また会おう、その時は絶対ナツ! 五十六球目
五十六
第二勝負に関しては、僕の役割はとくにない。よって暇である。
同じ手持ち無沙汰でだろう小学生組と話をするのも時間の有効活用か、とも思ったのだが、少しばかり躊躇している僕がいた。
先ほどの食堂での揉め事が僕の心にブレーキをかける。またあらぬ誤解で波風を立てたくないな、そう脳裏によぎる。
べつに、絶対に話をしたいわけでもないし、彼女たちからの一番の信頼を得たいとか、懐かれたいとか、そんな新任の教師みたいな目標……魂胆なんてないが、触らぬ神に祟りなし。
……って、これが交流の弊害か。
『しない』言いわけなんて、いくらでも思いつくもんだ。そりゃ『しない』ほうがラクだし、疲れないもんな。僕だって、そっちのほうがどちらかというと好きだ。
でも……『しない』選択は、自分だけで決めない。勝手に判断して、相手の顔色や雰囲気だけで決めつけるのは、きっとこの先の自分を締めつけてしまうだろう。
だから、怖くてもリスクを伴っても必ず相手に意思表示はしよう、とある人に教わった。……まあ、特定可能な人からだが。
本来の自分は後ろ向きだ。これからもこの先も、ずっと変わらないだろう。変われないだろう。
でも、それでいい。そのままでいいよ、と言ってくれた人がいる。欲しい言葉とは、どんな薬よりも効くのだから。
僕は、その人の教えに応えたい。
誤解されたらまた説明すればいい。わかってもらえない世の中かもしれないが、きっとわかってもらえる。それが信頼だ。
「おーい、小想――」
「呼びましたか?」
「うおっ⁉ 小想なんでこっちに」
真卯や雪華が見えるホームベース側に向かって呼びかけようとした僕の背後に、小想がいた。マジでビビった。
「なんで、と聞かれても。夜夏さんにお話があるから、です」
「そ、そっか。僕もまあ暇だったから小想たちと話でもしようかな、ってちょうどよかった感じだ。それで、僕に話とは?」
真卯や雪華とも話をしたかったが、なにやら僕個人に用があるようだ。どっち道二人は対決のほうに興味があるみたいだし、水を差すのも憚られたが。
とりあえず冬葉が休んでいたベンチに腰かけて会話を始める。
「なかなかタイミングが合わないようなので、ここで聞かせてくれませんか? 『許嫁さん』のこと。も、もちろん誰にも言いませんから!]
僕に掌を突き出してあわあわしながら守秘義務を約束する。あー、そのことか。
「いいけど、うーん、どれから知りたい? まずは小想の要望通り、馴れ初めからでいいかな?」
「お、お願いします……っ! その……普通って言い方は良くないと思うけど、当たり前に身近にある恋愛より、許嫁みたいな特殊な境遇に置かれた恋愛のお話に目がないんです、わたし」
興味津々な小想。
夢を壊すつもりは毛頭ないが、どこで失望されるかなんて考えるだけ無駄。僕は『許嫁さん』ってところを除いた本当の馴れ初めを話そう。
名前は伏せる条件を小想に伝える。仮の名を「Fさん」として。
八月になりました。とても暑いです。人間が生活できる気温じゃない。まさしく『災害』。エアコン使用における電気代はケチらずなるべく快適に過ごしましょう。使いすぎには注意ですが。
ストックあと1話です。次回は会話式で進めます。ほとんど夜夏が喋ってますが。
友城にい




