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一番近くにある日常 入!  作者: 友城にい
暑かりし、草野球編
53/78

また会おう、その時は絶対ナツ! 三十八球目

「わたし男の子だったら南雲ちゃんと付き合いたいかも。莉乃ちゃんも隣に置けるし」


 続け様に、両手に花ってやってみたいなー、と僕をチラチラ見る。反応待ちか?


「百合のあいだに男が入ると組織に消されるからやめといたほうが身のため、だぞ?」

「なんで疑問形なの? それなら現在進行形でよく南雲ちゃんにセクハラを働いている夜夏くんが真っ先に消されると思うんだけど」


 百合ふたり邪魔せかいの男(侵害)と心的外傷は別問題の認識だが、組織からすれば同等だったらしい。


 ……って。

 僕ってそんなに南雲ちゃんへのセクハラ判定受けてたの?


 ど、どこだ……?

 まるで心当たりないが、こういった事柄は当事者の観点からじゃないと原因が見えてこない。だからと僕が南雲ちゃん本人を問いただす行為は禁忌タブーだ。


 つまり――。


 自分で究明するしか術がない。


 Q:ボディタッチ A:手を握ったことぐらいしかない


 Q:「胸デカいね」など女性的な部分を指した言葉を言ったことがある A:心の中では常に思っているが本人に直接言ったことはない


 Q:「髪切った?」など対象との距離を縮めようとする言葉を言ったことがある A:南雲ちゃんの髪は美容室で傷んだ枝毛のカットくらいらしくて触れたことはない。同じ系統である化粧の変化(ファンデーションや化粧水、口紅)については冬葉あたりの会話を横で聞いている程度。もし変化に気づいて言ってセクハラなら身を引くけどね


 Q:「一人のときなにやってるの?」などプライベートに触れることを言ったことがある A:わざわざ聞かなくても毎週のお茶会のときに話してくれる。昨日話したのはきら○ファンタジアのサービス終了のことだ。正直ショックが隠せなかった。できるならドリ○ムにあるサーバーごと買い取りたかった(レベル102)


 Q:妄想でひん剥いたことがある A:それは……


「妄想無罪だ!」


 Judge:死刑ギルティ


 胸を揉むためならハンターとなり、悪魔とだって戦ってみせる。


「夜夏くんはチェ○ソーマンってよりギターヒーローのが似てるけどね」


 久しぶりにア○ニャみたいに思考を読まれた。欲深いのにそれを隠して控えめぶっているところとかだろうか? あんな熱中できる趣味はないが……。

 と、突然、腕を小突かれる。


「冬葉……?」

「……もう、夜夏くんの……ばか。ちょっとくらい、プラスを表に出したってバチは当たんないのに」


 冬葉の顔を見ると、膨れっ面を作っていた。

 どうやら求めた答えと違ったらしい。何度も腕を小突かれる。痛くはない。けど、考え直すとする。

 どこだった?

 慣れない選択肢がたくさん浮かんだ。どれもダメに思えてくる。選べるふんぎりが僕にあるのなら、もっとべつの人生観を持っていただろう。


 今の僕に選べそうな選択肢があるとすれば、これくらいだ――。



「思うんだ。冬葉が女の子だったから、僕と接点ができたんだろうなって。もしも冬葉が男の子だったなら、きっと接点なんてなかったと思う。だから、冬葉は女の子がいい」



 性別を欲しがるような、最低な言葉だ。どんなラブコメ主人公でも言わないセリフ。


 だけど、僕は主人公じゃない。

 なにをしたって嫌われないご都合主義な世界じゃない。

 嫌われたくなくたって、嫌われるときは嫌われるのだ。それでも僕は、自分の気持ちを冬葉きみに伝えるだけ伝えたい。

 それが結果的に、望まない先だとしても。


「さすがに気持ち悪いよ、夜夏くん」


 だな。仰るとおりだ。わかってて言った分、余計に性質たちが悪いかもしれん。


「ほんとだよ。わたしじゃなかったら絶交案件に加えて言いふらしかねないよ」

寛容していい言葉じゃない。


 これを寛容できる人は、脅迫された人くらいで。


 いっそのこと殴り飛ばしてくれたほうがマシで。


 僕に、チャンスなんてものはこない。


 じゃあ、いつ機会くるのだろう――。


「たとえわたしが男の子だったとしても、絶対夜夏くんと友だちになってたと確信を持って言えるよ。だってわたしが夜夏くんみたいな子を放っておくわけないもん」

「それは、結果論だろ。自分で言うのもおかしいが、やましい気持ちで仲良くなった振りをするかもしれない。冬葉が男の子だったら成り立たなくなる」

「そのつもりだったの?」


「あくまで仮定の話だ。金持ちなのはともかく、あの世界企業・中野財閥の養子が庶民の中学校に入学したってだけで、だいぶ周りにわらわれて参っていた時期だった。自分でもなにやらかすかまったくわからなかったし、とてもじゃないが冷静だったとは言えない。どっちにしても、女の子が僕に関わるには夏の虫だったはずだ」


 たしかに、男同士だと声もかけやすいだろうけど、当時の僕にあの日直じょうきょう以外でクラスメートの言葉に耳を傾けることはできたのだろうか。

 無理だろうな。

 たられば抜きで、やはり、冬葉が女の子だったから成り立った出会いに感謝したいのだ。

 どんなに文句を言われても、僕はやっぱり……。


「うーん、わたしじゃ理解が追いつかないけど。でも、百も承知だったと思うよ。そうでもないと男の子と仲良くなろうと勇気出ないもん。とくにわたしみたいな二の足踏みがちな性格だと、ね」


 そりゃそうだよな。

 冬葉の勇気にアカデミー賞あげたいぐらいだ。

 だったら僕も、この出会いに胸の内で感謝するでなく、きちんと言葉で返していくべきだ。


「――ありがとう、友だちになってくれて」


 照れていた冬葉の顔が面食らったようになる。


「どうしたの、急に改まって」


 そう言って咳払いをし、僕に向かってはにかんだ。


「こちらこそありがとう、仲良くしてくれて。夜夏くんと友だちになってから、毎日楽しいよ」

「お、おう……それは、なによりだ」


 返すつもりが、お返しをもらってしまった。


「ふふ、夜夏くん照れてる。夜夏くんが嬉しいとわたしも嬉しい。よかった、言って」

「べつに照れてるわけじゃ」

「それと、さっきはごめんね」

「え? ああ、いいよ、べつに。僕側にもいろいろ責任があるし」

「ううん、わたしが真っ先に姫夏ちゃんのおふざけに気づけなかったところに原因があるの。だから、夜夏くんに非なんてひとつもない」


 それだとヒメの悪ノリに押しつけちゃっていい気がめっちゃするが。冬葉はいい子だからやらないか。



「みんなで仲良くなろ。五人で――いいえ、六人で!」



 Re:ゼ○から始める野球生活。



 違う違う違う。


 冬葉に手を引かれ、七人の輪の中に解けていく。

 そして、ヒメの自己紹介のシーンに戻る。

 いーや、長い!


ちょうど1ヶ月ぶりになってしまいました。そしてまだやらない試合。次は短編でも書きたいな、とか思ったり思わなかったり。

それでは。


友城にい

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