絵を描きたいから金が欲しい
ツイッター投稿日:2014年11月7日
作品傾向:青年と老人の対話、静か、夢
「絵を描きたいんだが、お金がないんです。100万円、束で貸してくれませんか?」
追い詰められた目の前の若き絵描きを見て、私は考えた。
彼に投資することに意味はあるだろうか。
しかし私は若者の未来を信じることにした。
私は鞄から、札束を一つ彼に差し出した。
彼は目を丸くしつつ「ありがとうございます!」と目を輝かせた。
これで彼がしっかり絵のためにお金を使ってくれればいいのだが……
そう思っていると、彼は傍らに置いていたキャンバスの前に腰掛ける。
そして札束を近くに机におき、絵を書き始めた。
それはどうみても、札束の絵だった。
「ずっと札束の絵を描きたかったんですが、自分にはそんな大金は用意できないと諦めていました。本当にありがとうございます」
彼は私に微笑んだ後、ずっとキャンバスに向かっていた。
金をモノを得るための道具としか考えていなかった私は、もしかしたら視野が狭かったのかもしれない……。
「絵を描くためにお金が欲しい」
それは絵をかく環境を整えるためか、それとも絵を描く対象にするためか。
多分前者を想像する人が多いんじゃないですかね。