また会おう、その時は絶対ナツ! 三十七球目
……ことの発端の行動を棚上げしている感が否めないが、今は黙っておこう。
カッコつけたがろうとする姉に有難みを覚えつつ、失笑に似たものが口からこぼれる。恵まれてるんだろうな、僕は。
と内心のノロケが出たところで機をうかがっていると、冬葉がハッとなって顔を僕に向ける。
「ご、ごめんね、わたしまた……。悪気はなかった……わけないんだよね。咄嗟に出た言葉で二人を除け者にしてるんだから。わ、わたし、夜夏くんのこと好きだよ!」
「――――っ!?」
「え? ――あ。ち、違うの! いや違わないんだけど、わ、わわ、わたしなに言ってるんだろう。ご、誤解しないでね! わ、わたしが言ったのは夜夏くんの人柄とかが好きって意味で、べつに深い意味はなくて……。って、なんでこんなに必死になってるんだろう」
失言(?)に気づいた冬葉の頬がみるみる紅潮していく。
語弊あった「好き」という二文字を、ノールックで食らった僕の体温も、ぶっ倒れるぐらい上がっていくのがわかる。
クーラーの効いた冷え冷えな食堂でサウナに入っている気分だ。このあと冬葉とうまくしゃべれる自信が、どこかへと行ってしまっている。
「大丈夫だ。わかってるよ。僕も、冬葉のそういう厳しくも優しいところとか、めっちゃ好きだし。その、だからなんだ。あんま気にしなくてもいいから……って、あれ? ふ、冬葉……?」
いつもみたいの目を合わせてのお喋りは難しいと思い、目線を外してどうにか普通を装っていたのだが、顔を前に戻すと冬葉は後ろを向いて手で口を隠しているようだった。
「……ちょ、ちょっと待っててね。今のわたしの顔、誰にも見せたくないかもだから」
変なこと、言ったのだろうか。
たしかに恥ずかしいことを口走った自覚はあったが、痛み分けというべきか、僕なりに冬葉の言葉の綾を笑い話にしてあげたかったのだが、却って意識を強くさせた気がしてきた。
失敗か。なんて僕らしい失敗だ。
しかし黙って突っ立ってはいられないのだ。相手は冬葉だ。大切にしたい女の子だ。
臆するな。ビビる必要なんてない。
僕は続ける。さっき言いかけた言葉の先を。
「――なあ冬葉。これだけは、忘れるなよ」
「……よ、夜夏くん?」
「さっき言った好きって意味の中に僕はありったけ積みこんだんだ。なぜかって? それはな! 冬葉はな。第一印象から僕の『好きセンサー』しか刺激しないからだ!」
「好きセンサーってなに!? あと声! 声が大きいよ……」
「まずは北松冬葉という女の子を意識した中一の梅雨入りに差しかかった五月のある日のこと。日直が一緒になり、対して人間関係に興味のなかった僕に、勘違いしていまいそうなほどの笑みを見せてくれた瞬間から、僕は冬葉から目を離せなくなった」
「夜夏くん!?」
「北松冬葉という女の子は、よく笑う子なんだと知った。そして友の幸せを自分のことのように喜んでくれる子とも知った。友が泣いていれば一緒に泣いてくれる子とも知った。友のために怒ってくれる子とも知った。悩んでいれば同じくらい真剣に考えてくれる子とも、知った。僕はそれらを出会ってほんの四年程度のあいだに見てきた。控えめに言って全部好きだ。これから出会えるかもしれない冬葉の新しい一面も好きになれる自信しかない――」
「も、もうわかったよ! じゅうぶんだから! 伝わった! だから、落ち着いて、夜夏くん……!」
ほっぺと口を隠していた手で僕の口を塞ごうとする。現れたのは、まだ赤みの残った状態で慌てた表情の冬葉。曲がった感情だが、可愛いと思った。
それは置いとくとして、僕は、
「やめない! 冬葉はいい子なのに褒められ慣れてないんだ! だから僕は冬葉が褒め慣れるまで、褒めるのをやめない……!」
「なにその殴るみたいなの!?」
「冬葉が悪いんだよ?」
「原作に登場しないセリフ使わないで!?」
「うるさいですね(裏声)」
「わたしのチ○ち○んがそんなこと言うわけない!」
「北松さんち○ぽデカいのね~」
「悪意ある伏せ字のせいでわたしが生えてるみたいになってるんだけど……」
「――冬葉は男の娘だった?」
連載十年目の衝撃の事実。おまけに会話機能付き。
いつになったら野球をするのだろうと考えること、おそらく五年。まだ野球はしないのだった。この調子だとあと三、四話はしなさそうと作者予想。
…
冗談です。速やかに試合に入りたいと思ってます。内心は……。
友城にい




