表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
一番近くにある日常 入!  作者: 友城にい
暑かりし、草野球編
58/78

四十一・五 中野家の一族 中編~初代編~

四十一・五 中野家の一族 中編~初代編~


 続いては家系についてだ。


 曾祖父が会社を起業したのは三十五のとき。元々、口が達者で加えて遺伝のような責任感の強さ、鍛え育てた熱血漢で営業成績は大学を卒業して入った会社で六年間トップだったらしい。

 その功績が認められ、花形の職業と言われていた商品開発に異動となった。そこで初めての壁にぶつかる。

 と同時に夢という名の野望が生まれた。


 営業はなんだかんだマニュアルが存在し、お客さまとのトラブルも先輩と乗り越えることで難を逃れてきた初代にとって、話術でも、勉学でも、体力でも、経験でも、根気でもない。

 真っ更で、誰の頭の中にもない物体を創る。


 1から2、じゃなく、


 0から1、の職。


 衝撃を受けるとともに俄然燃えたという初代。


 最初こそ調子よくアイデアを出しては却下の繰り返しに、未熟さと適応力で差が埋められていないと言いわけにも聞こえるもので誤魔化していた。


 が、段々と現実を突きつけられる感覚が、嫌でも肌で感じ始めた。


 アドバイスは曖昧模糊。

 もらえるのは〝0から1〟にした人にだけだ、と周りの対応でわかった。

 アイデアのアドバイスはないのだ。あるのは、如何にしてアイデアを生み出すかだけ。

 一年間くすぶった。


 だけど一年間、ひたすら顧客が求めているもの――否、求めそうものを先取りするため、常日頃からすべてに神経を研ぎ澄ました。


 これは第三者からの視界じゃ、わからない。初代だけの景色。なにを感じ、なにを得たのかは、前述したアイデアのアドバイスはないのだ。


 しかし言えるのは、初代はここから一気に駆け上がった。立ち止まらず上がられるところまで。

 上司から元いた営業部に戻る提案をされるが、二つ返事で断った。正確には幾許かの時間をいただいた。

これでダメだったら黙って営業職にサラリーマン人生を捧げる。それぐらいの懸け、才能の有無を試した。


 結果は大当たり。


 不安が自信に。


 その後、初代はどんどんヒット商品を編みだし、現在も人気が続く大ヒットメーカーへと伸し上げた。

 ちなみに初代が考案した玩具は今もグレードアップ、リニューアルを繰り返す昔馴染みの玩具として愛されている。


 そして――六年と商品開発に三年所属したのち、退社した。たくさんの人が引き止めてくれたらしいが、流離さすらいのサムライのように去っていった(と聞いている)。


 夢、野望の実現に動きだしたのだ。


 会社を起業する――。


 だが、まだまだ経験が足りないと感じたらしい初代は、短期バイトをいくつもやった。


 様々な配達、土木作業、酒場、競馬場、機織はたおり、ときには花街でも日雇いで働いた。


 朝早くから夜遅くまで寝る間を惜しんで休みなく三年間働きに働きまくった。


 成功する保証なんて、どこにもないのに。


 その三年、たった三年間で、たくさんの環境を失い、たくさんの人が離れていった。


 まずは親から勘当かんどうされた。


 起業の旨を明かすや頭ごなしに否定され、追いだされたという。


 当時のサラリーマンは、高収入なうえ安定職。それをみすみす手放したことで、絶縁を言い渡されたのだ(五年後にてのひらを返す)。


 次に恋人から別れを告げられ、かつての会社の同僚も疎遠になった。家も親に勝手に解約され、安いアパートに引っ越した(させられた)。


 ここまで悪いことか、ってほどに。


 それでも初代は俯いたりしなかった。開き直ったとも言える。


 なぜなら、この時点でかなりの資金が集まっていたからだ。

 バイトの最中も周りに資金を募った。成功の暁には倍にして返すと言って。なによりも自信が初代を奮い立たせていた。


 数ヶ月後、念願の一号店のオープン。ちなみに一号店はまだある。


 清涼飲料を中心に、麦酒ビールも積極的に売りこんだ。


 売り方も特殊な方法をいろいろ試した。


 子ども人気を得るため、ジュースを曜日限定で二本の値段で一本サービスや、朝と夕方で売る商品を変えたり、ビールは一組一日一回に限り複数人で来店された際、購入数+一本サービスをし、今までの酒屋の枠にとらわれない販売方法で顧客を増やした。


 当然、周りの(同業者)目は険しいものとなっていったが、どう見ても利益度外視な売り方ばかり。遅かれ首が回らなくなると思われていたに違いない。


 実際問題、初代は儲けを考えておらず、買いに来る人の顔ばかり見ていた。商売としては成立してなくても、新しいビジネスへの活路はこのときに見出したという。


 元々、物欲が小さくサラリーマン、アルバイトで稼いだお金のほとんどを貯蓄していて、そこから足りない分を賄っていた(現在の価値で換算すると一億は持っていたらしい)。


 オープンから一年後にはビールの醸造所を建築し、自社ブランドの着手、そして販売数を増加させた。

 数ヶ月後に出した自社ビールは大絶賛。続けて出した清涼飲料が日本中で大ヒットとなり、一躍時の人なるとなった。


 目まぐるしく時間が流れ、気がつけば立ち上げから三年。店舗をどんどん増やし、忙しい身となった初代だったが結婚と第一子にも恵まれ、父となる。

ここまでお読みいただき感謝至極です。

今回は年代にしますとおよそ1930年代になります。この年代の、それも商売や条例なども自身まるで知識がありません。おそらくと言いますか、かなりの矛盾と間違いがあると思います。指摘してくださってかまいません。ただし直せる力はない(ごめんなさい)。

調べたのは、お酒の規制です。1938年ごろに販売規制がかかったと。それより少し前なので問題ないかなー、と楽観しましたが。


最後に。

中編です。結局三部作に。次は短いかも?


友城にい

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ