お祝い企画 人気キャラランキング結果発表 九個目
病院に行って勝負なし。パーティ終了を回避するため、僕は何事もなかったかのように振る舞い、みんなを安心させる。
「僕は大丈夫だ。だから勝負しよう」
「本当に大丈夫ですの? さっきもおかしかったですし。少し心配です。こんな勝負また今度でも」
「それはダメだ!」
「そうだ! あたしは井○先生のサインをもらうんだ! それまでは帰らねぇーからな!」
莉乃がむちゃくちゃだ。僕の心配じゃないのかよ。べつにいいけど。
「夜夏くん無理はしたらダメだよ。夜夏くんにもしものことがあったら、わたし……」
冬葉は真剣に心配をしてくれる。天使だった。
「そうですよぉ~。夜夏くんが入院でもしたらぁ~」
「南雲ちゃん……」とトーンアップ。
「お肉食べられなくなるじゃないですかぁ~」
「南雲ちゃん……」とトーンダウン。
それでも心配しているつもりだろう。そう思うことにした。だって南雲ちゃんだよ? 本気でそう思っているわけがない。
「心配はいらない。ただの考え事だからさ。ほら、早くやろうよ。最初は莉乃だろ?」
「は? なにいってんだよ。あたしはもう終わったから、次は夜夏が姫夏の問いに答える番だろ」
「そ、そうだっけ? はは……全然聞いてなかった。でーどうだったの?」
「ニアピンでしたわ。だって聞いてくださいな。莉乃、なんて問いを出したと思います?」
ジャンルさえ聞いていない僕になにも答えることはできない。
「検討がつかない」
「女性で水○奈々と言ってきたんですのよ。私は迷うことなく二位と答えましたわ。まあ答えは一位でしたけど」
「まて。なにさらっと一位を発表してんだよ」
「べつにいいじゃないですの。一位が奈々様でなにか不満でも?」
「いや、そこじゃない。……もういいや」
一位が奈々様か。さすがに勝てないか、あの方には。問題はそこじゃない! とも言えないし。
ヒメの横で座る莉乃がぶつぶつ「ドンピシャ当てりゃ問題はない」と言っていた。よっぽど悔しかったんだな。違うか、サインが欲しいだけか。
「じゃあ、私から問題ですわ。そうですわね。物でいきましょうか」
ヒメは勉強以外のことは知りつくしている。どんな物でくるんだ?
「なにか失礼なこと考えてません?」
「いや、べつに」
「そう? では『ギャルのパンティー』は何位かしら?」
「そんなの出た?」
「出ましたわよ。ほら、冬葉がゼッケン付きスク水を着――」
「姫夏ちゃんそれ以上はやめて!」
観客の冬葉が凄い勢いで止める。ああ、冬葉が神龍にお願いしたシルク製か。あのときの冬葉はすげー萌えたな。
「何位くらいだ? といってもわからんし、勘でいくしかないか。じゃーパンツだし。二十一位で」
「冬葉。何位か発表してください」
ヒメが冬葉に答えを求める。
「ギャルパンは……」
資料を指でなぞり該当をさがす。つうか『ギャルパン』が一瞬『ガル○ン』に聞こえたのは僕だけじゃないはず。
「ありました。夜夏くん、正解です」
「え?」
「くぅーヨルやりますわね。これで一回戦の負けは決定ですか」
「これでますますあたしはドンピシャでいくしかねぇみてぇだな」
「あ、当たり?」
僕は唖然としていた。だって勘だし。当てる気なかったし。
「当たりだよ。ギャルのパンティー二十一位でぴったりです。すごいね、夜夏くん。さすがパンツに関しては無敵なだけはあるよ」
「僕、そんな名誉があったの!?」
「あれ? 知りませんでしたの? ヨルはネット住民の中で『パンツの神』として崇められているんですのよ?」
「そうなの!? 初耳なんだが?」
いつの間にか《パンツ神》になっていたようです。
「そんでもって二十一を数字で21にかっこをつけますと!」
(21)
「ロリだっけ?」
「あらヨル。知ってましたの?」
「当然。あれをしない手はない」
「つまんないですわね。せめてものの土産にロリロリバスターズの入団許可証をもらってきましたのに」
「なにそれ。気持ち悪いんだけど」
莉乃が全力で拒否反応を見せていた。気持ちはわかるけど。
「夜夏くんロリコンだったの……?」と冬葉がそれを確認。
「違うけど……」
「で。入団しますの?」
「したらすべてを失いそうな気がする」
「気がするじゃなくて。するよ、絶対。少なくともあたしの夜夏を見る目は一〇〇%蔑みに満ちたものになるけどな」
「夜夏くん、ろりこんさんだったんですかぁ~?」
「ダメだ南雲! ロリコンウイルスが移るぞ!」
「そんなのねぇよ! つうかもう僕をロリコンにするな! さらに言うとロリコンをバカにするな! ロリコンに失礼だ!」
僕がロリコンを擁護すると。
「やっぱり夜夏くんはろりこんさんなんですかぁ~?」
「南雲! 夜夏を見るな! 目が腐るぞ!」
「ならねぇよ! 二度もやるな、このくだり!」
「それでロリロリバスターズに入団しますの? 私は五年ほど前から入ってますけど」
「そんな前から!? 初耳だが!」
「代わりに冬葉入りますか?」
「誘うな!」
「どうしようかな……」
「そこも真剣に入団を視野にいれるんじゃない!」
ツッコミが追い付かない。誰か助けて。
「あたしが来たからにはもう安心だ。とおーっ!」
となりにいたはずの莉乃がステージ上からカッコよく登場し、着地。したが足が痺れて五秒後に立ちあがった。
「考えさせてくれ」
「わかりましたわ」
「ずこー」
莉乃が顔面スライディングを決める。ド○フの練習かな?
「なにやってんの?」
僕が声をかけると顔をあげた。
「いや。なんでもない。早く問いを出せ。……恥ずかしいから」
こうしてツッコミ劇は一時中断。そしてバトルが再開。
「いくぞ莉乃」
「こい! なにがなんでも当ててやる!」
「アニメで『青春フラグが僕に振り向かない』は何位でしょう」
「……そんなのいつ出た?」
僕と一緒か。たしか莉乃その場にいなかったしな。
「二話で出たぞ。莉乃とヒメはバトってたけど」
「夜夏と一緒で野生の勘に頼るしかねぇか。よし決めた。七十位!」
「莉乃、本当にそれでいいんですの? 言っときますけど『フラ振り』は大人気シリーズですわよ」
ヒメが莉乃をそそのかす。
「夜夏そうなのか?」
「それ言ったら勝負にならないし」
「そうだよな。いや、女に二言はねぇ。七十位だ!」
「冬葉、ぷぷ、答え、ぷぷ、お願、ぷぷ」
ヒメ笑いすぎ。
「ちょっとまった! 変更する。三十位だ! いいよな、夜夏!」
「う、うん……」
「『フラ振り』は七十位ぴったりです」
「だああああああああああああああああああああああああああああああ!」←莉乃。
「ヒメ……知ってたな、ある程度は」
「ふふ、なんのことかしら?」
ヒメが余裕の策士みたいな顔をする。そこにイラついた少女が一人。
「クソ……まんまとこのあたしが姫夏などの罠にかかるなんて。チクショー!」
「まだ焦る必要はないでしょ? 現に私も負けたんですし」
「それもそうだな。よし。次こそはハッタリはダメだからな!」
「わかってますわよ」
僕に一勝が入る。これで僕が一歩リード。油断できないのは変わらないが。
次回は2月15日です。
この話、最後まで書き上がっておりますので、サボることはありませんので心配なきよう。
友城にい