また会おう、その時は絶対ナツ! 三十九球目
そして物語は、三十三の頭に戻る。
「――じゃ、じゃあ姫夏さんとお呼びします。同じく皆さんもさん付けで。やっぱり先輩……ですから、ちゃん付けはちょっと抵抗がありまして……」
小想が申しわけなさそうにする。冬葉や莉乃に対してはまだギクシャクしそうだ。仕方ないか。
そのうち慣れていけば自然と呼び方も変わっていくことだろう。
僕はそのままでいいが、ヒメはがっくりしていた。頑張れ、お姉ちゃん。
「はいはーい。あたしはね、つまんない名前やちゃん呼びするより、なんていうのかな、『あだ名』で呼ぶほうが好きなんだよね。いい?」
雪華のお願いに反対する声はなかった。
雪華なりの早く打ち解ける方法なのかもしれない。僕はいい案だと思った。
「私はかまいませんわよ。むしろ歓迎したいぐらいですわね。あだ名なんて無縁でしたし」
唐突な学校生活の闇を感じる発言よせ。さすが我が姉(義理だけど)。
「ご主人さまのお姉さんだったよね。そんじゃあ、『令嬢さま』で」
「ぷっはw 令嬢だってよ。お似合いだぜ姫夏。そんなキャラじゃねぇのがめっちゃエッヂ効いててあたし好きだぜ。な、令嬢さまw」
「くきーーっ! 莉乃のくせにーーっ! 私が気にしてることをーーっ! 雪華、いいあだ名サンキューですわ。最近の令嬢と言いますと悪役令嬢が名を馳せておりますが、いいでしょう。なってあげますわ、美少女悪役令嬢に」
ハンカチが出てこない久々の懐かしい古くっせぇ反応をしたかと思いきや、ツッコミどころしかない美少女(笑)悪役令嬢を宣言し始めた。
つか令嬢ぽくないこと気にしていたのか。
「次は冬葉さん。えっと、たしか後ろで気絶してる男の人が、双子でお兄さんだったよね?」
「そう。暖房の暖で暖だよ。双子といっても二卵性だから、双子あるあるみたいなのはあんまりないけどね」
僕から見るとけっこう似ている部分を感じることは多いが、言わないほうがいいか。
「なるほど。双子っぽく、対になる名前をもらったんだ。そんじゃあ、冬葉さんは『スノーさん』で」
「スノーさん!? ……ちょっと、嬉しいかも。雪華ちゃんと姉妹みたいで」
「っ~~~~!」
無意識に自分の名前と近いあだ名を選んだのだろう。みるみる頬が紅潮していく。加えて繰り出される冬葉のはにかみ。
僕もよくやられる天然素材の手法。
冬から連想しやすかった『雪』。言われなければ気づくこともなかったろう。だが、冬葉はこういった〝良さ〟にすぐ気づくタイプだ。しかも無自覚でやる。恐ろしい子だ。
雪華が恥ずかしそうに頬を手で覆う。顔を隠したり、背いたりできないからだ。
「雪ちゃんまた顔赤くなってる。ジュース飲む?」
真卯が心配そうにする。
「だ、大丈夫だって。びっくりしただけだから。そ、それと! 姉妹みたいって言うなら、あたしのこと、雪ちゃんって呼んでもいいよ。真卯みたいにさ」
感情が顔に出やすいみたいだ。
けして優位に立ちたいとかではないのだろうけど、頬に赤みを残したまま平静を装った虚勢を張る。
雪華は気にしているのかな。
僕的には喜怒哀楽がはっきり出せる感情表現は、素敵に思えるが、そんなの当人にはなんも関係のないことか。
ヒメとの共同作戦のためにも、知っておいてよかった情報だ。
「うん。じゃあ、そう呼ばせてもらうね、雪ちゃん」
「うっ……う、うん……この人もご主人さまくらい苦手かもしれん……」
冬葉の素直さは天使級。世界一ぃぃぃぃ!!! の。
雪華はたじたじだった。
小想→真卯、雪華ちゃん
真卯→小想、雪ちゃん
雪華→小想、真卯
間違えないようにしないと。
本編に出さない設定。
雪華は意図的にちゃん付けで呼ばせているように思える。自分はちゃん付けはつまんない言っているのに。面白いね。理由は距離が近く感じるからそんなんかと。
そうじゃなければ真卯は呼び捨てしてそうだな。小想も。
作中、雪華と呼ぶのはおそらく夜夏と姫夏と莉乃になりそう。訂正したくてもしてくれない二人と年上の男性の夜夏には言えないだろうし。
次回こそお早めに。
友城にい




