また会おう、その時は絶対ナツ! 四十四球目
四十四
「や、やっぱり、何度見ても広いお庭ですね」
小想がきょろきょろ見回しながら、人口芝に足を踏み入れる。あとの二人も同様の反応を見せた。
弱々しく照らしている外灯のみの庭は少し新鮮だ。
遠くには、いつもお茶会をするパラソルと六人用の腰かけテーブルがひっそり佇んでいる。明日はあそこを僕たち側のベンチにする予定だ。
「で、ヒメ、どんな勝負で決めるんだ? あんま時間かからないやつで頼むぞ」
「安心院な●み! ささっと身体能力に差が出ないような手短に納得のいく内容をご用意してますわ」
め●かボックスはもう知らん人いそう。与次郎ちゃん好き。
「では発表しますわ。第一種目は、こちらですわ!」
完璧に進行役に徹しているヒメに連れ出された場所は、バッターボックスだった。
「ん? バッティング対決だったら莉乃に利が出るぞ?」
「ちっちっち。よーくご覧なさい。マウンドやバッターバックスも少し違いましてよ」
ヒメに言われるがままマウンドを見やると、一週間の練習で毎日使用したピッチングマシンがセットされていた。
さらに、バッターボックスをもう一度よーく見るとある変化に気づく。
「アクリル板……?」
バッターボックスの前にアクリル板が立てられていた。
用途としては、デッドボール対策と思われるが、対決内容が見えてこない。
「第一種目はずばり! 『今の球、何キロだったでしょう』ですわ」
「ずばり、じゃねぇよ。えーっと、要するに横に立つが、打たずにより近いボールのスピードを当てる勝負ってことか?」
「だいたいそれですわ。しかし、バットは持ってもらいますわ。練習も兼ねますので」
「たしかにそれなら能力差は出ないが、配置はどうする」
「私が出題者――つまり、マシンにボールを入れる役をしますわ。ヨルはスピードガンでの測定をしてくださいまし」
「え? それじゃ――」
ヒメを信用してないわけじゃないが、ボールネット相手にセッティングをまかせていては不平等に傾きかねない。
そんな僕の不安さえ計算していたかのように、ヒメが続ける。
「――そしてキャッチャーは、この方ですわ」
途端、聞こえてくる土を蹴る音。薄暗いところから現れたのは、頑丈そうな格好をした小さいな女の子だった。
「……ま、真卯が受けるのか?」
「安心してお兄ちゃん。真卯、取るの得意だから」
「いや、本当に大丈夫なのか……?」
僕の心配をよそに、真卯はキャッチャーについた。体格に似つかわしくないほど大きいミットグローブを左手に着け、ガニ股で腰を落とす。
キャッチャーの捕球するスタイルはいくつかあるが、真卯はドシッとかまえるタイプらしい。
「やっぱり、心配ですか?」
ずっと真卯を追っていた僕に、小想が声をかけてくる。
「ま、まあね。なにも知らないのにな」
「だったら大丈夫だよ、ご主人さま。真卯あれでも――」
そう言った雪華の目は、輝いていた。
「ルールを説明しますわ。出てくる速度は真卯が安全に受け切れる範囲の八十五~百二十五キロ以内。判定はヨルのスピードガンが順守ですわ。バッターは一人二打席、一打席五球ずつ全十球の内、一番近い球速を当てれば勝ち。もしも二人以上が同じ急速を当てた場合は、より早い段階で当てたほうを勝ちにしますわ。無論、安全面からスイングは反則ですからやめてくださいな。では、よろしくて?」
無理に詰めこんだ説明が終わり、順番決めをしていた三人でまず莉乃が出てきた。
「ほお、じゃあ明日は真卯があたしのバッテリーってことだな。よろしく頼むぜ」
「ん。真卯こそよろしくだよ。遠慮せず投げていいってこと、今ここで証明」
「ほお。雪華だけじゃなく、真卯も言うんだな。気に入った。ますます明日が楽しみだ。ほんじゃ、お手並み拝見といこうか! 来い! 姫夏!」
ボールを見せ、マシンの後ろに立つヒメがボールを入れる。数秒後、放たれたボールを真卯は軽快にキャッチングしてみせた。
不安なんて、僕が勝手に始めた妄想だ、とわかっていたけど。
「かっこいい……」
180度態度を変え、無意識に漏れる僕の感想と雪華の言葉が重なる。
『真卯あれでも、野球が大好きでたくさん練習してるから』
スピードガンを持つ僕の手とマスクから覗く少女の真剣な目は、価値がまるで違うらしい。
のんびりしている子が実はスポーツ激ウマって最高だよね、って話でした。
ところで『めだかボックス』はもう通じなそ?
友城にい




