか迷ったけど

最後の考えはもちろん書かない方がいいと一番最初に決まった。


『女の子だったのですね。私は中学1年生です。ターキさーんは

おいくつですか』


ありふれたメールを送ると

ターキーさんからの返事はほんの数分で来た。


『おお、中学1年生なんですねお若いですね!うらやましいです(笑)

私は高校1年生ですよ』


「高校生か。ターキーさんもわかいじゃない」


どういうメールを書こうか迷っていたときにターキーさんからもう1通来た。


「ツイッターのプロフ拝見しましたが

ミルクセーキさんも○○住みなのですね。私もわりと近いのでびっくりしました」


「えうえぇ・・・」


そういえばツイッターにどこに住んでるか軽い気持ちで登録していた。

私は驚いてそれから少し不安になった。

もしかしてターキーさんとは既にあっていて。自分を知っている人物なのではと。過去を知っている人物なのではと。


「そうなんですか。偶然ですね」


文の最後に震えをつけたくなるぐらい動揺していた。

これも返事が数分で来るかと思ったけれど途切れた。

私は日常世界をして(主にラーメンを食べるのとお風呂と溜めていたアニメを見る)

深夜のアニメタイムが始まる頃に突入しかけた時だった(深夜12時ぐらい)


「お返事が遅れてすいません。22時ごろにバイトから帰ってきました。

何か急に変なこと言ってしまいましたね。ごめんなさい!

ミルクセーキさんとお話もあって、近くに住んでいるという事で

すごく嬉しくなってしまいました。

あ、こんなこと書くと出会い系メールみたいですよねすいません」


いくら不安になったからって冷たく返した私のせいかな。

ターキーさんは先ほどのことを気に病んでいたようで謝罪の言葉が

並んでいた。わたしがターキーさんを悩ませてしまったかもしれない。


『私も嬉しいですよ。いえそんなことは思っていないのでお気になさらず』


送信すると

またすぐに返事が来た。


『ありがとうございます。ミルクセーキさんお優しいのですね^^

仲良くしたいなとおもいます・・・あ、今晩のりょこどるですが

ミルクセーキさんはみますか?』


仲良くしたい・・・そんなこと言われたのも初めてかもしれない。

一時は恐怖さえ覚えたものの不思議とその気持ちが和らいでいた。

多分過去・・・つらい過去の時代に会っていないひとだって考えたい。


『いえそんなことは。見ます!大好きなので・・・

もう始まりますね。一回落ちます』


アニメを楽しみながらふと考えが頭をよぎる。


(ターキーさんもこの時間を楽しんでいるのかな)


アニメが終わりメッセージを確認すると

返信は来てなく

しばらくしても返信は無かった。

時刻は深夜2時30分・・・


「アニメ見終わって寝たのかな。常人は寝てる時間なのかな。わたしも寝よう・・・」


翌日の翌昼


『おはようございます。昨晩はお返事返せなくてすいませんでした。

りょこどる見終わり眠ってしまいました^^;

今度りょこどるの聖地行こうかなーと思っています。ミルクセーキさんは

言ったことがありますか?

それでは学校に行ってきます。みるくせーきさんも学校頑張ってくださいね』


なにか色々と心が痛くなる文章がターキさーんから送られてきてた。


「今返したら学校行ってないのがわかってしまう」


パソコンに表示される時刻とにらめっこしながら

学校終わる時間が何時だったかを想い出す。・・・思い出せない。


「夕方に返そう」


録り溜めしたアニメを視聴し、読んでいないまんがを読了し

フィギュアコレクションをながめながら。

お昼と夕ご飯にカップラーメンを食べて

夕方までの時刻を過ごした。


「我ながらひきこもり・・・」


などど考えつつメールを作成する。


「こんばんは。りょこどるの聖地いいですね。

私は行ったことが無いのですよ。今度行った際に感想聞かせてください」


ターキーさんは学校が終わったらしく

また数分で返事が来る。


「はい!ぜひ聞いていただけるとうれしいです。

大変恐縮ですがミルクセーキさんのメールアドレスをうかがってよいでしょうか?」


私もそろそろイラストサイトから送ることに不便さを感じていたので

特に躊躇いも無く。


「はい、良いですよ。○○です」


お父さんにあずけられた何の為に持ってるかもわからない

鳴らない電話と化している

スマートフォンのメールアドレスを記載して送信。


『ありがとうございます。早速このあとメールします><

ちなみにわたしのメルアドは○○です。何卒よろしくお願いいたします』


『ターキーです。こちらでもよろしくお願いします(なんか可愛い絵文字』


イラストサイトの返信を貰った後すぐにスマホの方にメールもメールが送られて来た。


「この電話ってこんな風にメール表示されるんだ・・・」


感心するるところがおかしいと自分ながらおもう。

不慣れな手つきで一生懸命に返信をしていく

タイピングは得意だからパソコンのアドレスにすれば良かったと後悔しながら。


「よろしくおんねがいいします」


酷い誤字が出来上がってしまった。しかしこれだけ打つのに10分もかかってしまい

直す気力完全に0%。だめな自分・・・。


「お返事ありがとうございます!ミルクセーキさんともう少し

お話ししたいところですが・・・残念ながらバイトです(涙絵文字。

また夜にメールさせてくださいね(^^)それでは」


『そーですががんばてくさい』


うん・・・さすがに誤字が酷い・・・笑いがこらえきれなかった。

笑っている場合ではない。冷静に考え直す・・・このメールは送れないな。


「ターキーさんがいる生活が当たり前になりつつある自分が憎い」


ベッドに大の字になりぼーっとしていると

バイトだから来ないとわかっている出逢って間もない相手からのメールを期待してしまう。


「完全に支配されている・・・人間に」


少し悔しい。


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